(362) “別荘の宿泊費”を算出し、維持費の意味とコスパを考える

お金のこと

前々回、熱海のリゾートマンションの維持費をまとめ、

前回は山の家の維持費をまとめました。

奇しくもどちらも「毎月5万円弱」という結果になりました。

今回は、この維持費をベースに(ムリを承知で)“別荘の宿泊費”を算出してみたいと思います。といっても目的は宿泊費を知ることではなく、別荘の維持に5万円を払う意味について具体的に考えることにあります。

なお、今回もそれらしい画像がないので、過去に宿泊したホテルなどの写真をイメージとして掲載しますが、内容とは直接関係ないイメージもあることをご承知ください。


■山の家の宿泊費は「一泊8,219円」

まず、一年で山の家に何泊したかを数えてみました。

昨年、山を訪れた回数はぜんぶで26回、宿泊日数は73泊でした。ちょうどぴったり5日に1日は山の家に泊まっている計算になります。わかりやすい。

山小屋周辺の緑

では、年間の維持費の合計を5万×12カ月=60万円として、一泊あたりの金額を算出してみましょう。

【60万円÷73泊=一泊8,219円(端数切捨)】

一棟貸しの素泊まりでこの価格。基本的に夫婦で泊まるので二で割って一人4千円強。

う~む、別荘のヘビーユーザーを自任していたつもりでしたが、それでも激安とは言えない金額ですね。


■もし維持費の60万円でホテルに泊まったとしたら?

別荘のコストパフォーマンスをめぐる議論で必ず出てくるのが「そんな高額の維持費を払うくらいならば同じ金額を使ってホテルに泊まったほうがいい」という意見です。

ハレットハウス腰越のベッド
※写真はイメージです

この提案に従って年間60万円をホテルに使ってみると仮定してみましょう。

たとえば、一泊一人15,000円のホテルなら夫婦で年間20泊できます。食事付きの宿に泊まれば炊事洗濯の手間もなし。たしかにラクそう。

奮発して一泊一人30,000円の高級ホテルに年間10泊するという考え方もあります。ほぼ毎月、非日常感あふれる豪華な宿泊体験ができると思うとなかなかの贅沢です。

ちなみに素泊まり3千円の宿だと夫婦で年間100泊もできてしまいます。

こんな具合にホテルの宿泊費に換算してみると別荘の維持費の高さがまざまざと感じられ、コストパフォーマンスに劣るという議論が出てくるのもうなずけます。


■複数の別荘を持ったケースを想定するとますます…

僕は今年の春に熱海のリゾートマンションを取得しましたので、複数の別荘を使い分けるとなるとさらにコスパは下がります。

熱海のリゾートマンション

昨年、山の家に73泊しましたが、熱海にも73泊することはほぼ不可能です。仕事の関係で世田谷を離れられない日も多いですから、別荘で過ごす日数自体を劇的に増やすことはできないでしょう。

これまで山の家に宿泊していた73泊の半分を熱海で過ごすことになると考えるのが妥当ですが、寒冷地に建つため冬の間は閉鎖する山の家とはちがい、熱海は暖かい場所なので通年で使用できます。12月~3月の4か月間、月に2度来訪して2泊すると仮定して、16泊を先の73泊に追加し、年間で計89泊すると考えることにしましょう。

切りが悪いので年間90泊とし、これを山の家と熱海のマンションに割り振り、それぞれ45泊ずつということにします。


■別荘に年間45泊と仮定すると「一泊13,333円」

60万円の維持費に対し45泊として“別荘の宿泊費”を計算すると…

【60万円÷45泊=一泊13,333円(端数切捨)】

素泊まりと考えると、けっこうな金額です。夫婦で割っても6,666円(端数切捨)ですから安くはありません。

ホテルクラスカのベッド
※写真はイメージです

山の家と熱海のマンションの両方に費やす120万円の維持費をホテルに使うと仮定すると、先ほどの倍の日数の宿泊が可能になります。

一泊一人15,000円のホテルなら夫婦で年間40泊、一泊一人30,000円の高級ホテルでも夫婦で年間20泊です。

毎月のように高級ホテルに二泊できるなんてちょっと夢のようですが、もし山の家も熱海のマンションも所有していなければ、それくらいの資金的な余裕ができるわけで、これはなかなか考えさせられる金額です。

なお、素泊まり3千円の宿なら夫婦で年間200泊(!)もできるわけで、こうなると大きめのクルマでもあれば一年の半分以上を旅に費やすことも可能です。まあ、実際にはかなり難しいのではありますが。


■それでも別荘を選ぶという考え方だってある

とまあ、数字をめぐる思考実験としては、やっぱり「別荘のコスパは悪い」という結論になりそうなのですが、そう言い切れないのが不動産の面白いところでもあります。

山小屋の離れ
※離れの山小屋

まず、個人的な事情から話しておくと、山の家の離れは世田谷のマンションの入居者さんに使ってもらうための施設です。母屋を頻繁に訪れる理由のひとつはこの離れの管理・運営にあります。賃貸マンションに対する「付加価値」としての意義があるので、単純に金額だけでホテルと比較することはあまり意味がありません

そういったビジネス面を別にしても、別荘にはホテルにはない楽しみがあります。

この記事でも書きましたが「予約不要で長期間滞在」できますし、「他人がいないので気を使わないで済む」のもラク。「お客さんを気楽に呼べる」のも良さですし、周辺のエリアに愛着が湧けば「もうひとつの地元」を持っているような暮らしが味わえます。

DIYイメージ

また、DIY好きの僕のような人間にとっては「部屋を好き勝手にカスタマイズできる」のも魅力です。

これらはどれもホテルでは得られないメリットでしょう。

こうしてみると「別荘を持って維持費を払うか、同じ金でホテルに泊まるか」という選択は、単なるお金の計算ではないことがわかります。本当のコストパフォーマンスはその人が求めるライフスタイルによって大きく異なるのだろうと思えます。

いつも新しい場所を訪れたい、非日常の驚きがほしい、旅先で家事はしたくない――そんな考え方の人は別荘よりもホテルが向いているでしょう。

逆に、趣味に特化した部屋で自分だけの時間を過ごしたいとか、友人を招いてゆったり過ごしたい向きには別荘のほうが向いています。僕自身、年に一度か二度小旅行ができれば十分で、やはり別荘のほうが向いているのだと思います。

ただ、別荘の場合、親や親戚が所有していた物件がほとんど使われなくなって放置されているケースが多いのには注意が必要です。工事前の離れもそうでした。

工事前の離れ小屋
※工事前の離れ小屋

別荘を所有する知人に話を聞いても「年に数回しか泊まらない」という人も多いですし、そのていどの頻度なら維持費に見合わないので手放したほうが合理的な可能性は高いです。

でも、それですら人それぞれ。極端な話、たとえ年に一度しか訪れなくても、所有する価値があると思える場合だってあるでしょう。

「別荘はコスパ悪い」的な言説に過度に惑わされず、自分の望むものをしっかりと見極めて維持費と慎重に天秤にかけて判断することが大事だと思います。

とまあ、こんな感じで個人的な思いをまとめてみましたが、コロナ禍の影響もあって世の中の別荘やセカンドハウスのトレンドもだいぶ変化してきているようです。次回は「カーサブルータス」の最新号と、巷で話題の別荘サブスクサービス「SANU 2nd Home」について書いてみたいと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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