(297)ドアの塗装、何で塗る?~ドアのリメイクを考える
前回、壁や天井の塗装が完了しました。
続いて木部の塗装をおこないながらドアのリメイクについて考えてみます。
■ドアは塗らずにまわりをオイル塗装したらラク?
「ドアのリメイクを考える」なんて題しておきながら、今回はドアは塗りません。
というのも、先日、玄関と隣り合う水まわりの内装をDIYした際、ドアの塗装で失敗してしまったから。
築50年を迎える古い家なので、ドアなんてササっとやすりがけすればステインやオイルで塗装できると思ったのですが、それが大間違い。ぜんぜん塗装がのらず、ふき取った末にニスで塗装することにしました。
結局、三度重ね塗りすることになり、けっこうな手間でした。
ニスの塗装は本当に難しくて、ところどころに残念な塗りムラが残ってしまいました。
ステイン&ワトコオイルで仕上げたツヤのない木部と、ニスを塗ったツヤのあるドアと質感のギャップが出てしまったのも残念。
このときに思ったのが「こんなことならドアを塗らずにそのままにして、ドアにそろえた色でまわりの木部を塗ればよかった……」ということ。
あのときはすでに柱などをステインで塗装したあとだったのでどうにもなりませんでした。
玄関まわりのDIYではドア本体は清掃するだけにとどめ、まわりの木部をドアに合わせてナチュラルな色味のオイルで塗装してみようと思います。
こちらが塗装前の状態。
こうやって雑巾でゴシゴシふくと汚れはけっこう落ちてきれいになります。きれいになるってことは、汚れが中に浸透しないような表面処理がしっかり施されているということでもあるわけで、そりゃあ、ちょっとやすりがけしただけじゃステインやオイルは入らないよね、とあらためて感じました。
木部に塗るのはワトコオイルのナチュラル。以前、古い引戸にスライスウッドを張り付けてリメイクした際にも使用しました。
ワトコオイルはムラになりにくいので塗装作業が簡単。DIY初心者にもおすすめの木部仕上げ塗料です。ひと手間かけてウエット研磨をおこなえば素晴らしい手触りが手に入りますが今回は省略。
「ナチュラル」という名前のとおり、もともとの木材の表情や色味を損なわない「自然な」仕上がりになるのですがうっすら濡れ色は付きます。
今回工事する玄関には、上がり框のイチョウ(だったと思う)や、
下がり壁にあしらわれた竹など、塗装したくない(できない)木部もあります。木部をダークブラウンで塗ってしまうと、これらの部分と色のちがいがはっきりしてしまいますが、「ナチュラル」で塗れば差は目立ちにくいと思います。
ワトコオイル塗装後。こうしてみると塗ったか塗っていないかもよくわからないくらい。
左が塗装した木部、右が未塗装のドア。
濡れ色がついた塗装部分のほうがやや赤みがかった色になりました。このあたりは木のもともとの色味も関係ありそうなので参考ていどに。
これは玄関工事が完了した後に撮影した写真。照明の色味のせいもありますが、柱とドアのギャップはほぼほぼ気になりません。(なお、階段から奥は手を入れていません)
今回はドアを塗装しなかったぶん、手間もかかりませんでした。建具に特に目立つ傷などなければドア本体をいじらず周囲をリフォームする方法もありだなと思いました。
■引戸のリメイクを比較する~ペンキ・ニス・ブライワックス
ちょうどいい機会なので同じ建具を別の塗料や素材でリメイクした事例を比較してみましょう。
まずはペンキ塗装した引戸から。
十数年前に友人たちと水性塗料のブラウンを使って塗装しました。
目を凝らすと木の表面の凹凸はわかりますが、基本的にはベッタリ塗りつぶすことになるので、木材の質感は失われてのっぺりとした印象になってしまいます。ただ、ドアまわりも同じ塗料で塗れば統一感が出しやすいのがメリットです。
うちのマンションでも古い引戸は塗装で仕上げてもらっていますが、まわりの造作部分とのギャップもほとんどありません。
一方、こちらは冒頭でも言及したニス塗装した引戸。水性ニスを三回重ね塗りして仕上げました。ニスはペンキと同様しっかりとした塗膜を作りますが、半透明なので木材の質感もあるていど残るのが特徴です。
上手に塗れた部分を見ると、ツヤのある質感にはちょっぴり高級感も漂います。ただ、先ほど述べたとおり塗装が難しく、素人が塗るとどうしてもムラが残ってしまうのが難点。
こちらはスライスウッドを上から張り付けてワトコオイルを塗った引戸。もともとのドアに破損や汚れが目立つ場合でも、この方法なら心配ありません。
張り付けの作業にはそれなりの手間と費用がかかりますが、無垢材を張っているので塗料は自由に選べます。
こちらは引戸ではなく袖壁ですが、同じスライスウッドをステインとブライワックスで仕上げました。色やツヤがちがうと印象も変わりますね。
薄いシナベニヤを使えばコストダウンも可能。写真は引戸ではなく、古い障子の内側にシナ合板をはめこんだ例です。板を一枚張るだけならば、木材を加工する手間も省けて簡単です。
シナは木目がきれいなので濡れ色をつけないようホワイトのワトコオイルで塗装しました。安いわりに端正な雰囲気に仕上がったと思います。
こうしてくらべてみると、リメイク次第でドアの表情もガラリと変わるのがおわかりいただけたのではないでしょうか。