(615)【前編】カットなしで壁の幅ぴったりにタイルを張ってみた

前回、壁面収納をあえて取り外し、シンプルなタイル壁にリフォームしたお話をしました。
(614)あえて壁面収納を撤去してタイル壁でインテリアに余白を設ける
この壁には平田タイルの「パルマ」というガラスタイルを張ったのですが、実は個人的に初めての試みをしています。

壁の両端にタイルがぴったりと収まっているのがおわかりでしょうか?
一般的に言うと、壁にモザイクタイルを張る場合、あらかじめタイルのサイズから逆算して壁を造りでもしないかぎり、タイルが壁の幅にぴったり合うことはまずありません。
では、どうしたのかといえば、タイルシートをいったん切り離してから目地幅を調整しながらならべることで、壁の幅にぴったりと収まるように張ったのです。今回は、この施工の模様を具体的にリポートします。
■壁の幅にタイルのシートがぴったり合わないという問題

前回もお見せしましたが、タイルを張った壁にはスイッチプレートなどもなく、形もシンプルな長方形なのでタイルを張るのにうってつけだったのですが、ひとつだけ問題がありました。
それは「壁の両端の収まりをどう処理するか?」でした。
これまで何度もタイルDIYをおこなってきましたが、大抵の場合は両端(もしくは片方)に壁があり、タイルを張って余ったスキマには目地やコーキングを入れることで収まりを調整することができました。
たとえば、こんな感じ。

タイルシートを張ったあと、両端の壁との間にスキマが余っているのがおわかりになると思います。

この両端のスキマは目地やコーキングで埋めることで目立たないようにできるのですが、今回の壁は事情が異なります。

このように凸型の形状だと両端に余ったスキマを目地やコーキングで埋めることはできません。

こんなふうに直角部分に目地材を斜めに入れて処理することはできそうですが、シャープに仕上がらないのが気になります。

両端に見切り材を入れるという方法もありますが、手間もかかる上に素材感によってはせっかくのタイルの存在感を邪魔してしまう怖れがあります。

もちろん、壁のサイズに合うようにグラインダーなどでタイルをカットする手はありますが、端部に張ってきれいに見える精度でタイルを切れる自信はありません。
■シートをバラして列状にして張り付ける

そこで考え出したのが、タイルシートをタテ方向にカットしてバラして目地幅を調整しながら張っていくという方法でした。

一般的にモザイクタイルというのはシート状につながっている状態で販売されています。バラバラのタイルがあらかじめ均等な目地幅でつながっているので施工しやすいのがメリットですが、今回のような場合では目地幅が決まっていることがデメリットになります。

ひとまずシートのまま今回の壁の前にタイルを仮置きしてみました。シートの端を壁の端に合わせると、反対側のタイルが壁の端からはみ出てしまいます。

この半端に余った長さ(約10ミリ)をなんとかするために、タイルシートを切り離して列の状態にして、ほんの少しだけ目地幅を広げてならべてやろうと考えたわけです。

半端に余った10ミリをそれぞれの目地に均等に割り振れば、壁の幅ぴったりに収めることができるはずです。実際にならべてみましょう。

タイルが12列あって目地は11列あるので、目地1列あたり1ミリ弱くらい広げてあげることになります。

ちなみに、このタイルシート、もともとの目地幅は3ミリに設定されています。タテ方向の目地が1ミリ広がると、ヨコ方向の3ミリにくらべてタテ方向のみ若干目地が太くなってアンバランスに見える怖れがあります。タイルを全ピース、バラバラにすればヨコも含めて完全に均等な目地幅で張ることもできますが、さすがにそこまでする根性はなく。
ヨコ方向の目地とタテ方向の目地で幅が異なることが見た目にどこまで影響するか、やや不安ではありますが、そこはトライしてみて結果を受け入れようと覚悟を決めました。
■ざっくり接着してから肉眼で目地幅を均等に調整する

さて、養生が済んだら、接着開始です。

壁にボンドを塗って、

クシ目をつけるまではいつもどおり。

まず、壁の端に1列だけ張り付けます。

次は、反対側の端に1列。

この2列の間に残りの10列のタイルを均等の目地幅を保って並べていかねばなりません。

といっても、最初はそこまで神経質になる必要はなく、だいたい4ミリくらいを目安に張っていけばOK。あとあと位置を調整するので、この時点では剥がれないていどに軽く接着しておくのがポイントです。

とりあえず、12列すべてを張りました。案の定、目地が広い部分や狭い部分が残ってしまい、アンバランスなところが目立ちます。
ここからが大事。

タイル用のボンドは乾くまで時間の猶予があるので、タイルを少しずつずらしながら目地幅を調整していくのです。

ときどき離れたところからも確認しながら、微調整を繰り返します。根気のいる作業ですが、最初に張った部分が残りの部分のガイドになるので、できるかぎり丁寧に作業することをおすすめします。

ちなみに、中央部分(6列目と7列目の間)に印を付けておくと作業しやすかったです。

位置調整が済んだ後。厳密には目地幅にバラつきはあるのかもしれませんが、自分の肉眼で見て粗が目立たないところまで持っていければ十分です。

最初の部分がしっかり張れたら、あとはそこに合わせてひたすら張り進めていくだけです。

シートをタテに切り離し、

すでに張ってあるタイルに合わせて一列ずつ接着。列になったタイルはシートの状態よりもズレやすいので慎重に圧着しましょう。

シートのときとくらべると、作業時間がかかります。

壁一面に張り付けて、およそ3時間の作業。それなりに大変でしたが、印象が一変した壁を見ると、疲れが吹き飛びますね。この達成感があるからタイルDIYはやめられません。

心配していたタテヨコの目地幅のちがいは、あまり気にならない印象です。よほど神経質でないかぎり、1ミリていどは誤差の範囲として許容範囲なのだと感じました。
長くなってきたので続きは後編で。