(434)躯体あらわしの天井とマチコVの床で白い壁をサンドする
前回、空室になったマンションの室内をごらんいただきました。
「不良品」とも呼べる使いにくい室内をこれからリノベーションで快適にしていきます。
リノベーションには大きく分けて「設備をどんなふうに配置して利便性を上げていくか」という機能面と「内装にどんな素材を選んでインテリアをまとめ上げていくか」というデザイン面がありますが、今回考えるのは後者=インテリアのテイストです。
僕はもともとインテリアにはまったく興味はなく、大家業を引き継いで勉強するうちに関心を持つようになった人間です。だから、生粋のマニアのような熱意はないですし、「自分はこのインテリアじゃなきゃダメ」というような強いこだわりもほとんどありません。
そんなわけで、
パキッと真っ白でモダンな室内から始まって、
ブラウンとブラックを取り入れた渋めのテイストや、
障子を残してナチュラルな木目でまとめた和室風など、さまざまなインテリアの部屋を作ってきました。
ちなみに自宅はこんな感じでクリーム色の壁でレトロな内装です。
なんというか節操のない感じではありますが、生来飽きっぽい性格ですし個性を売りにするデザイナーでもないですから、毎回好きなようにやっています。
じゃあ、この部屋をどうリノベーションするかというと、当時はちょうど熱海でDIYを進めている真っ最中。
躯体あらわしの壁や天井を活かすインテリアをめざし、壁紙をはがしてモルタルの壁を露出させたり、床にコンポジションタイルを選んだりしていると、世田谷のマンションにもラフで無骨なテイストを取り入れてみたいと思うようになりました。
まず考えたのが天井のこと。いつもはこの天井を撤去し、躯体あらわしとしたうえで、
こんな感じに白のペンキで塗装してもらっています。
しかし、今回はあえて塗装しないでそのままにすることにしました。
解体後の天井です。既存の配管も含めて悪くない雰囲気。このままでいけると確信できました。
壁はふだんどおり白のペンキで塗ってもらって明るさを出しました。
一方、床材に選んだのは熱海と同じくグレーのコンポジションタイル。
コンポジションタイルはフロアタイルの一種です。詳しくお知りになりたい方は以前の記事をどうぞ。
実をいうと熱海で採用する前のテスト的な位置づけで施工をお願いしたのでした。
採用したのは以前もご紹介した東リの「マチコV」というコンポジションタイル。1963年発売のロングセラーです。
うっすら筋状の模様が入っているだけのクセのない質感もさることながら、最大の魅力は価格がリーズナブルであること。実売価格としては1ケースで5千円から6千円ほどで、平米単価に換算するとおよそ1,500円。
今回はプロの職人さんにお願いして施工していただきましたが、施工の手間賃なども含めても平米単価で4,500円でした。この価格はいつもうちのマンションで採用しているノーマルなフロアタイルよりも安く、クッションフロアよりもやや高いくらい。賃貸リフォームでも安心して採用できる床材といえましょう。
悩ましいのが色選びです。
これでカタログのほんの一ページ。
躯体あらわしの天井とマッチしそうなグレー系だけでも豊富なバリエーションがあります。
東リのショールームでいただいたサンプルを現場に置き、
天井を見ながら色選びをしました。
その結果選んだのが「タープ(Taupe)」という色でした(品番は「MV35」)。
こちらは完成後の写真。ごらんのとおり、躯体あらわしの天井のグレーとマチコVのグレーで白い壁をサンドしたかたちです。
こうして振り返ると、床は日光が当たって明るく見えるのでもう少し暗めのグレーを選んで壁の白とのコントラストを強調してもよかったかななんて感じました。
それはともかく、今回の天井と床の仕上げはどちらもリーズナブルだったのがいちばんのポイントかもしれません。
うちのマンションの広さだと、天井を塗る場合とくらべて塗装面積が約15平米ほど減るので「約4万円」お安くなります。
また、先ほど書いたとおり、コンポジションタイルの平米単価はクッションフロアよりはやや高いものの、いつも使っているノーマルなフロアタイルとくらべて「1,000円」ほど安くなります。30平米の施工だと「約3万円」浮いた計算です。
合計していつもより「7万円」ほど安くなりましたが、安っぽさを感じないインテリアができたと自負しています。
次回はこの部屋に入れるアクセントカラーを考えます。