(614)あえて壁面収納を撤去してタイル壁でインテリアに余白を設ける

ここ最近、「収納の改善」をテーマに記事を書いてきました。前回は7年ほど前に自宅のキッチンの壁に設置した収納棚についてお話しました。
(613)平安伸銅のシェルフフレームをDIYで取り付けた話
空間をムダなく使って、なるべく多くの物を収納することはとても大事なことです。
でも、今回の記事は真逆とも言うべき内容になります。
既存の壁面収納を撤去し、ただタイルが張られただけの壁にリフォームした話です。収納をあえて削って余白にすることによって、空間を視覚的に区切ると同時に、インテリアに「余裕」を持たせようと考えました。
まずは、リフォーム前のキッチンからどうぞ。

向かって左が今回お話する壁。前回ごらんいただいた収納棚が見えます。
茶筒をならべて「見せる収納」として使っていましたが、コロナ禍に片付けを怠ったために最近までキッチンはひどい散らかりようでした。

物があふれて息が詰まりそうな感じがします。結局、収納を増やしても、それに甘えて物を増やし続ければ、部屋は片付くどころかどんどん息苦しい空間になっていくのだと痛感しました。
そこで、昨年のリフォームを始めたときに「この壁には収納を設けず、あえて余白として残そう」と決めました。

まず、棚板をはずし、

ビスを抜いて、

壁をプレーンな状態に戻しました。

この壁の良いところは、形がシンプルな長方形で、スイッチやコンセントのパネルも付いていないところです。この状態はタイルを張るにはうってつけです。
真っ先に思い浮かんだのは、「平田タイル」のカタログで目を付けていたこちら。

「パルマ(Palma)」というスペイン産のリサイクルガラスのタイルです。このコーディネート写真を見るかぎりでは、かなりモダンな印象を受けるのですが、

実際にサンプルを取り寄せてみると、クリーム色を基調にした我が家にもマッチしそうです。うちの妻は「昔のデパートの壁みたい」と言っていましたが、たしかにどこかレトロな雰囲気が感じられます。

こちらが実際に注文したシート。グリーンやイエロー、ブラウンが混じったミックスカラーが美しいです。

これをDIYで張り付けました。詳しくは次回に譲ります。

タイルを張り終えたところ。雰囲気がガラリと変わりました。存在感はありつつ、収納棚のような圧迫感やうるささは感じさせません。

せっかくなのでワンポイントで照明器具を設置してみることにしました。
山小屋の離れにも設置したHIGHTIDEの「PIT.(ピット)」です。
「TYPE D」という吊り下げ型のタイプで、

以前は自宅のリビングで使っていたのですが、模様替えで取り外してしまったままになっていました。

こんなふうに壁に引っかけて吊るしてみました。

先日ご紹介した方法で、この壁の真ん中には下地の柱が通っていたのはあらかじめ確認済みだったので、

目地部分を貫通して額吊フックをしっかりと固定することができました。

電球を見栄えのするエジソンバルブに交換したら完成。

照明で柔らかく照らされると、タイルの壁も際立ちます。

個人的にはタイルを眺めるだけでも十分満足なのですが、もっと実用的な狙いもあります。

この壁の左側が玄関、

右側がキッチン。

印象的なタイル壁にすることで視覚的に空間を分けようと考えたのです。

壁面収納を撤去したおかげで、空間に抜け感も生まれました。

狭くて物も多い我が家ですが、収納をあきらめて余白を設けたことで、物があふれるオープン収納との対比が生まれ、すっきりした印象になりました。インテリアにはこういう「余裕」も大事なのかな、と。

収納は足すばかりではなく、ここぞというところで削ることで、インテリアを改善できると実感できました。次回は、タイルDIYの模様をリポートします。