(483)賃貸マンション、8年半貸し出していくら利益が出た?

お金のこと

前回、世田谷のマンションの一室で入居から退去までに起こったトラブルをまとめました。

先日書いたとおり、こちらはマンション内の広すぎる実家の一部を区切って賃貸に改修したお部屋でした。

リノベーション完了後の室内のインテリアや設備についてはこちらの記事をどうぞ。

賃貸の繁忙期である春だったこともあって募集してすぐに入居が決まり、今年の10月までおよそ8年半にわたってお住まいいただけました。

今回は、その間にいただいた家賃などの収入と補修工事などの出費をまとめ、結局、8年半でどれくらいの利益が出たのかを計算してみたいと思います。


■8年半でいくら家賃収入があったか?

まずは簡単な物件情報と家賃を確認しておきましょう。

賃貸マンションの間取り

間取りは30平米の1K。水回りにいたるまでぐるりと廊下が回り込む構造のため、リビングは狭め。

賃貸マンションの室内

いつもならば同じ広さで12万円くらいの家賃設定なのですが、一人暮らしを想定して「10万5千円」としました(が、予想に反してカップルの入居となりました)。ここに管理費1,000円が加わり、実質「10万6千円」の家賃収入でした。

8年半を月に換算すると102か月ですから、106,000円×102か月=「10,812,000円」の家賃収入となります。ここに4回分の更新料「312,000円」(78,000円×4回)が加わり、8年半で「11,124,000円」ものお家賃をいただいた計算になります。ありがたやありがたや。


■リノベーション工事にかかった費用は450万円

とはいえ、この額のすべてが利益になるわけではありません。

賃貸マンションの図面

こちらの部屋はもともと自宅の一部だったのを賃貸にしたので、通常のリフォームよりも工事費がかかっています。

いつもなら300万円強くらいが予算の目安ですが、この部屋には新しく玄関ドアを設置し、部屋を区切るための壁を造作してもらったりしたため、工事だけで「約400万円」ほどかかりました。

ライフライン幹線分岐工事の金額

さらに、新しく部屋にするために電気・ガス・水道のメーターを新規に設置した費用(「ライフライン幹線分岐工事」)に別途で「約34万円」かかりました。ここに施主支給した設備の金額なども含めると最終的に「約450万円」ほどの工事費用を費やしたことになります。たとえ持ち物件でもこんなに初期投資がかかるのが賃貸の大変さですね。

で、先ほどの家賃総額からこの工事費用を引けば利益が算出できるかというとさにあらず。


■漏水2回で「153,120円」の補修工事

前回書いたとおり、このお部屋はとにかくトラブルが多く発生し、そのたびにかかった修繕費用も計算に入れる必要があります。

漏水跡

上階のお風呂場から漏水した際には、壁に染みや裂け目ができてしまい、ダウンライトも故障、家具も水浸しになってしまいました。塗装屋さんに補修塗装をおこなってもらい、電気屋さんにダウンライトを交換してもらい「77,760円」の修理代がかかりました。これとは別に、被害に遭ったご夫婦にお見舞金として「30,000円」をお渡ししました。うちとしては、迷惑料として当然という気持ちでしたが、恐縮してなかなか受け取っていただけませんでした。「かえってすみません」とか言われましたけど、悪いのは100%うちのマンションですから全然すまなくないのです。

以上を合計すると「107,760円」。あっという間に一か月分のお家賃です。加えて上階の浴室の防水補修にも「68,000円」かかりましたが、これは別室の修繕なので今回の計算には含めません。

この部屋では二度目の漏水もありました。

水道管のピンホール

古くなった排水管に経年劣化でピンホールといわれる小さい穴が開き、天井裏に水がしたたり落ちた結果、またもダウンライトが故障してしまいました。このときの工事費用は「45,360円」でした。排水管の修理に加え、点検口の設置や支給したダウンライトの交換作業の料金も含めた金額です。

結局、2回の漏水で合計「153,120円」の出費となりました。


■トイレの交換で「103,000円」の出費

これだけではありません。

交換前のトイレ

既存の排水管と新しく設置した節水型のトイレとの相性が悪かったのか、トイレの詰まりが頻発したため、設置からわずか4年にしてトイレを新しく交換するはめになったのです。

交換後のトイレ

交換した便器の価格が「83,000円」。ちょうど他の部屋をリノベーションしているところで、同時に作業してもらったため交換費用については正確な金額はわかりませんが、ざっくり2万円としておきましょうか。

トイレの交換で「103,000円」と、これまた一か月分のお家賃が飛んでいきました。

なお、この部屋では照明スイッチが故障して交換工事をおこないましたが、これについては他の部屋の電気工事のついでにおまけ的に直してもらったため、修理金額はわかりません。


■8年半、部屋を貸し出して「約636万円」の利益

さて、二度の漏水とトイレの交換にかかった金額を足した「256,120円」が8年半の間にかかった補修費用の総額です。

これを先ほどの工事費用450万円と足すと「4,756,120円」となります。これが自宅の一部を賃貸に改修して8年半貸し出してかかった出費の総額です。

まとめると、

  • 8年半の収入:11,124,000円
  • 8年半の出費:4,756,120円(工事費用450万+補修費用256,120円)

となりますから、家賃収入の総額から出費を差し引くと「6,367,880円」となり、部屋を8年半貸し出しておよそ636万円強の利益が出た計算になります。

ちなみに、この金額を家賃の「10万6000円」で割ると約60か月となり、まるまる5年分のお家賃に相当することがわりました。

つまり、8年半の賃貸のうち、最初の3年半で出費を取り返し、あとの5年間は利益を享受することができたということです。

賃貸マンションの室内

物件をゼロから取得する不動産投資などとはちがい、既存の自宅を改修したからこそこれだけの利益が上げられたのでしょう。やはり手持ちの物件は強いですね。

ただ、マンション全体で見た場合、この8年半の間に足場を組んでの修繕をはじめ、空室になるたびにリノベーション工事をおこない続け、多額の出費があったのでぜんぜん儲かっていません。トラブル対応に奔走したりした手間も考えると、賃貸経営もラクではないなと実感します。少なくとも「不労所得」なんてもんじゃありません。

でも、アイデア次第で利益が上げられるのが実感できたのは大家としては喜ばしい体験でした。

次回は、日刊Sumaiの再録記事。漏水補修工事の日程調整に苦戦した過去を振り返ります。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧