(231)【決定版】オスモカラー、ブライワックス、ワトコオイルのちがいのまとめ【前編】

インテリア

前回、ワトコオイルでウェット研磨をおこない、引戸に貼ったスライスウッドを滑らかに仕上げてみました。

スライスウッドといえば、離れ小屋の壁に貼った際にはオスモカラーのウッドワックスで塗装し、世田谷の自宅に貼った壁にはブライワックスを塗りました

これで木材仕上げ塗料界の三大塗料(って勝手に呼んでるだけ)「オスモカラー、ブライワックス、ワトコオイル」のすべてを同じ素材で制覇したことになります。この3種類については、以前日刊Sumaiの連載でtoolboxに取材させていただいたこともありました

今回は、この記事の内容も踏まえつつ【決定版】と銘打って僕自身が体感した印象を中心に3種類の塗料のちがいをあらためてまとめてみたいと思います。


■木材をしっかり保護する「オスモカラー」

まずはオスモカラー(OSMOCOLOR)から。最初にポイントをまとめましょう。

  • 塗るのにコツがいる
  • 歩留まりが良い
  • 撥水と防汚性能が高い
  • ショールームで試し塗りができる
オスモカラー

僕が使ったことがあるのは「オスモカラー・ウッドワックス」(オーク色)と「オスモカラー・フロアクリアー(つや消し」)の2つです。

ウッドワックスは離れの壁や天井に、フロアクリアーは離れと母屋の床に使いました。

オスモカラーを選んだ理由については、以前も書きましたね。

オスモカラーの特徴は「塗るのにコツがいる」ということ。

液状ではありますが、ドロッとしていて粘性が高くムラができやすいので、DIYで失敗してしまう方もいるようです。塗装についてはこちらをどうぞ。

ハケに塗料をつけ過ぎないようにすること」「木目に沿って薄くのばすように塗ること」という2点に気をつけて塗らねばならず、少々コツがいります。

以前、僕が採用したときには最小サイズでも「375ml」だったので、ちょっとしたDIYには使いづらいのが難点だったのですが、最近「125ml」のミニサイズがラインナップに加わったようです。

それでも「2,402円」とそこそこのお値段。また「フロアクリアー」などの床用は「750ml」サイズからしかありません。でも、オスモカラーは塗りのばして塗装するため「塗料の量に対する塗装面積の効率が良い(=歩留まりが良い)」のが特長です。広い面積を塗装するのに向いていると思います。

「安全性が実証されている」のもメリットです。赤ちゃんが舐めたりしても大丈夫なので木のおもちゃにも安心して塗装できます。

オスモカラーの撥水テスト
※toolboxの許可を得て転載いたしました

また「撥水性能や防汚性能が(比較的)高い」のもうれしいです。写真は取材で撥水テストをした際に撮影しましたが、長い時間を空けずにふき取れば跡は残りませんでした。

一般的に木材の質感を残して仕上げる塗料の場合、木材の保護性能が高くないのが欠点なのですが、今回取り上げる3種の中ではオスモカラーはいちばん水濡れに強く、塗装が劣化しづらいのです。キッチンの床やダイニングテーブルなどの塗装にはうってつけといえましょう。

ぜひおすすめしたいのが「ショールームでの試し塗り」。木材を持ち込んで好きな色に塗装してみることができます。オスモカラーはいろいろ種類があってどれを選ぶか迷いますが、適切な塗料を教えてもらうこともできます。詳しくは以前「日刊Sumai」で書いた記事をどうぞ。

オスモカラーの試し塗りも!「オスモ&エーデル」ショールーム体験記・その1

持参した木材にオスモカラーを塗ってみた!「オスモ&エーデル」ショールーム体験記・その2

以上の特徴を踏まえると、オスモカラーがおすすめなのは「広めの面積を塗装したい人」や「水濡れや汚れの怖れがある場所を塗装する人」でしょう。僕のように床に塗る人が多いみたいです。


■美しいツヤに仕上がる「ブライワックス」

ブライワックスのジャコビアン

続いては「ブライワックス(BRIWAX)」です。ポイントをまとめると、

  • 固形なので細かいところが塗りにくい
  • 磨くのが大変だが、美しいツヤに仕上がる
  • ウッドダイと併用すると色に深みが出る
  • 色移りがちょっと心配

僕が愛用している色は「ジャコビアン(Jacobean)」です。

世田谷のマンションに貼ったウッドウォールパネルや、

自宅のアクセントウォールに貼ったスライスウッドに塗りました。

ブライワックスの特徴はその形状。ほかの2種類が液状なのに対し、ブライワックスは固形です。

固形のブライワックス

塗装に際してはウエス(布)で塗りのばす必要があり「細かい箇所の塗装が難しい」です。ただし、気温が高い日には液状になるので塗りやすくなります。

タワシで磨く

塗装後にはタワシなどで磨いてツヤを出すのですが、これもなかなか大変。壁一面くらいならともかく、天井全面に塗装した日には相当大変な作業になるでしょう。

塗るのも磨くのも大変なのになぜブライワックスを選ぶのかといえば、それは「ツヤのある美しい仕上がりが得られる」から。

ツヤのある仕上がり

しっかり磨き上げた塗装面はうっとりするくらいきれいです。

ブライワックスの仕上がりの比較

こちらは「塗装のみ(左)」と「磨きあり(右)」の比較。ツヤを見ると一目瞭然だと思います。

個人的には、仕上がりの見た目で選ぶならブライワックスがいちばんかなと思っています。

ブライワックス・ウッドダイ

ブライワックスには「ウッドダイ(Wood Dye)」という「水性のステイン塗料」もラインナップされており、これで下塗りすると色に深みが出せるのも面白いです。

ブライワックスで仕上げたスライスウッド

「イユー」という赤みのあるウッドダイで下塗りし、上から先ほど紹介した「ジャコビアン」を塗った例です。ワックス単体よりも色に深みが出ました。手間はかかりますが、それだけの価値はあります。

さて「ブライワックスの弱点は(比較的)色移りしやすい」ところ。布を強く押し付けたりこすったりすると色が移ってしまうことがあります。

靴下に色移り

磨き終わった壁をもう一度靴下で磨いてみましたが、やはり色移りがありました。つねに足が触れる床のようなところには使わないのが基本です。

以上を踏まえてブライワックスがおすすめなのは「ツヤや深みのある仕上がりがほしい人」や「壁や家具などを塗装する人」でしょう。

長くなったので続きは後編に。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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