(566)【接着編】住みながらキッチンにフロストタイルを張った
入居者さんがお住まいの状態でキッチンにタイルを施工しようという新しい試みにチャレンジしています。
前回は、タイル選びから採寸や注文など、いろいろと施工のための準備をしました。
今回から施工開始。タイルをカットして壁に接着します。
■グラインダーでタイルをカットする
前回ご説明したとおり、タイルはtoolboxの扱う「フロストタイル二丁掛」です。大判のサイズなので、
電気の配線や水栓のまわり、壁際の余ったスペースにはタイルをカットして収める必要があります。
厚さは1センチもあるので、カットにはディスクグラインダーを使わなければなりません。詳しくは以前の記事をどうぞ。
高速回転する刃でのタイルカットは素人には大変危険な作業。DIYにトライしようという方はくれぐれも万全を期して自己責任で作業に臨んでください。
タイルカットにあたっては、事前にタイルの表面を養生したうえでカットするラインを書き込んでおきます。
ラインに沿ってブレないように表面を優しくなぞるようにカット。
断面は目地で隠れるのであまり気にしなくてOK。
必要なパーツをすべてカットしました。計画通りならばこれで問題なく収まるはずですが、さてどうなることやら。
■目地幅は収まりから逆算して決めた
すべての準備が整ったので、いよいよ入居者さんのお部屋にお邪魔して作業に入ります。今回のお部屋の方は在宅ワークも多く、スケジュールも含めていろいろと融通を効かせていただきました。ありがたや。
このキッチンにはもともと壁紙が貼ってあるので、
まずはこれをビリビリとはがします。
はがせるところまではがしきれば、壁紙の下紙が多少残ってもOK。下地は木なので問題なくタイルはくっつきます。
ポイントはタイルを接着する順番。適当に端からスタートというわけにはいかないのです。
今回のタイルの収まりのポイントとなるのは水栓です。壁とつながっている配管部分をタイルの高さの中にうまく収めてきれいに仕上げたいという狙いがあります。
水平なレーザーをあててよく見ると、配管の位置が平行じゃないのがわかります。この配管をうまくタイルの高さの中に収められるか。
タイル専用ボンドを塗って、
配管の位置にあわせながら最初の一枚目を接着します。
ざっくり目地幅を取りながら上方向にタイルを張り進めていき、
いちばん上のタイルは壁面収納の金具の下端にあわせて張りました。
下は水道管、上は金具にあわせたので、収まりの調整は目地幅でおこなうしかありません。目地幅は8ミリを想定していましたが、それには固執せず、収まりから逆算して目地幅を決めました。
ときどき離れたところから眺めたりして、目地幅が均等になっているかどうかを確認しながらの作業。この一列目が今後のガイドとなるので慎重に作業しました。
目地幅は思ったよりも広くなって約10ミリとなりました。先日、事務所にサブウェイタイルを張ったときの倍くらい。太目地といっていいかもしれません。
■一列目をガイドにしながら張り進める
一列目を張り終えたら、続いて横方向に張り進めていきます。
二列目もやはり水栓の配管まわりから。
なんとかタイルの高さの中に配管が収まりました。カットしたタイルがあまりにもぴったりだったので、入らないのではないかとヒヤリとしました。もうちょっと大きかったらやばかった……。
先ほどと同じように上方向に順番にタイルを張っていきます。一列目がガイドになるので二列目以降はぐっと張りやすくなります。
三列目には電気配線も絡んできますが、これも無事に回避。どうやらタイルカットの採寸は正しかったようです。ホッと一息。
あとは水平を取りながら、目地幅が乱れないように張り続けます。
張り残していたスキマや、
いちばん下の段にもタイルを接着し、
無事に最後の列まで張れました。当初の予定では左端のスキマにカットタイルを張る予定だったのですが、目地幅が思ったよりも太くなった影響でスキマが狭くなってしまったので用意したタイルを張ることはできませんでした。結局、スキマは目地を入れて処理することに。
結果論ですが、5列×7段でスッキリ収まったのでむしろよかったのかな、と。
水栓まわりはこんな感じ。素人が曲線でカットしたところで不格好な仕上がりになるのは目に見えていたので、あえて直線にしたほうがきれいに見えると判断しました。
前回も書きましたが、本来は水栓をはずしてタイルを張ったうえで水栓を付け直すのですが、今回は住みながらの作業で水栓を取り外せないという事情があったゆえの苦肉の対応であることをご承知おきください。
一方、こちらは手元灯が取り付けられる箇所。なんでこんなタイルのかけらがくっついているのかというと、
手元灯の土台を固定する際に、目地だけでは強度に不安があるかなと思ったためです。取り付けのためのネジ穴を避けるためにみすぼらしい形になりましたが、最後は手元灯で隠れるので問題ありません。
接着作業が完了したら、タイルの表面をマスカーで養生して一日目の作業が終了。
多少不便はあるものの、この状態ならキッチンはふつうに使うことができます。翌日、ボンドが乾くのを待って目地入れ作業をおこないます。続きは次回。