(524)祝復刻!工業系レセップを使って作った照明空間を紹介する
引き続き、先日記事にした部屋(や熱海の部屋)で採用した設備についてお話します。
ご紹介するのはtoolboxの「工業系レセップ」です。
【toolbox】工業系レセップ
レセップとは電球を直付けできるシンプルなタイプの照明器具のことですが、
工業系という名前のとおり工場のような無骨な雰囲気を演出できるのが魅力です。
もともとは「笠松電機製作所」というメーカーが製造していた製品で、僕もその時代にtoolboxで何度も購入しました。
しかし、2022年の秋には笠松電機製作所が照明事業から撤退し、工業系レセップも廃番の危機を迎えてしまいます。
そこで、toolboxが笠松電機製作所から製品を引き継ぎ、工場探しから始めてさまざまな紆余曲折を経て、2024年に再び製品化に漕ぎつけたのです。その経緯についてはtoolboxのホームページをどうぞ。
【toolbox】工業系レセップ復刻までの道のり ー前編 改めて感じる唯一無二の存在感
【toolbox】工業系レセップ復刻までの道のり ー後編 職人気質な笠松の社長さんとの思い出
今回は「祝復刻!」という思いも込めて「工業系レセップ」の採用事例をいろいろとご紹介したいと思います。
■ノーマルタイプの工業系レセップをカラーで使い分ける
工業系レセップの魅力は、躯体あらわしの壁や露出配管などと組み合わせていわゆる「インダストリアル」とか「ウェアハウス」とか呼ばれるようなラフな雰囲気を演出できること。
たとえば、この壁。
もともとあったコンクリートブロックをペンキで塗り、ラフな壁面に露出で配管を施しました。工業系レセップとの相性は文句なしと言えましょう。
全面をホワイトで塗りつぶしたのにあわせて、ホワイトのレセップを選びました。
一方、こちらは洗面の天井に設置したブラックのレセップ。
何度も書いてきたとおり、この部屋はホワイトをベースにダークブラウンやブラックでアクセントをつけ、大人っぽい落ち着いた雰囲気をめざしてインテリアを作ったのですが、黒のボーダータイルを張った空間にブラックの工業系レセップがハマりました。
壁に横付けで設置するのもいいですね。ごらんのとおり、スッキリとしたインテリアにもすんなりマッチしてくれるのです。「工業系レセップ」という名称にとらわれず、さまざまなインテリアに取り入れることをすすめます。
古いブロックキッチンを残した空間では工業系レセップを手元灯として設置してみました。
既存の吊戸棚の中を配線してもらい、棚下にサクッと設置できました。
もちろん定番のグレーもおすすめ。
こちらは熱海のトイレですが、壁紙をはがしてコンクリート壁をあらわにした室内には工業系レセップがピッタリでした。
「ホワイト」「ブラック」「グレー」の3色をインテリアに合わせて使い分けるといいと思います。
■露出配管とマッチするフラットタイプ
工業系レセップには「フラット」タイプもあります。
高さが低く平坦なデザインで、ノーマルなタイプよりもさらにシンプルな印象を与えてくれます。
このフラットタイプ、露出配管と相性がよく、熱海のマンションで多用しました。
露出配管については下記の記事をごらんいただくとして、
もっとも気に入っているのが、壁に設置したこちら。
コンセントから配管を伸ばし、二か所に照明を設置しましたが、そこに用いたのがフラットの工業系レセップでした。
自分で選んで言うのもなんですが、なかなかかっこいい出来。
これまたtoolboxで取り扱いのある「ミラーLED電球」と組み合わせて間接照明に。
【toolbox】ミラーLED電球
ゲストにも好評の照明空間となりました。
こちらは洗面の天井。同じく露出配管とフラットを組み合わせました。
室内に露出配管を取り入れるならば、この「工業系レセップ フラットグレー」を組み合わせておけばまちがいないといっても過言ではありません。
なお、笠松電機製作所時代にはなかった「ホワイト」や「ブラック」もtoolboxでの復刻を機に新たにラインナップに加わりましたので、ノーマルタイプと同様にインテリアのカラーに合わせてチョイスできるのもうれしいです。
■工業系レセップを採用するうえで注意したいポイント
こうして振り返ると僕もかなり工業系レセップを多用してきたものだと思いますが、それも価格がリーズナブルであるおかげ。笠松電機製作所時代は「2,500円」と安価で、ためらいなく採用できました。
toolboxでの復刻後も「2,800円」という低価格を維持しています。復刻の手間暇を考慮すれば、激安といってもいいのではないでしょうか。
とにかく安いのでどんどん使っていただきたい製品なのですが、設置にあたって注意したほうがいいポイントにも触れておきたいと思います。
まず、当たり前のことかもしれませんが、工業系レセップは設置のための電気配線が必須なので電気屋さんに工事をお願いする必要があり、一度取り付けてしまうと簡単には交換できません。
トイレや脱衣所、アクセント的な空間の照明ならば問題ないかもしれませんが、リビングやキッチンなどに設置した場合、後からペンダントライトに交換したりするのは難しいので、採用にあたって問題ないかを事前にしっかり確認しておくといいと思います。
たとえば、このキッチンでは吊戸棚下の手元灯には工業系レセップを採用する一方、写真手前の天井照明にはノーマルな引掛シーリングを設置し、引掛型のレセップ照明(とカバー)を取り付けました。これなら住む人の好みで照明器具を取り替えることも可能です。
■どんな電球と組み合わせる?
もうひとつ気をつけたいのが電球のチョイス。
先ほどご紹介した写真を見ればわかりますが、工業系レセップはシンプルなデザインゆえに設置する電球が目立つことになります。
いわゆるエジソンバルブやミラー電球のように存在感のある電球と組み合わせることを強くおすすめします。
熱海のマンションの廊下では、センサー電球を設置したのですが、正直、見た目はイマイチ。電球そのものが目に入りやすいデザインなので、くれぐれも電球選びには気をつけましょう。
一方、先ほどもちらりとお見せした「NOSTALGIA LED Bulb E26 BIG」との組み合わせはとても気に入っています。
まあるいガラスシェードをはずすと独特な円柱状の電球としても使えるので、こっち単体でも工業系レセップとマッチしそう。
■同じく工業系ならサンワカンパニーの「アルミライトソケット」もおすすめ
お気づきの方もいるかもしれませんが、このトイレで採用した工業系レセップはノーマルタイプよりも台座が高いミドルレンジタイプでした。
笠松電機製作所時代のラインナップにはあった商品ですが、残念ながらtoolboxでの復刻リストには入らず、現在では入手できない状態になっています。
「なんとか台座の高いタイプがほしい」という場合、(僕の知るかぎり)唯一の希望となっているのが、こちら。
サンワカンパニーが取り扱う「アルミライトソケット(LG16009)」です。
【サンワカンパニー】アルミライトソケット(LG16009)
笠松電機のもの(左)とくらべてみるとアルミライトソケット(右)はやや高さが低いものの、ミドルレンジ型の代替品としては申し分ないでしょう。
何より、吹き付け塗装ではなくアルミむきだしのボディが素敵。
スチールの露出配管との相性でいえば、むしろベストとすら言えるかもしれません。
ネックは「5,600円」というプライスで、先ほどご紹介した「工業系レセップ」の2倍。多用するのはツライかもしれないですね。
ちなみに、こんなふうにランプガードをかませてアレンジするのも楽しいのですが、写真の笠松電機製のものは現在は入手できません。サンワカンパニーに類似の商品があるようなので、ご興味ある方はどうぞ。
【サンワカンパニー】ランプガード(LG16059)
さて、このアルミライトソケットだけでなく、工業系レセップはキャップがはずれてシェードが挟める構造になっています。
口径の合うシェードを探してきてアクセントを加えてみるのも面白いかもしれません。
工業系レセップの魅力、伝わりましたでしょうか。ぜひインテリアに取り入れてみてください。