(271)珪藻土塗料を砂壁のDIYリフォームにおすすめする理由
前回まででトイレ内のタイル張りが完了しました。
引き続き内装のDIYをおこなっていきます。今回は砂壁に珪藻土塗料を塗って雰囲気を一変させてみようと思います。
■砂壁をなるべく手間をかけないでリフォームしたい
まずは塗装前の壁をごらんください。
日本家屋といえばこれ、いわゆる砂壁です。聚楽壁とか土壁とかいろいろな呼び名があるようで細かいちがいを言い出すとキリがないので、ここでは立ち入りません。
凹凸のある表情は悪くないのですが、ポロポロと砂が落ちてくるのと、ベージュとカーキの中間のような色が古臭い印象を与えてしまうのをなんとか改善したいのです。
「砂壁のリフォーム」といえば、いくつか選択肢があり我が家でもリフォーム例を見ることができます。
これは上から珪藻土を塗った例。まだDIYという言葉すら知らなかった頃に友人の力を借りて塗ったのですが、数人がかりでやっても大変だったことを思い出します。あの頃は下地処理なんて知るよしもなく、いきなり上から塗りつけただけでしたが、今でもそれなりにきれいな状態を保っています。
トイレのタイル以外の部分ももともと砂壁でしたが、15年前くらいに便器を交換した際に業者さんにビニール壁紙を貼ってもらいました。
今回の工事で古い照明を外したら、ひさしぶりに以前の壁が出現。色がグリーンっぽくて、他の箇所とはちがう種類の砂壁みたいです。
珪藻土と壁紙はどちらも手間がかかるうえにDIY難度も高いのが難点です。以前、離れに珪藻土を塗ったときには練るのも大変で、塗るのには技術が要ることを痛感しました。
下地処理が甘くて失敗したこともありました。
一方、壁紙も素人がスキマなくきれいに貼るのが難しいです。離れの二階に貼ったときには継ぎ目がずれてしまい、柄がきちんと合わずに失敗しました。
壁ひとつの作業ならともかく、今回はトイレのタイルもあれば木部の塗装もあって、砂壁に割ける労力には限りがあります。「なるべく手間をかけないで砂壁をリフォームしたい」というのが正直な気持ちなのです。
■選んだのは「U SELECT」の「珪藻土塗料」
そこで選んだのが「U SELECT」が販売する「珪藻土塗料(ペイントタイプ)」です。
昨年、キッチンをリフォームした際にも使用して、すっかり気に入ってしまいました。
この珪藻土ペイントの良いところは「ふつうのペンキよりも粘性があってたれにくく塗りやすいこと」、「ぽってりとやや厚めの塗膜が付くので下地が透けにくく一度塗りでもきれいに仕上がること」、「乾いたあとにはツヤが消え、マットで落ち着いた質感になること」など。個人的にはふつうのペンキには戻れないな、と思うくらいです。この塗料ならば砂壁の印象を簡単に変えることができるのではと考えました。
色のバリエーションもなかなか豊富。
以前も書きましたが、今回のインテリアは黒い鉄板にそろえてシックな色合いに内装をまとめたいと思っています。
そこでダークグレー系統の2色(「スモーク(SMOKE)」と「スチール(STEEL)」)のサンプルを取り寄せ、比較検討してみることにしました。
左の「スモーク」がやや赤みのある色なのに対し、右の「スチール」はやや青みがかった色。でも、正直、この写真ではちがいは伝わりづらいと思います。やっぱりサンプルを取り寄せて実物を見比べる価値はあると感じました。
けっこう悩んだのですが、最終的には木部をダークブラウンに仕上げることを考慮して赤みのある「スモーク」のほうが合わせやすいのではないか、という結論に至りました。
……と説明してみましたが、半分くらいは直感です。
■シーラーで下地の処理をする
では、実際に施工に入りましょう。
塗る前にきちんと下地の調整をするのが大事です。
固く絞った雑巾で表面をふいて、
落とせる砂粒は落としてしまいます。
ここに塗るのがシーラー(プライマー)です。
キッチンに塗った際には「U SELECT」の珪藻土ペイント専用のシーラーを使いましたが、今回はこちらをチョイスしてみました。
フジワラ工業の「アクドメール」です。
アマゾンでも扱いがあるので入手もラク。ホームセンターでも見かけました。
なぜこちらを選んだかといえば下地ごとに施工方法を記した丁寧な説明が決め手でした。
前回の下地は木材でしたが、今回は砂壁に塗装します。当然、下地ごとに調整や塗り方が異なったりするはずなのですが、世の中に出回っているシーラーはプロ仕様であるためかそういう説明がないものも多くて、僕のような素人がDIYをやるには不明な点が多すぎるんですよね。
こうやってパッケージにしっかり説明を書いてもらえると安心して作業に臨めます。
とくに下地の素材によって塗れる面積に差があることを明記してもらえると、必要な量が事前に計算できるのですごく助かります。砂壁は吸い込みが大きいので塗れる面積は合板の半分以下だそうです。そうなんです、こういう情報が欲しいんですよ。
シーラーの塗装にはハケとローラーを使います。道具や塗り方については、以前も書きましたので重複する部分は省略します。
シーラーは二度塗りが基本です。一度目は水で二倍に薄めます。
目盛りがついた透明のバケツを使うと希釈しやすいです。
広い面はローラーで、
狭いところはハケを使い分けて塗っていきます。コツはあまりありません。下塗りなのでムラも気にしなくてOK。強いていえば塗り残しがないように多めに塗るということでしょうか。砂壁にたっぷり吸わせて、しっかりした下地を作りましょう。
ローラーを見ると、けっこう砂粒が付いています。ちゃんとふいたんだけどね。
乾くのを待って二度目の塗装。
今度は薄めずに原液のまま塗ります。
壁の上部は二度目を塗り終えた部分。シーラーの塗りが濃くなっているのがわかります。
■塗り残しがないように入念に塗装
シーラーが乾いたら塗装に入ります。
塗装作業に使うのもシーラーと同様、ローラーとハケ。
珪藻土塗料の容器を開けると、見ためからしてドロッとした質感が伝わると思います。
では、この壁に塗ってみましょう。
コロコロと転がして塗っていきます。乾いたあとにほとんどムラが出ない塗料なので塗るのも簡単です。
砂壁は表面に細かい凹凸があるので塗料が入りにくいことがあります。
塗り残しができないように塗りつぶすイメージで入念に塗りましょう。
端っこはハケで塗ります。
基本的に一度塗りでしっかり色はつきますが、乾いた後に光があたるとちょっとした塗り残しが見つかってしまうことも。
こういうところは小さい筆でいいのでササっと塗り直してあげましょう。重ね塗りしたところも乾けばなじむのでムラになる心配もありません。
■マットで渋い仕上がりに感激する
では、塗装後の壁をごらんください。
塗装直後にあった光沢も消え、マットで渋い仕上がり。
砂壁の表情はそのままに、好みの色に変えられるのがいいですね。
シーラーと塗料で表面がしっかりと塗り固められているので強めに触れてもポロポロと崩れることはもうありません。
塗装前とくらべると、空間の印象がガラッと変わったと思います。
それなりに下準備はいるものの、珪藻土や壁紙の施工にくらべるとかなり簡単なので砂壁をリフォームしたいと思っている方におすすめの方法だと感じました。
次回も引き続き珪藻土塗料の話。塗装する下地ごとの塗り方のコツや、薄めの色を塗る場合に注意したいポイントなどをまとめます。