(412)電気工事で露出配管を採用した結果~仕上がりと費用
前回に続いて露出配管のお話です。
今回は完成後の写真をご紹介し、かかった費用についてもまとめます。
■露出配管で躯体あらわしの壁が際立つ
では、リビングからまいりましょう。
これまでモールで隠されていたエアコン用のコードを金属製の配管に収納し、壁の中央には二個のソケットを増設しました。
前回もお見せしましたが、既存のコンセントから露出配管を延ばし、丸型の露出ボックスと専用のソケットを二個設置しました。
電球の灯りが点くとこんな感じ。電球の上半分の灯りを遮る特殊な電球をつけて間接照明として使っています。期待どおりの雰囲気が出せて満足です。
こちらはダイニング。いちばん左のブランクボックスが設置されている箇所がもともとのコンセントがあった位置。
ここから横方向に配管を延ばしてもらい、コンセントボックスを増設してもらいました。
当初はタテにしたボックスをヨコ方向の配管によってつなげるつもりだったのですが、ソファを置いたときにプラグの抜き差しがしやすいようにヨコ向きに変更しました。
ヨコ向きのコンセントに違和感を抱く方もいるかもしれませんが、安全上の問題はありません。台湾なんかではヨコ向きが主流ですし、使い勝手がいいと思える場面ならどんどん取り入れてみるといいと思います。
ヨコ向きにしたおかげでコンセントボックスが低めに収まり、ソファを置いたあとも干渉することなく使えています。プラグを挿すのはちょっと大変ですけどね。
もともとシーリングライトが設置されていたダイニングの天井は露出配管で照明レールを配線してもらいました。
T字型のパーツで二股に分岐し、左右に1メートルずつ照明レールが延びています。
ちなみに、照明レールの壁からの距離はダイニングテーブルのちょうど真ん中に合わせるようにしてもらいました。
こちらは洗面所の壁の露出配管。右上のボックスがもともとの洗濯機用のコンセントがあった場所です。洗濯機置場の移動などに伴って左方向に配管を延ばし、新しい洗濯機用のコンセントを設置しました。
下方向に延ばして設置したコンセントボックスは電気ヒーターなどに使用します。
洗面の天井を見上げると、ここにも露出配管。
もともとの位置から配管を取りまわしてもらい、梁に照明機器を直付けしてもらいました。
配管はカーブして天井の廻り縁をうまく避けて照明器具に接続されています。電気屋さんのナイスなお仕事です。
渋い仕上がりになりました。
玄関でも露出配管を多用しました。
もともと土間の上(写真手前)にソケットが設置されていたのですが、この位置だと人感センサー付き電球の反応がいまひとつだったので、奥に配管を延長してソケットを増設。
おかげで廊下のどこにいてもしっかりと点灯するようになりました。
玄関の壁部分ではブレーカーボックスから露出配管を延ばしてコンセントを増設。玄関まわりにコンセントがないのは築古物件あるあるで、ネット機器を置いた際に電源が取れなくて困ったりしますが、これで安心です。
■露出配管の工事費用のまとめ
ごらんのとおり、玄関と廊下からリビングダイニング、洗面まで室内のさまざまな場所で露出配管を多用しました。
ここからは気になる工事費用についてまとめていきましょう。以下の金額はすべて見積り書から抜粋した税抜きの価格であることをお断りしておきます。
リビングの工事費用は「65,000円」。ソケットとスイッチは施主支給なので含まれません。
ダイニングの工事費用は「35,000円」。
ダイニングの天井照明の工事費用は「38,000円」。
洗面の壁部分の工事費用は「25,000円」。
洗面の天井部分の工事費用は「12,000円」。ソケットと照明機器は施主支給です。
玄関&廊下の天井照明の工事費用は「28,000円」。
玄関の壁面のコンセント増設の費用は「20,000円」。
こうして部分ごとに比較すると、工事する配管の長さによって金額が変わってくる感じがしますね。
以上に加え、別途にコンセントの確認及び交換作業にまつわる費用「25,000円」が加算され、合計金額は「248,000円」となりました。消費税10%を加算した「272,800円」が今回の工事で露出配管のために費やした金額です。
電気工事の総額が税込み45万円ほどだったので約60%が露出配管に費やされた計算。僕も「鋼製電線管」の露出配管の工事は初めてなので、この価格が相場的にどうなのかは正直わかりませんが、出来には満足しています。
■電線をそのまま露出で配線するほうが安上がり
電気の配線にそんなに予算が割けないという方もいらっしゃるでしょう。そういう場合には電線をそのまま露出で配線する工事方法をおすすめします。
電線そのままというと、
こういうのを想像してしまうかもしれませんが、壁の仕上げと電線の色に気を配ってあげれば、それなりに仕上がることは以前も書きました。
山小屋の離れでは、白の珪藻土やオスモ仕上げの板材の壁に黒の電線を黒のステープルで留めてもらいました。
黒い電線に合わせてコンセントボックスも黒で統一してあります。
金属製の配管とくらべると加工の手間が省けるので、予算もだいぶ抑えられると思いますし、
こんなふうにコードが連なるさまも面白いです。
ただ、先ほども書いたとおり、壁と配線との組み合わせに気を使わないと「あ~、見えちゃってるね」という残念な仕上がりになる怖れもあるので要注意。
個人的には、パイン材などのナチュラルな色味の木材をベースに白のコードとボックスを組み合わせて爽やかな仕上がりをめざしてみたりするのも面白そうなんて思っています。
次回も電気配線の話。世田谷のマンションで施工してもらった露出配管の事例をご紹介しようと思います。