(332)秋田木工の剣持スツールをDIYで張り替えリメイク【座面編】

引き続き、秋田木工の剣持スツールを張り替えていきます。
前編では取り外した脚部を白く塗装しました。
後編は座面を新しい生地で張り替えます。
■古い生地をはがしてクッションを取り替える

解体して脚部から外した座面です。
張ってある生地は僕が以前タッカーで張り替えた生地。

小型のバールを使ってタッカーの針をひとつひとつ外していきます。
この「マイティバール」、小さいですが意外と便利でおすすめです。ずっと前に大した考えなしに購入したのですが今でもDIYに重宝しています。
ずっと前にもともとの座面のビニールレザーをはがしたときにも使いました。

このスツール、ものによっては釘を使って固定されている場合もあります。

長年にわたって製造されてきたベストセラーですから、製造年代によって留め方や中のクッションが異なるのでご注意ください。

生地をはがし終わりました。中のクッションスポンジもかなりへたっています。

めくってみるとペラペラ。張り替えついでにこのクッションも交換します。

ホームセンターなどでウレタンシートを買ってきてもいいのですが、ずっと使わないまま放置されていた無印良品のクッションシートを流用することにしました。

中身のウレタンは二層構造になっています。このままだと厚過ぎるので分割してみます。

経年劣化していたのか、うまくはがすことができました。

ウレタンシートに座面を重ねて、

座面にあわせて油性ペンでふちどりをしたら、

線に沿ってハサミでカットしていきます。

座面の角にあたる部分も斜めにカットして、

クッションの準備が完了しました。ウレタンを座面に固定しなくても張り替えはできますが、不安な人は両面テープで数か所仮留めしてあげるといいかもしれませんね。
■張り替え生地は「ミナ ペルホネン」の「タンバリン」
さて、いよいよ生地の張り替え作業に入ります。
どんな生地を選ぶか、もっとも悩ましく楽しい問題です。

これまでもさまざまな生地でこのスツールを張り替えてきましたが、中でもいちばん評判がよかったのが「ミナ ペルホネン」の「タンバリン」です。

プリントではなく、立体的に丸模様が刺繍されているのが特徴。デザインは文句なしに素晴らしいのですが、価格もお高いのでメルカリで端切れを探しました。

34センチ角の座面に対し、42センチ角の端切れを「3,800円」で購入しました。サイズ的にはギリギリなので、できれば余裕を持って50センチ角くらいの生地を準備するのが理想です。
生地を座面に固定するにはタッカーを使います。

一般家庭にはない、ややマイナーな道具ですが、これひとつで生地の張り替えができると考えれば持っていて損はありません。
ミニサイズなので針付きでもリーズナブル。張り替えにトライするなら、ぜひ購入をすすめます。
使い方はホッチキスと同じ。

留めたい場所の上に合わせ、レバーを押し下げて針を打ち込みます。

「ガチンッ!」と大きな音がするので、ついビビッてしまうかもしれませんが、ためらいなくレバーを押すのがポイント。

これは失敗例。ゆっくり押してしまったり押す力が弱かったりすると、こんなふうに針が中途半端にしか打ち込めません。この状態だと指先が触れたときにケガをする怖れもあるので、バールで外してやり直しましょう。
生地を留める際に注意したいのが「たるみのないように生地をしっかりのばして張る」こと。一か所を留めたら、その反対側を留める際に生地を引っ張ってピンとのばしながら留めるようにします。

座面の四隅から始めて、四辺の真ん中部分を留めます。続いて、留めた8カ所の真ん中にあたる8カ所にも針を打って固定していきました。
途中途中で生地にしっかりテンションがかかってたるみがないことをこまめに確認しながらの作業です。タンバリンの場合、丸い刺繍が歪んだり偏ったりすると見栄えが悪くなるので、きれいに見えるように気をつけるといいでしょう。

四隅の生地はふつうにたたむと厚過ぎて留められないので、余った生地をヒダ状にまとめてタッカーで留めます。

あとは気になるところを留めたら張り替え終了。

模様にもずれがなく、きれいに張れました。
■塗装済みの脚部と張り替えた座面を組み立てて完成

ようやく脚部と座面それぞれのリメイクが終わりました。

前回ご紹介した解体の手順をさかのぼるように脚を座面に固定します。解体時と同じく、ペンチの二刀流でネジ本体を動かないようにしながらボルトを回せば、しっかりと締められるはずです。

完成しました!「タンバリン」を張った座面と白く塗った脚部が合わさり、リメイク前とは別のイスのように生まれ変わりました。

山小屋のひのきタイルの上に置いても、けっこうさまになっています。

マンションの部屋に置いたところ。ヘリンボーンの床に負けない存在感です。一瞬、私物化したい気持ちがよぎりました(笑)。

生地の色味としてはブルーなのですが、グレイッシュなブルーなので部屋から浮いてしまうこともないと感じました。脚と座面の両方に手を入れるとそれなりに手間と時間がかかりますが、労力を費やした価値はあると思います。
今回リメイクした剣持スツールは100万脚を売り上げたベストセラー商品なので、リサイクルショップやメルカリなどでも手に入りやすいと思います。ぜひ好みの生地で張り替えにトライしてみてください。