(436) 普及品の洗面ボウルとタイルで魅力的な洗面空間を作る

タイル

前回、アクセントカラー選びについて書きました。

ヒントになったのは「セラドン」という色のタイルで、ミントグリーンとライトグレーの中間のような絶妙な色味のタイルを洗面やトイレに張りました。

セラドンタイルを張った洗面

完成した洗面を眺めてあらためて感じたのは「タイルとうまく組み合わせれば洗面ボウルはリーズナブルな普及品で十分なのかもしれない」ということです。

今回は、僕がこれまで手がけた物件で採用した洗面ボウルを振り返りながら、その理由をご説明してみたいと思います。


■スタイリッシュな洗面ボウルはどうしても高価になりがち

「リーズナブルな普及品でいい」と言いつつも、僕自身は洗面ボウルを見て回るのは大好きです。ショールームなんかに行ってずらりと並んだボウルを見るとウキウキしてしまいます。

実際、大家を引き継いですぐの頃に手がけた物件は、他の賃貸物件との差別化を図るために個性的な形状の洗面ボウルを積極的に選んでいました

洗面ボウル「ラバボ」

これは初めての物件に導入した「ラバボ」という洗面(サンワカンパニー)。手前に向かってアールがついたデザインとボウル下にタオルホルダーが付属している便利さが気に入って採用しました。残念ながら現在では廃番となっています。

洗面ボウル「バタフライ」

これは「バタフライ」と名付けられた洗面ボウル(サンワカンパニー)。ちょうちょが羽を広げたように左右に広がるボウルのフォルムが気に入りました。縁が平らで物が置けるのも便利です。こちらも現在は廃番。時の流れを感じます。

「ビードロボウル」の洗面

ガラスのボウルを採用したこともありました(サンワカンパニーの「ビードロボウル」、廃番)。

どれも個性があって一目でふつうの洗面とはちがうのがわかるので印象に残りますが、価格はどうしても高価になりがちです。過去の見積もりを見直すと、「ラバボ」は「41,000円」、「バタフライ」は「30,700円」(洗面ボウルのみ、排水金具などは別)。「ビードロボウル」は「12,800円」と安価なのですがカウンター設置の大工工事が追加されるので同じくらいの費用がかかりました。


■壁にタイルを張って印象的な空間を作る

洗面選びに変化が起こったきっかけはタイルDIYでした。

タイルのDIY作業

これまで白の塗装や壁紙をメインにしてきた洗面の壁にさまざまなタイルを試すようになったのです。

黒の細ボーダーを張った洗面

黒の細ボーダーを張ったり、

小口平タイルを張った洗面

ディープグリーンの小口平を張ったりと、タイルにはそれだけで空間の雰囲気をガラッと変えられる存在感があると実感できました。

洗面ボウルはどちらもシンプルでオーソドックスなもの。DIYといえどタイルを張れば材料費だけで1~2万円くらいはかかるため、洗面ボウルにはこれまでほど費用をかけられず安価なボウルを選んだのですが、いざ完成してみると「高価でスタイリッシュな洗面ボウル」を選ばなくても十分に見栄えのする洗面空間ができたと感じました。


■リクシルのスクエア洗面ボウル「L-531」

ここ最近は意識的にリーズナブルな洗面を選ぶようになりました。

採用しているのはリクシル(Lixil)とTOTOの洗面ボウルです(以下、ご紹介している金額はうちでお願いしている業者さんの見積もり価格ですのでご注意ください)。

洗面ボウルL-531を用いた洗面

前回ご紹介した世田谷のマンションの洗面で採用したのがリクシルのコンパクト洗面器「L-531」です。洗面ボウルの見積もり価格は「22,000円」で、排水金具を含めても「32,500円」ですからリーズナブル。

オーソドックスな洗面なので水栓はリクシル製以外でも適合するものが多くあります。

フィクサー混合水栓のホワイトマット

選んだのはサンワカンパニーの「フィクサー混合水栓」のホワイトマットカラー(TA01909N)です。価格は「22,400円」でした。

フィクサー混合水栓のブラックマット

こちらは別の部屋で採用したブラックマット(TA01919N)。

洗面ボウルL-531を用いた熱海の洗面

熱海でも同じ洗面ボウルを採用しています。タイルは張っていませんが、壁紙をはがしてモルタルの壁をあらわにしたので洗面ボウルはシンプルなもので十分だと思いました。

フィクサー混合水栓

水栓は同じくサンワカンパニーの「フィクサー混合水栓」(MPK0001N)。ノーマルなタイプなので「15,100円」と色付きとくらべてリーズナブルです。

なお、この「L-531」の設置費用は、うちでお願いしている業者さんの場合だと「15,000円」でした。

金額をまとめると…

  • 洗面ボウル「22,000円」
  • 排水金具など「10,500円」
  • 混合水栓「15,100円」
  • 上記の設置「15,000円」

合計で「62,600円」で、消費税や送料などを含めても約7万円で設置できます。


■TOTO壁掛小型洗面器「L210C」

もうひとつの定番はTOTOの「L210C」です。

洗面ボウルL210Cを用いた洗面

丸みを帯びた円型のタイプなので、タイルのデザインによってはこちらを選ぶことも多いです。

洗面ボウルL210C

このボウル、「6,360円」でかなり安価。排水金具は「12,000円」で、ボウル専用のバックハンガーは「570円」でした。組み合わせた水栓は同じくTOTOの「TLS04302JA」で「20,760円」でした。

費用をまとめると…

  • 洗面ボウル「6,360円」
  • 排水金具など「12,570円」
  • 混合水栓「20,760円」
  • 上記の設置「15,000円」

合計で「54,690円」。消費税など含めても約6万円ほどで設置できます。

洗面ボウルL210Cを用いた洗面
※お施主さんが撮影した写真をお借りしました

昨年、とあるご縁で知り合った方の洗面リフォームをお手伝いしたのですが、こちらでも予算削減のためにこのボウルを提案しました。洗面ボウルまわりの費用を抑えたぶん、タイルに予算をかけて壁一面に張ることができました。

詳しくは「ESSE online」の記事をどうぞ。

【ESSE online】約21万円で激変。リノベずみ物件の洗面だけをリフォームしてみた

こうして振り返ると、リクシルやTOTOのオーソドックスな普及品でも十分に魅力的な洗面空間が作れるといえます。洗面リフォームのひとつの方法論として参考になればうれしいです。

次回はキッチンについて考えます。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧