(268)古いタイルの汚れをあの手この手で清掃する
前回はトイレに張るタイルについて考えました。
床にはモダンな六角形のタイルを新しく張る一方で、既存のタイルも残す計画です。
昔のタイル職人さんの丁寧な仕事が感じられます。
気になるのは半世紀の時を経て付着した汚れ。
何かが垂れたような跡がトイレのあちこちにあり、すっかり固まってタイルにへばりついています。一体何の汚れなのかという疑問はさておき、新しいタイルとアンバランスな印象を与えないようにするためにも、この汚れをしっかりと落とす必要があります。
タイル好きを自任する僕ですが、日常の掃除は別として古いタイルをがっつり清掃するのは初めて。今回は、素人なりにあの手この手を試して汚れを落としてみようと思います。
■メラミンスポンジでどこまで落ちるか
ふだんのトイレ掃除なら雑巾がけで十分です。
日常で付いたちょっとした汚れはこれで問題なく落ちますが、
先ほどの汚れは雑巾ではビクともしません。
最初に試すのはメラミンスポンジ。いわゆる「激落ちくん」的なやつです。百均で安価に手に入るのでとりあえずこれからトライするのがいいと思います。
ちょっと水を含ませてゴシゴシこすると、
すぐにボロボロになりましたが、なんとか汚れを落としてくれました。
これでOKかと思ったのですが、
タイル数枚分にも及ぶ大きな汚れで試したところ、
ボロボロになるばっかりでほとんど落ちません。大量に使って辛抱強くやればなんとかなりそうな気もしますが、ちょっと効率が悪そうです。
■タイル用のウルトラハードなクリーナーを試す
ネクストバッターはこちら。
「アズマジック」のバスクリーナー「浴室タイル用研磨布」です。
けっこういいお値段なんですが、
「タイル用ウルトラハード」の宣伝文句を信じて購入してみました。
「研磨布」と名付けられていますが、ゴワゴワの繊維でできたスポンジのような質感です。
ちょっぴり水をつけてから、ガシガシこすってみました。
「みるみるうちに汚れが落ちる!」ってことはありません。でも、少しずつきれいになっていくのが感じられます。
頑固な部分には力を入れるために親指で直接押し付けるようにしてみました。
けっこう落ちました!
残りの汚れはタイルを傷つけないように気をつけながらカッターの背でそぎ落としました。
すっかりきれいになりました。
■シールの剥がし跡は簡単にきれいに
続いてチャレンジするのはこちら。
懐かしさを感じさせる「便器の使い方」のシール。うちのマンションにも貼ってあったな。
このシールを剥がした後の汚れを落としてやります。
先ほどのクリーナーでゴシゴシやると、
こちらはあっさり落ちました。優秀。下地が丈夫ならシール剥がしには最適かもしれません。
■目地に付着した汚れの掃除
こんな感じでタイル本体はきれいになったのですが、悩ましいのが目地の汚れ。
タイルの表面にくらべて目地は一段凹んでいるせいか、溜まっていた茶色い汚れは雑巾ではほとんど落ちません。
今度はカビ取りクリーナーを使います。目地に吹き付け、
歯ブラシで汚れをかき出すように目地をこすります。
この作業、壁一面となるとけっこう大変。
このあと目地に雑巾を押し込むように汚れをふき取ります。
清掃後。けっこうきれいになったと思いますが、いかがでしょうか?
完全には汚れを取り除けたわけではないのですが、離れて見るとほとんど気にならないくらいなので、僕はこのへんで満足しました。もともとの目地色がライトグレーだったので白の目地にくらべると汚れが目立ちにくいこともポイントでした。
■黒カビ汚れはなかなか頑固で難しい
ちなみに、黒カビの汚れはカビ取りクリーナーをかけてこするだけではなかなか落ちません。
世田谷の自室の洗面では水が頻繁にかかる部分に黒カビが発生して困っています。この黒カビのクリーニングについてもご紹介します。
まずは先ほどのようにカビ取りクリーナーを吹き付けます。
キッチンペーパーをかぶせてクリーナーを吸わせます。
ダメ押しにもう一度クリーナーを吹き付け。
最後にラップを押し付けるように覆いかぶせてクリーナーを黒カビに密着させ、しばらく放置します。30分~1時間くらいでしょうか。
ラップとキッチンペーパーを取り除いたら、歯ブラシで汚れをかき出してやります。
掃除後はこんな感じ。掃除前よりはきれいになりましたが限界は感じます。
目地の凹みや欠けに入りこんだ汚れは頑固ですね。ふだんからもっとマメに掃除しておくべきだったかな……。
もとの目地色がクリーム色なので汚れが目立つという要因もあります。掃除の苦労を考えると洗面や浴室などの目地は白系の色ではなく濃い目の色を選んだほうがいいんだなと実感しました。
■タイルに開いた穴をパテで補修する
さて、山小屋のトイレに戻りましょう。
掃除ついでにタイルに開いた穴の補修もしておきます。
古いトイレットペーパーホルダーやタオルかけがかかっていた名残りです。
一般的にはタイルの穴はコーキング材で埋めるのが一般的なようです。
でも、個人的には一発勝負のコーキングはちょっと苦手。
これは僕がやったものではありませんが、こんな感じでデコボコが残りやすいのがイヤなんです。
邪道かもしれませんが、僕はこれを使ってみました。
タミヤのパテ「ホワイト」です。
柔らかいのでチューブから穴に直接充填してやりました。
充填直後はパテがたれてきて、ぜんぜんきれいじゃありません。このパテ、固まる前はコーキング材と大差ない柔らかさですが、乾くとしっかり硬くなるのであとで削ることができます。
カッターとやすりで削って整えてやると、けっこうきれいになりました。やり直しがきくぶんコーキング材よりも扱いやすいと思っています。
なお、お風呂のように頻繁に水がかかる場所の場合は防水効果の高いコーキング材を選んだほうがよいと思いますので要注意です。
いろいろ試して、半世紀前のタイルがけっこうきれいになりました。
これなら新しいタイルと共存しても違和感はないはず。次回からは新しいタイルを施工していきます。