(355)熱海のリゾートマンションにどんな条件を求めるのか

別荘管理&修繕

前回、戸建ての別荘とリゾートマンションを比較しました。

最後にちらりと触れましたが、僕が購入した熱海のリゾートマンションからは海が一望でき、それが購入の大きな決め手となりました。

しかし、いざ実際に物件を比較検討すると「眺望」以外にもさまざまな条件が絡まりあうものであり取捨選択に悩んだのも事実です。

今回は、熱海のリゾートマンションを選ぶ上で重視される要素や条件を列挙しつつ、僕が「物件に求めたもの/あきらめたもの/いらないと感じたもの」についてまとめたいと思います。


■どのくらい海が見える?(→しっかり海を一望したい)

熱海のリゾートマンションにおいて海が見えるのは付加価値になるので、キャッチフレーズに「オーシャンビュー」とか「海一望」とか書かれている物件は多数あります。しかし、いざ物件の詳細を見てみると「意外に海が見えないな……」と感じることも多いのです。

熱海のリゾートマンションの写真を挙げると差し障りがあるので、以前宿泊した海沿いのホテルや旅館で撮影した写真を参考にしてみましょう。

旅館の窓からの景色
※写真はイメージです

ベランダから海は臨めるものの、手前に駐車場や電線などがゴチャゴチャとしているのが気になります。

旅館の窓からの景色
※写真はイメージです

こちらはたくさんの建物の向こうに海が垣間見えるといった感じ。このほか、ベランダに出て横方向をのぞきこむと海が見えたりする物件などもありました。

どれも「海が見える物件」であることは事実ですが、僕が望む「海が見える物件」ではありませんでした。

マンションの窓からの眺望

僕が購入した部屋の窓からは疑いなく「海が一望」でき、余計なものはほとんど見えません。この眺望は文句なしでした。

逆に、「眺望に興味がない/眺望をあきらめてもいい」という方は、海の見えない物件を狙えば僕のような人と競合しないで済むと思います。


■花火や日の出も眺望のうち(だけれど、個人的にはこだわりなし)

熱海といえば花火も有名ですから「窓から花火が見える」という条件にこだわる方も多いと聞きます。「窓から花火を見ながらビールを飲むなんて最高ですね」的な売り文句も目にしますが、個人的にはまったく意識しませんでした。

でも、熱海に物件を買ったことを人に話すと「じゃあ、花火が見れるね」と言われることが多く、世の花火人気の強さを実感しています。

サンライズ
※写真はイメージです

また、サンライズやサンセットが見えるというのもよく見るキャッチコピーです。僕自身はこちらもノーマークで、不動産屋さんから「この物件は日の出が見えますよ」と言われて初めて知りました。

富士山
※写真はイメージです

このほか海沿いのエリアだと富士山ビューというポイントもありますが、熱海だとかなり高い場所に位置する物件でないと見えないようです。

などなど眺望にこだわりがある方は事前にきちんと確認するとよいでしょうね。現時点では見通しがよい物件でも、将来的に大きな建物が目の前に建つ可能性もあるので要注意です。


■熱海といえば温泉大浴場(だが、個人的には部屋風呂でいいかも)

熱海といえば「温泉」も目玉のひとつです。

温泉
※写真はイメージです

多くのリゾートマンションは住人がいつでも利用できる大浴場を備えています。わざわざ日帰り温泉の施設などに出かけることなく、好きなときに大浴場が楽しめるのは温泉好きにとってはたまらないでしょう。

ひとことで「温泉」といってもその中身には差があるらしく、「源泉かけ流し」か「循環式」か、はたまた「運び湯」かなどによってグレードが異なるんだそうで、ネットの掲示板などを見てみると「あんなのは温泉じゃない」なんて発言もちらほら見受けられ、温泉好きのこだわりの強さを感じさせます。

僕個人は温泉に入るのは好きですが、泉質にこだわるような温泉好きではありません。それに、リゾートマンションの大浴場については衛生管理や定住組の住人達とのコミュニケーションへの不安などもあって面倒そうだと思っていたので物件選びにおいては温泉施設にはこだわりませんでした。

海の臨めるお風呂

ちなみに、僕の選んだ物件はお風呂から海を臨むことができます。正直いうと、海を見ながらお風呂に入れるならば、お湯の中身は温泉じゃなくてもいいかもとすら思っています。


■共用施設の充実をどうとらえるか?(不要だがレストランはうらやましい)

大浴場以外にも、リゾートマンションでは、プールやジム、卓球やカラオケ、レストランなどの共用施設が充実しているところが少なくありません。

一見すると、こういう施設が充実していればしているほど便利そうに思えますが、裏を返せば施設の維持管理に費用がかかるわけで、こういうマンションは管理費が高額になりがち。個人的には人付き合いの発生しそうな共用施設のないマンションを選びたいと思いました。

ただし、外に出かけることなくリゾートマンション内のレストランで食事できるのは便利だと思います。休日ともなると熱海は道路も街もクルマと人でごった返すことになるので、マンションの中で食事が済ませられるのはきっとラクでしょう。中にはマンション内にデリバリーサービスをおこなっているところもあるそうで、素直にうらやましいです。でも、譲れない条件に入れるほどではなかったかな。


■広さと間取りの希望は?(リビングと別に寝室がほしい)

熱海のリゾートマンションは、通常の居住用の分譲マンションとくらべるとかなり狭い物件が多い印象があり、20平米から30平米ほどのワンルーム物件もたくさん売りに出ています。

リゾートマンションの間取り

これは僕が購入したマンションの間取り。広さは約50平米ですが、熱海ではこれよりも狭い部屋も珍しくはありません。たまに訪れるだけであれば家具や荷物も少ないでしょうから、夫婦ふたりだけで過ごすと決めているのであれば、もっと狭い物件でもよかったかもしれません。

僕の場合、マンションの入居者さんを連れて遊びに行くことを想定しているので別々に寝られるように独立した寝室がある間取りを選びました。


■リフォームは必要?(未工事の安価な物件が希望)

物件価格にダイレクトに反映される大事な要素が「どのていどリフォームが施されているか?」です。

リフォーム前の部屋

半世紀前に建てられた築古のリゾートマンションの室内は、ほとんど手が加えられていなくて汚かったり、月日が流れるあいだに持ち主によってさまざまな手が加えられていたりして状態はさまざまです。

買ってすぐ使いたいという人にとっては多少高額でもリフォーム済みの物件がいいかもしれませんし、僕のようにDIY好きならあまり手が加えられていない物件を選ぶほうが安価に済んでいじりがいがあります。

躯体がむき出しになった室内

僕の選んだ部屋はリビングが半分解体されたような状態で、コンクリートの躯体が露わになっていました。これも決め手のひとつで、ありきたりなリフォームがなされているよりも百倍いいなと感じました。

僕が検討したマンションはたまたま他の部屋も売りに出ていましたが、リフォーム済みの物件は倍近くの価格。余計な手が入っていない安価な物件は僕の希望にぴったりでした。


■やっぱり駅近がいい?(むしろ、クルマでのアクセスが大事)

アクセスも重要です。

熱海駅

熱海は新幹線の停車駅ということもあり、駅近の物件を選べば通勤も可能です。コロナ禍では駅近物件は売買・賃貸ともに好調だったと聞きました。熱海の街をぶらぶら歩くのが好きな場合も駅近を選ぶほうがいいでしょうね。

海沿いの道路
※写真はイメージです

僕個人は主に自家用車で移動しますから駅が近い必要はほぼなし。ゲストの利便性を考えると駅から徒歩圏内だとベターですが、駅近は絶対不可欠な条件ではありません。

むしろ、重要視したのは東京からの距離。下田のような熱海よりも南のエリアのリゾートマンションも売りに出されているのですが、東京からの距離は熱海よりもさらに遠くなります。クルマの運転が得意でもなければ好きでもない僕のような人間にとっては、なるべく近いほうがいいと思いました。

熱海エリアであれば電車で来訪するゲストにとってもアクセスしやすいですし、駅からはバスやタクシーを使ってもらえばいいかな、と。


■条件ごとに優先順位をつけて価格と相談すべし

さまざまな条件を挙げてきましたが、これでもあくまで一般論。ここにあてはまらない条件を重視する人もいます。

熱海に物件を見に行ったことがあるという人に相談したところ、その人が検討したのが「築古で駅から遠く海も見えない」格安物件で、なんでそんなところを……と思ったらゴルフに行くための拠点にしたいからという理由でした。マリンスポーツや釣りなど、趣味を起点に選ぶ一点突破型だと物件は検討しやすいですね。

でも、いろいろな条件をならべて検討して初めて「自分にとってその物件の価格が高いか安いか」が見えてくるのが一般的だと思います。

熱海のリゾートマンションの室内

僕が購入した物件は300万円ちょっとで諸費用を含めても350万円しませんでしたが、それをもって「安い」と言えるかどうかはわかりません。

自分としては「解体の費用もかからないし、ちょっとDIYすればかっこよくなる」と感じられたのでお値打ちの物件と自負していますが、「あんなふうに汚くて廃墟みたいな物件に350万円も出せない」と感じる人だっているはずです。

これは不動産全般に言えるのかもしれませんが、物件にはそれぞれの個性もあれば難点もあるわけで、それをどう判断するかは買い主の考え方次第です。

ポイントは条件ごとに優先順位をつけること。あれもこれもと思うと欠点ばかりが目に付いてしまい、いつまでも決めることができないと思います。自分にとって大事な条件を満たしているのであれば、多少の欠点には目をつぶることができるはず

僕の場合は「眺望」と「内装(のいじりやすさ)」を両輪に、間取りや共用施設の有無やアクセスの利便性などの要素を加味して、値段とにらめっこして決めたという感じです。

それを踏まえた上で一般論をいえば、やはり500万円くらいまでの物件は比較的安価な物件と言えると思います。熱海で案内してくれた不動産屋さんによると、500万円くらいまでの価格帯の物件はコロナ禍においても活発に取り引きされていたそうで、「気楽に」購入できる価格=安価なのだと言っていいのでしょう。

さて、自分の求める条件をはっきり意識するには実際に物件を見に行くことが大切なのはいうまでもありません。次回は内見から購入までの体験談です。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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