(336)失敗DIYワースト5と、それでも僕がDIYをすすめるワケ
これだけDIYを繰り返していると、かなりの回数の失敗も経験します。
プロじゃないのだから失敗は避けられないのはわかっていますが、それでも汗をかきかき頑張った末に出来上がりに失望するというのはなかなかツライものがあります。
今回は僕が経験した数々の失敗の中からワースト5をご紹介し、それでも僕がDIYをおすすめしたい理由もお話したいと思います。
■【ワースト5位】無垢の床に浮かんだバッテン模様
まずご紹介するのが、山小屋の離れの床に「西粟倉 森の学校」の「ユカハリタイル コグチ」を張ったときの失敗。
コグチタイルはその名のとおり、木の断面=小口の模様が印象的な床材です。
モザイクタイルと木の床を切り替えて張ったところも含め、自分なりにこだわりました。
しかし。
光が当たっているときに目を凝らして見るとバッテン模様がうっすら見えます。これ、実は木材を接着したときに裏面に塗ったボンドの跡なのです。
ユカハリタイルは50ミリ角の木製タイルを裏のゴムシートでつなげた床材です。これを床に接着するのに「ボンド G17」を選んだのですが、このときに×のかたちに塗ったボンドがゴムからオモテの木にまで浸透してうっすらと浮かび上がってきてしまったようです。素材に対するきちんとした知識があれば防げたのでしょうが、僕のような素人にとっては予想外の失敗でした。
でも、光が当たっているときに目を凝らして見えるていどなのが救いです。
■【ワースト4位】トイレの壁に塗った珪藻土の模様
続いては同じく離れのトイレの壁に塗った珪藻土の失敗です。
トイレの壁と天井には練り済みの珪藻土を使いました。
水を入れて練る手間がないのでラクだったのはよかったのですが、下地の準備に失敗しました。
石膏ボードの下地にあった継ぎ目をパテなどで埋めたのですが、この作業が雑でした。ざっくり塗っただけでやすりがけもしなかった結果、
珪藻土を塗っても下地の粗が丸見えに。
もう引き返すこともできないので、
急きょランダムな厚塗り模様にしてごまかしました。本当は横向きにクシ目を入れて、もっとおとなしい感じにしたかったんですけどね……。
まあ、最終的な仕上がりが汚くなったわけではないので結果オーライだと考えるようにしています。
■【ワースト3位】キッチンの壁タイルの目地がガタガタに
次はこのブログでもたびたび取り上げているタイルDIYにまつわる失敗です。
僕はタイルが大好きで、もう数え切れないほどDIYをしていますが、今でもけっこう失敗します。中でも忘れられない失敗が山小屋の母屋に新設したキッチンの壁タイルの目地入れ。
このときは壁に小口平タイルという厚めのタイルを張りました。ディスクグラインダーによるタイルカットを無事に終え、張り付けまでは順調でした。
難所を乗り越えて慣れた作業に入ったところでしくじりました。
目地入れに失敗しガタガタになりました。
世田谷のマンションで同じタイルに白の目地を入れたときとくらべると差は歴然。
今でも原因はいまひとつわからないのですが、半端に作業に慣れたせいで我流が過ぎていたことが挙げられると思います。
今、見返してみるとちょっと目地がゆるすぎる気がします。適当に水を追加してしまったのかも。
ゆるかったせいもあり、目地入れ作業もゴム手袋で直接塗りつけたのですが、これもよくない気がします。きちんと目地に目地材が入り込みませんでした。
床タイルの施工時に同じ目地材でリカバーしましたが、やはり仕上がりはイマイチ。実用には困らないのですが、残念といえば残念です。
■【ワースト2位】海外製の高級壁紙を張ったら、見事にズレた……
第2位は離れの二階の屋根裏に張った壁紙を張ったときの失敗です。
壁紙を張るワークショップにも参加し、満を持してイギリス製の壁紙を選びました。
「コール&サン(Cole & Son)社」の「ノーチラス(Nautilus)」という壁紙です。1ロールで3万円という高級壁紙ですが、張り付けで大失敗。
継ぎ目は目立ち、
表面はところどころハゲ、
思いっきりズレた部分も。
クオリティ的だけでいえば自分史上いちばんの失敗でした。
先日のマンションの工事で壁紙屋(クロス屋)さんの作業に立ち会って感じましたが、壁紙の張り付けは本当に高い技術が要る作業で、素人が手を出すとこんな感じになってしまうのも仕方ないのかもしれません。
不幸中の幸いは粗が目立ちにくい柄だったこと。
ごらんのとおり「ノーチラス」は入り組んだ模様の壁紙なので、遠目から見るとズレやハゲが目立たないのです。おかげであきらめがつきました。
■【ワースト1位】ドアにニスを上塗りしたら、ムラが気になる仕上がりに
栄えある第1位は、母屋の水まわりの建具に塗ったニスです。
お読みいただければわかりますが、そもそもドアの下地をしっかりと準備していなかったのが原因でした。第4位の珪藻土もそうですが、DIYとは下準備を入念にすることが成功への第一歩なのですが、僕のような素人はラクをしたくてつい手を抜いてしまいます。いかんですね。
そのせいで予定外のニスでの仕上げをする羽目になりました。
ニスの塗装はなかなか難しく気になるムラがそこここに。
ニスで仕上げたドアは光沢があり、やすりがけしてワトコオイルを塗ったツヤのない柱とならぶと質感がズレた点も失敗したなと感じたところ。
このときは自分が思い描いていたものと出来上がったものとの乖離が激しかったせいもあり、けっこうガッカリしました。完成度でいえば第2位の壁紙よりは上手にできたのかもしれませんが、作業直後の落ち込みでいうとこれがワースト1位です。
■その失敗は誰も気にしないし、時間が経てば自分だって忘れる
いかがでしたか。失敗の話ばかりして後ろ向きに終わるのもなんですからポジティブな話で〆ましょう。
DIYした本人からすると失敗はいつも致命的なものに感じてしまいがちですが、それは自分の視線が対象に密着しているからです。
山小屋に遊びに来たお客さんに「実はここが失敗してね」という話をすると、ほぼ全員が「言われるまで気づかなかった」と言います。
室内を見る人(の大半)が感じるのは部屋全体のインテリア(というか雰囲気?)であって、細かいディテールではありません。僕の気にする失敗など、他人にとっては意識にものぼらない些細な事柄なのだとわかりました。そもそも建築家や職人たちが造った「作品」とはちがい、ただの住居や宿泊施設なのですから当たり前といえば当たり前のこと。
では、自分の意識はどうでしょう?
いつまでも失敗を引きずって暮らしていくのかといえば、そんなこともありません。壁もドアも床もすべては生活の背景に過ぎず、同じ空間で生活する日々を重ねるほど、空間の新鮮さは薄れて当たり前のものになっていき、次第に失敗も気にならなくなります。
その証拠に、最初は落ち込んだ失敗の数々も、結局ほとんど手直ししないまま現在にいたっています。
これはDIYで失敗を怖がる人にとっては、ある意味で大きな励ましになると思います。少しくらいの失敗を怖れず、とにかく手を動かしてみること。やはりDIYにとってはそれがいちばん大事なのです。