(417)窓の額縁をコンクリートエフェクトペイントで仕上げる
今回は熱海のマンションの窓の話。
窓の交換をカバー工法でおこなったことは以前書きました。
真ん中に大きなはめ殺しの窓を設置したのがポイント。
素晴らしい眺望が手に入り、結果は大満足でありました。
しかし、まだ“額縁”の作業が残っているのです――といっても何のことだかわからないですよね。僕も今回の工事で“額縁”という言葉を初めて覚えました。
“額縁”とは窓を取り囲むこの部分のこと。一般的には窓枠と呼んだほうがピンとくるのでしょうが、業界的にはサッシ枠部分と区別するためか、額縁と呼んでいるようです。
熱海の窓はカバー工法で工事をおこなったため、古いサッシと新しいサッシの間にスキマがあります。スキマといってもウレタンできちんと埋められてはいるので実用的には困らないのですが、見た目を整える必要はあります。
ごらんのとおり既存の額縁もかなりくたびれていますし、今回はサッシのスキマと古い額縁をカバーする新しい額縁を大工さんに造作してもらうことにしました。
世田谷のマンションでもお世話になっているベテラン大工のUさんが熱海まで来てくれました。
こんな感じに合板や角材を組み合わせ、既存の額縁を覆いつつスキマも埋める新しい額縁を造っていきます。やっぱりこういう造作はプロにお願いするのがいちばんですな。
額縁が無事に設置されました。ここからは僕の番。
今回は躯体あらわしの周囲に合わせて「コンクリートエフェクトペイント」で塗装して仕上げたいので、そのための下地処理からおこなっていきます。
まずは養生から。せっかく新しく交換された窓が汚れないように入念に養生しました。
では、下地を整えていきましょう。
釘の頭が見えていたりスキマや段差が目立つ部分をパテで埋めて平らにするのですが、今回は時間短縮のために二つのパテを使ってみることにしました。
最初に用意したのはモノタロウの「万能用補修パテ」。
いわゆる「エポキシパテ」とか呼ばれるもので、硬めでしっかりしたボディが特徴です。アマゾンでも扱いがあるものでいうと、このあたりが同じタイプでしょうか。
塗装の下地に処理に使う一般的なパテは乾いたあとに痩せて、深い溝や穴は何度も塗らないと埋まりませんが、このタイプの粘度状のパテなら一発で埋まります。
切って練って穴に押し込むだけ。
こんな感じに深い穴などをあらかじめ埋めておくと次のパテ作業がラクになります。
続いてはこの上から「タイガーパテ」(吉野石膏)を塗ります。
塗装の下地処理には欠かせないパテで、熱海の工事でも何度もお世話になってきました。(画像にはYahoo!ショッピングへのリンクが張ってあります)
こちらは水に溶いて使用する柔らかいタイプ。
深い穴を埋めるより、細かいスキマを平滑にするのが得意なパテです。
「万能用補修パテ」で目立つスキマや穴を埋め、「タイガーパテ」で細かいスキマを埋めて表面を整える――二種類のパテを使用することで効率的に下地作りができました。
さらに。
今回は水を通常よりも多めに入れて薄めにした「タイガーパテ」を全体にまんべんなく塗りました。もともと平らな面にも塗ったのは木目を消してやるためです。
木目をそのままにすると、塗料を塗ったときにうっすら透けて見えてしまうことがありますが、今回は以前もご紹介した「コンクリートエフェクトペイント」で塗装するので、モルタルっぽい雰囲気を出すためにも木目はしっかり消そうと考えたのです。
乾くのを待って翌朝、やすりがけをおこないました。大嫌いな作業ですが、避けては通れませんからがんばります。
粉だらけになるので完全防備で臨みました。我ながらひどい恰好。
削って出た粉を雑巾で掃除すると、
もともと木材だったとは思えない平坦な表面が出来上がりました。
続いてはシーラーで塗装の下塗り。
使うのはおなじみの「アクドメール」。
一度目は水で薄めて、二度目は原液をそのまま塗ってあげます。
下地処理が済んだら「コンクリートエフェクトペイント」の登場です。
3種類の異なるグレーを重ね塗りしてコンクリートのような質感を生み出す塗料です。
塗り方は以前もご紹介しましたので詳細はそちらでどうぞ。
ベースとなる「セメントグレー」から塗っていき、
二度塗りでしっかり色を付けたら、
「セメントサンド」と、
「セメントダークグレー」の2色でアクセントをつけます。水で薄めた塗料をくしゃくしゃにしたビニールに含ませて塗り付ける独特のスタイルです。
このアクセント塗装は何度重ね塗りしても大丈夫です。完成度を求めるならば満足いくまで繰り返すしかないのですが、なにせ塗って乾くのを待ってのくりかえしですから、我慢強さが必要になります。
ちなみに、今回は「セメントサンド→セメントダークグレー→セメントグレー」の順でアクセント塗装を2回くりかえしました。
窓まわりは掃除や結露などで汚れや水分が付着することもありそうなので、水性ニスを塗って表面を保護してあげました。
ワシンの水性ニスのつや消しクリヤーです。薄い濡れ色が付くのでややグレーが濃くなりました。これで額縁の塗装作業が終了。
遠目から見るとどこまでが躯体でどこまでが「コンクリートエフェクトペイント」で塗った額縁かわからないくらいなじんでいます。
昼間に見るとこんな感じ。窓から明るい光が差し込むと、額縁部分は影になることが多くあまりよく見えませんから、ますます躯体と区別がつきません。
“額縁”という言葉からもわかるとおり、見る人の意識がいくのは枠ではなく窓から見える景色のほうですから、まわりになじむように仕上げてあげさえすれば粗は目立たないと感じました。
窓枠も仕上がって、いよいよ完成が近づいてきました。
次回は完成後の洗面所をごらんいただきます。