(183)賃貸マンションのキッチンにいくら払ってきたか
前回、母屋の和室の押入れをキッチンに作り変えようと思い立った話をしました。
今回は、具体的なプランを考える前に少し寄り道。
僕が管理する世田谷のマンションでどんなキッチンを採用し、いくらお金をかけてきたのかを振り返り、予算の問題を考えたいと思います。
【サンワカンパニーのコンパクトキッチン】
まずは比較的ノーマルなタイプからごらんいただきましょう。
サンワカンパニーの「ステムズ」です(現在は廃番)。
脚付きなので床が見え、軽やかな雰囲気が出るのが気に入りました。
キッチンの幅は1200ミリと狭めではありますが、右に造作でカウンターを設けて作業台にすることで利便性を高めています。
キッチンの右隣りが玄関ということで、ガラスで間仕切ってみました。
この頃はちょうど賃貸を引き継いだばかりで、こういう遊びを入れる予算的な余裕がありました。
この「ステムズ」の価格は「190,500円」。
2口コンロ、水栓、レンジフードも込みの価格ですが、設置費「約45,000円」を別途に工事業者に支払っています。
同じ時期に別の部屋に採用したサンワカンパニーのキッチンもごらんください。
「ミニモラス」というステンレス製のコンパクトキッチンです。
先のキッチンとちがい、作業スペースを設置する余裕がなかったので、1500ミリ幅の大きいタイプを選びました。
実を言うと、この部屋は間取りがイレギュラーで居住空間が狭いため、単身の入居を想定してシンプルなキッチンを選んだのでした。
こちらの価格は「176,500円」。
先のキッチンと同様、2口コンロ、水栓、レンジフードも込みの価格(設置費は含まず)。
シンプルキッチンでもオールステンレスともなると、それなりの値段になります。
【リクシルのアレスタ】
続いては、ややグレードの高いリクシル(LIXIL)のキッチンをご紹介します。
リクシルは賃貸マンションを想定した「ティオ(TIO)」というコンパクトキッチンを出していますが、こちらは「アレスタ(ALESTA)」という戸建てや分譲マンションでも用いられるグレードのキッチン。
「ティオ」とちがって設置の融通もきき、L字型に配置することで使いやすいキッチンができました。
間仕切り戸と組み合わせて、対面キッチンにもなる仕掛け。
価格はというと、うちのマンション史上もっとも高額の「255,000円」。
先ほどのティオを選ぶと「145,000円」の見積もりでしたから、差額はなんと11万円。
当時は、いろいろ試してみたい気持ちもあって思い切って導入しましたが、コストパフォーマンスを考えると疑問の残る投資となってしまいました。
グレードの高いキッチンを入れたぶん家賃が高くなるかというと、そういう話でもないんですよね、賃貸は。
【パナソニックの「新古品」キッチン】
空室のリノベーションが続いて予算がなくなった頃、建設会社さんからオファーを受けてありがたかったのが「新古品」のキッチン。
「APキッチン」という賃貸物件や狭小住宅向けのコンパクトタイプです。
ごらんのとおり、とてもきれいなキッチンですが、実はこれ、一度別のマンションで設置されたものなんですって。
お施主さんから「頼んだのとちがう」とクレームが入り、取り外して会社の倉庫に在庫として眠っていたそう。
なんでも「魚焼きグリルがないじゃないか」とか言われてしまったそうな。
個人的にはなくてもいいと思うけど。
という話はさておき、一度も使われていないにもかかわらず中古になってしまったため「新古品」として激安で譲っていただけました。
価格はなんと「22,000円」。
レンジフードや水栓などを新規に設置し、設置費を含めても「10万」を切るというありえない低価格でした。
ただ、新古品ならではのちょっとした問題もありました。
先ほどの写真をもう一度ごらんください。
この間取りなら、ふつうは排気する右側にコンロを設置しますが、新古品ゆえコンロの右左は選べず、左側にコンロがあるイレギュラーな配置になっています。
天井裏にダクトを隠し、右側の窓までつないでもらえたので、最終的にはきれいに収まりました。
【古いキッチンをそのまま残したケース】
マンション経営を続けていると、設備のグレードだけではお客さんの目を引けないことが徐々にわかってきます。
リーズナブルなキッチンや少々年式の古いキッチンでも、しっかりと使いやすい小物を配置し、インテリアに気を使ってあげれば実用的にも見た目的にもOKなのです。
そこで、元からあるキッチンによっては、そのまま残すことにする場合も増えました。
たとえばこちら。
キッチン本体は設置から10年を超えていますが、レンジフードやガスコンロを新しいものと取り替え、まわりをきれいに整えてイケアのキッチンツールを設置したことで見違えました。
こちらもキッチン本体を残し、レンジフードとコンロのみを交換した事例。
ブラックをアクセントに使ってみました。
どちらのケースもキッチン本体価格は0円。
レンジフードとガスコンロを合わせても5万ほどでした。
【山小屋のキッチン本体の予算は20万円?】
こうして振り返ってみると、やっぱりキッチンはお金がかかりますね。
古いものを活用したり新古品を手に入れたりすれば5~10万で済みますが、新規にキッチンを設けるとなれば設置費込みで最低でも20万はかかる――そんな予算感でしょうか。
仕様にこだわってグレードを上げれば、あとは天井知らず。
平気で10万、20万とプラスになっていきます。
いちど母親の希望で新宿のOZONEに無垢材をふんだんに使用したキッチンを見に行ったことがありますが、ぜんぜん手が出せないお値段でした……。
さて、本題の山小屋のキッチン選びに立ち返ってみましょう。
肝心の予算ですが、いくらまでという明確な縛りはないものの、山小屋のキッチンは賃貸マンションとちがって投資したお金が目に見えて返ってくるわけではないので大胆にお金を使うわけにはいきません。
先ほど確認した「20万円」(設置費込み)くらいを目標にしたいと思います。
となると、バリバリのハイエンド系はもちろん、ちょっとこだわりがあるようなキッチンでも難しいです。
サンワカンパニーがカリモクと作った「KNSコンパクトキッチン」とか、toolboxのショールームで見た「オーダーフレームキッチン」とか、気になってたんだけど予算的にはワンランク上で手が届きません。
ムリすれば何とかなったかもしれないんですが、予算とは別にガスコンロ選びの問題なんかもありまして、あきらめました(ガスコンロ問題については追って詳しく書きます)。
思えば、世田谷のマンションの自室のキッチンを新しくしたときも、同じような思考回路をたどって、メーカー製の一般的なキッチンをあきらめたことを思い出しました。
その結果、選んだのが業務用キッチン。
聞きなれない方も多いかもしれませんが、業務用キッチンはオールステンレスで実用的なうえにかなり安価な逸品なのです。
今回もこれに落ち着きそう。
次回は業務用キッチンのメリットとデメリットについてご紹介します。