(612)アマゾンで素性の知れぬ中国製品を買って体感したリスク

今回は、たびたびアマゾンでメイドインチャイナの製品を購入し、それなりに失敗もしてきた僕の体験談をベースに購入のリスクについてお話しようと思います。
中国製品を購入する理由としてよく挙げられるのが価格の安さですが、僕自身はそれを第一条件に商品を選んだことはありません。
むしろ、自分が商品に求める条件(サイズや素材感など)が非常にニッチだったりしたとき、名の知れたメーカーや日本のメーカーではちょうどいいものが見つからず、ようやくアマゾンで見つけたのが見慣れぬブランドの中国製品だった、というのがいちばんよくあるパターンです。
この手の商品は、われわれ日本人がパッと見では読めない英字のブランド名を冠していることが多いので、割とすぐ判別がつきます。

先日キッチンに取り付けたステンレスの小棚も「XIMING」というブランド名で、一目でメイドインチャイナだとわかりました。

商品説明を見ると、誤植という言葉で説明しきれないおかしな日本語が散見されるのも特徴。同じ「メイドインチャイナ」でも日本の会社が開発や販売を管理している製品ではこういうことはありませんよね。

パッケージも堂々と中国語で中身がよくわからない、というのもありがち。
そんなわけで、今回「素性の知れぬ中国製品」という言葉で指しているのは、「中国で生産されている」というだけでなく「販売や管理まで中国の会社でおこなわれている製品」を指していることをあらかじめご了承いただけると幸いです。
■気に入って何度も買うと、けっこうな確率で失敗する…
では、具体例を挙げながら説明していきましょう。
まずは、何度も買うとハズレを引きやすいというのが一つ目の特徴です。
以前、ご紹介した置き型のセンサーライトがこれでした。
「壁付けではない」「センサーで動作する」「充電ではなく電池」という条件を満たす製品は、僕の探したかぎりではこれしか見つかりませんでした。
試しに1個買ってみたところ気に入ったので、さらに1個追加で購入しました。
前掲の記事の中で当時の僕は「激安商品ということで、どれくらい長く正常に動作するのかが気になりますが、山小屋のように使用頻度が少ない場所で1年使った段階では、まだ劣化は感じられません。2個ともちゃんと動作しているので、個体差の当たり外れも(うちの場合は)ありませんでした」と書いていましたが、残念ながら購入から2年ほど経ったある日、そのうちのひとつが点灯しなくなっていることに気づきました。この手の商品の耐用年数がどのていどかは知りませんが、壊れるにはちょっと早いかなという気もします。
ペアで使っていたので別の商品を買ってデザインがそろわなくなるのがイヤで買い直してみたところ、そちらは問題なく動作し、もう3年くらいになります。

最初に買った2個のうち1個は当たりで1個はハズレ、追加購入した1個は当たりということは、打率は6割6分といった感じ。
この「打率6割6分=3つに2つが当たり(逆に言えば、3つに1つはハズレ)」というのはアマゾンで売られている中国製品にはわりとあてはまるような気がしています。
以前、玄関などで使うセンサー電球を購入したことがあったのですが、気に入ったので追加で2個セットを購入したところ、2個のうち1個が初期不良で点灯しませんでした。

2個セットなので手元に1個だけ残すわけにもいかずまとめて返品しましたが、思えば、このときも電球3個で2個が正常という意味では打率は6割6分でした。
あくまで個人的な経験ではありますが、メイドインチャイナを買うときは「3個買ったら1個には不良品がある」くらいの感覚で臨むといいような気がしています。
■同じような確率で配送トラブルも起こったりする
この確率は納期にもあてはまります。
冒頭にご紹介したキッチンの収納棚の話です。「狭い壁に収まるステンレス製の小棚」という条件にぴったり合う物が見つからず、アマゾンで見つけた「ちょっと怪しい」収納棚をダメ元くらいの気持ちで購入してみたのですが、

届いてみると、造りに多少の粗さが感じられたものの、価格も考慮すれば十分に満足できる品物でした。

さらに上の段に設置するために追加で買い足したのですが、このときにトラブルが発生しました。待てど暮らせど製品が届かないのです。
最初に注文したときは、9/30に注文して10/1に発送され、10/7には商品が届きました。

「一週間もかかるのか」とお思いの方もいるかと思いますが、もともと納期は5日~10日ほどと明示されていますし、理解したうえで購入したのでそこに不満はありません。
ところが、二度目では10/8の購入から2週間経っても商品が届かなかったのです。荷物の配送状況を確認しても10/10に発送されたまま、まったくステータスが更新されません。
さすがにこれはキャンセルかと思いかけた10/28になってようやく配送状況が更新されていることに気づきました。

通関作業中ならじきに届くだろうと待っていると、

10/30にようやく配達されました。購入から22日。長かった……。

こちらは10/28時点でChina Postの追跡で調べた配送状況。「10/24に発送」となっていました。なぜか「10/8の注文」から2週間余りが経ってから発送されていたのです。というか、10/10に発送されたというアマゾンの注文ページの表記はなんだったんだ……。
ここからは推測ですが、10/10に商品が発送されたものの、どこかでトラブルがあってロストし、それを知った送り主が再度発送したのではないでしょうか。もしくは発送の手続きはしたものの、商品が送られないままになっていたとか?まあ、詳しいことはわかりません。

ちなみに、懲りずに3個目を購入した際も12/30に注文して1/5には届いたので、納期は約1週間。2個目のときだけが異常に時間がかかったのはまちがいありません。
3個とも品質には問題がなかったのですが、納期通りに商品が届く確率は3つに2つ=6割6分で、奇しくも先ほどと同じ打率になったのでした。
また、商品写真と実物に細かい違いがあるのも問題といえば問題です。

こちらがアマゾンの商品ページに掲載されている写真で、

こちらが実物。見くらべてみると「SUS304」の印字の有無に気づきます。
僕はそこまで気にならないので流しましたが、「写真と実物がちがう」と失望する方もいるかもしれませんね。商品レビューで指摘していた方もいらっしゃいました。
■破損したものや全く違う製品が届くこともある
もちろん、もっとヤバいケースもあります。
以前、熱海のマンションにCDを壁掛けで飾ったことがありました。
結局、コの字型の金具で済ませたのですが、その前にアクリル製のウォールラックを買ってみたら、

ヒビの入った製品が届きました。6個入りだったのですが、複数破損していた記憶があります。安物ですから目くじらを立てる気もありませんし、僕も無知だったのでミッチャクロンをスプレーしてヒビ割れをさらに促進させてしまい(アクリルに溶剤はNGと知らなかった)、これも勉強と思ってあきらめました。
個人的にいちばん驚かされたのが、この商品を注文したとき。

以前、熱海の寝室をリフォームした際、同じメーカーの製品を注文したことがあったのです。
このとき買ったペンダントライトにはまったく問題がなかったので、山小屋の客間をリフォームするときにもこのメーカーの商品を選んだのですが、まったく異なる商品が届きました。照明を頼んだはずが、なぜかファンのようなものが送られてきて返品することになり、アマゾンの問い合わせフォームを通じてやりとりをしました。
返品自体は仕方ないのですが、相手から送られてきたメッセージに驚かされました。

「倉庫は最近忙しくて、メッセージを見逃す可能性もありますが。もし倉庫は受け取りを拒否したら、弊社に連絡してください」って、返品した商品がまた戻ってくる可能性があるってこと?無事に返金されたからいいものの、さすがにこのやりとりにはゲンナリさせられました。たぶん、日本語が不自由なだけで悪気はないんでしょうけどね。
■素性の知れない中国製品はリスク覚悟で購入すべし
こうして振り返ると、日本の会社が販売する製品ではなかなか起こらないトラブルがそれなりの頻度で発生するのでリスクがあるのはまちがいないと言えそうです。
まとめると…
- 複数個買うと不良品が混じる可能性が高い
- 予定通りに配送されない可能性もけっこうある
- 商品写真とは異なるものが届くこともある
- 破損していることもあるかもしれない
列挙するとネガティブな印象を受けるでしょうし、僕も積極的にはすすめられません。
それでもユーザーとしての選択肢が増えるという意味ではメイドインチャイナの製品もありがたい存在であると思っています。そもそも中国製品は価格が圧倒的に安価なのですから、ハズレを引く可能性があるのを承知で購入するくらいの心持ちで臨むのがちょうどいいのです。
最後に、熱海でゲスト用に買った寝袋に貼られていたラベルをごらんください。

「汚れた寝袋」って……しかも、ご丁寧に「新品」て(笑)
もちろん中身は汚れてなかったですし、パッケージを開けたのも自分だからどうでもいいですけど、もし人への贈り物だったらと思うとちょっと笑えません。
素性の知れない中国製品を検討するならば、さまざまなリスクを覚悟したうえでの購入をすすめます。