(340)低めの椅子のススメ~天童木工の中座椅子とトヨさんの椅子

家具や雑貨

今回は椅子の話。

母屋のリビングではブルーノ・マットソンがデザインしたイージーチェアを愛用していることは以前も書きました。

この椅子、背中に向かって座面が傾斜しています。

横から見たマットソンのイージーチェア

ゆったりと体を預けることができて座り心地は最高なのですが、そのぶん前傾姿勢を取りづらい構造になっていて、机に向かって仕事したり食事したりするのには向きません。

イージーチェアとダイニングテーブル

我が家のテーブルはかなり低めなのでお茶するくらいなら問題はないのですが、ちゃんとした食事となると体勢に苦しさを感じることもあります。やはりイージーチェアで食卓はムリがあるかなと感じるようになりました。


■トヨさんの椅子で低めの椅子の良さを実感する

そこで、仕事や食事のときに使うようになったのが、以前もちらっとご紹介した「トヨさんの椅子」です。

正面から見たトヨさんの椅子

トヨさんの愛称で呼ばれた豊口克平がデザインし、天童木工が発売。廃番となったあとは「モノ・モノ」が運営する「低座の椅子と暮らしの道具店」で販売が続けられています。

横から見たトヨさんの椅子

座面の高さはおよそ37センチ。一般的な椅子の座面高は40~45センチほどですから、ちょっと低めなのですが、そこがよいのです。

僕の身長は167センチで平均より低めで家族にも背の高い人はいませんから、座面がやや低いくらいのほうが座ったときにべたりと足裏がつき、座り心地もしっくりきます。視線が低くなると気持ち的にもリラックスする感じがします。

トヨさんの椅子とダイニングテーブル

低めのテーブルと合わせるとリビングの圧迫感も減り、部屋がすっきり広く見えるのもうれしいところ。

DIYしたテーブルから逆算してはじまった低座生活ですが、思ったよりも快適だなと実感しました。


■二脚目には天童木工の中座椅子を選んでみた

トヨさんの椅子で低めの椅子の良さを知ることができたので、妻と二人で座るときのためにもう一脚、低めの椅子を探すことにしました。

高齢化が進んで平均身長の低かった世代が老人となったせいでしょうか、「低めの椅子」と検索するとたくさんの椅子が出てきますが、デザイン的に自分好みのものはなかなか見つかりません。

そんななか、検索した画像の中に以前もご紹介した長大作デザインの「低座椅子」も混じっていて、「さすがにこれじゃ低いだろう」と思って、はたと気づきました。

この「低座椅子」のバージョンちがいで「中座椅子」があるのです。「Yahoo!ショッピング」の画像でごらんください(画像には商品ページへのリンクが張ってあります)。

座面高は34センチ。トヨさんの椅子よりもさらに低めですが、我が家のテーブルにはむしろぴったりくる高さです。

いつもなら実物を座りに行ってたしかめるのですが、ちょうどヤフオクで良さげな中古品が出品されていたのを見つけてしまい、思い切って購入しました。

前から見た中座椅子

低座椅子を見慣れているせいか、想像したよりも座面が高い印象を受けました。座面の両端が跳ね上がっているのも特徴ですね。ハの字型の脚もきれい。

横から見た中座椅子

横から見たところ。測ってみると座面の先端の真ん中がだいたい34センチでした。

低座椅子と同様、やや背面に向かって傾斜がありますから、背中側はもう少し低くなります。背もたれもゆるやかにカーブしているので、体をしっかり預けられるところも低座椅子と変わりません。

テーブルと中座椅子

高さ58センチのテーブルと組み合わせてこんな感じ。テーブルと座面の間(=いわゆる差尺)が24センチなので、テーブルに対して座面がやや高過ぎるのかもしれませんが、使用感に不自由はありません。60センチくらいの高さのテーブルがベストでしょうか。

ダイニングテーブルと椅子二脚

というわけで、現在はトヨさんの椅子の椅子と中座椅子の二脚で小さなダイニングを作っています。マットソンのイージーチェアはのんびり本を読んだりゲームをしたりするときや、来客時のサブの椅子として活用しています。


■トヨさんの椅子と中座椅子の座り心地を比較する

さて、ここからはトヨさんの椅子と中座椅子、両方を使用してみて感じた座り心地の比較をしていきたいと思います。

トヨさんの椅子と中座椅子をならべて

あらためて、オフィシャルデータから両者のサイズを引いてみると…

  • 【トヨさんの椅子】幅60センチ、奥行62センチ、座面高37センチ、高さ73センチ
  • 【中座椅子】幅53センチ、奥行61.6センチ、座面高34センチ、高さ75センチ

数値的に言うと「トヨさんの椅子は座面の幅が大きめで座面もやや高い」というのが目に付きますが、実感としてはどうでしょうか?

トヨさんの椅子と中座椅子をならべて

まず、用途うんぬんを別にしてストンと腰をおろしてみた感想をいうと、どちらもとても座り心地が良いのはまちがいありません。

ただ、その座り心地の特徴にちがいがあるのです。

斜めから見た中座椅子

中座椅子は座面にしっかりしたカーブがついており、背面方向に向かって傾斜もあるのでしっかりと体が収まるという感じがします。ホールド感と言ってもいいかもしれません。

斜めから見たトヨさんの椅子

一方、トヨさんの椅子の座面は中座椅子とくらべて平坦で広く、ホールド感はありません。むしろ、どんな姿勢で座っても受け止めてくれるような許容性の高さを持っています。

あぐらをかいてみることもできますし、片脚を斜めに出して体を開いて座ったりもでき、「座りのバリエーション」が豊かな印象を受けます。同じ低めの椅子でありながら、しっかりと真ん前を向いて座る中座椅子とは対照的です。

トヨさんの椅子と中座椅子をならべて

「座りの方向性」が異なるということは、それぞれの用途に多少の向き不向きがあるということでもあります。

デスクワークにせよ食事にせよ、中座椅子は対象に向かって真っすぐな姿勢を取る場合に適しています。パソコンに向かって仕事するときなどは、このホールド感が最適だと思っています。背もたれも十分な大きさがあるので、もたれかかってリラックスすることができるのもいいです。

一方、楽器を演奏したり、斜め方向を向いて話したりテレビを見たりする場合には、トヨさんの椅子のほうがラクな姿勢が取れます。長時間の作業の途中に姿勢を変えてあぐらをかきながら座れるのも心地よいです。

椅子二脚とダイニングテーブル

一人のときは用途によってどちらかを選びつつ、二人のときは一緒にテーブルを囲む――今はそんな使い方をしています。

どちらも名作と呼ばれるにふさわしい椅子ですが、座りくらべてみると意外にちがいがあるものだな、と感じました。ちょっぴり低めの椅子をお探しの方の参考になれば幸いです。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。ESSE online(エッセオンライン)に記事を書くことも。 インスタグラムも...

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