(627)熱海のリゾートマンションを3年間所有した正直な感想

お金のこと

前回、2024年の1年間にかかったリゾートマンションの維持費をまとめました。

早いもので今年の春で熱海の築古リゾートマンションを取得してから丸3年が経ちました。あらゆることが新鮮だった熱海の生活も今では日常の一部となりつつあります。

そこで、今回はマンションを3年間所有して感じた正直な感想を、いいことも悪いことも含めてまとめてみたいと思います。


■熱海の物件は入居者さんの保養所として活用

最初に前提条件を整理しておきましょう。

DIY中の室内

何度も書いてきましたが、この物件は格安価格で売りに出ていた築古物件をDIYでリフォームしました。

購入して最初の9カ月くらいはひたすら工事に費やしました。

かくして生まれ変わった物件は、僕が管理する世田谷のマンションに入居している人ならだれでもタダで宿泊できる保養所的な施設として運用されています。僕が仕事を通じて出会った方を招待することもよくあります。その意味で個人所有の別荘とは使用状況が異なることはご承知おきください。

年間の滞在日数は以前もまとめたとおり。

一昨年、昨年ともに多くの方にご宿泊いただき、一年のうち1/4~1/3は(僕も含めて)だれかが滞在しています。個人で別荘を所有する方々の話を聞いていると、月に一度も使わないという人が多いですから、それとくらべればなかなかの稼働率だと思います。


■【よかったこと①】大窓を通して眺める海の魅力

では、ここからは思い浮かんだことをひとつひとつ書き出していきましょう。

最初に挙げるのは何と言っても窓一面に海が広がる眺望です。

ベランダから眺める海

以前も書きましたが、僕が熱海のリゾートマンションを選ぶ際に「海が見える(オーシャンビュー)」という条件が最優先でした。

この景色を十分に楽しめるように窓をカバー工法で新しいものに交換しました。

オーソドックスな4枚引き戸ではなく、真ん中を大きなフィックス窓にしたのがポイントです。

室内窓から海を臨む

そのおかげで、海がより迫力をもって感じられるようになりました。そのぶんかなりの費用がかかったのですが、この眺めを気に入っているので後悔はありません。

夕方の海

月に一度か二度、コンスタントに眺めていれば飽きるかと思いきや、春夏秋冬、朝晩、晴雨、それぞれで表情が変わるので飽きることはありません。


■【よかったこと②】別荘を通じた交友関係

入居者さんが自由に使える部屋と言っても、案内を出しただけではなかなか気楽に訪れることはできない方も多いでしょう。

そこで、初回の宿泊日には僕が駅までクルマで迎えに行き、室内を案内しがてら夕食をごちそうするようにしていますが、この時間が大変有意義だと感じています。

熱海の食卓

世田谷でも入居者さんを誘って食事に行くことはよくあるのですが、1~2時間のディナーは長いようであっという間。その点、熱海のマンションでなら時間を気にせず、ゆっくり話し込むことができます

僕は初日の案内と夕食が終わったら世田谷に戻るのですが、食事のあとも話し続けて気がつけば日付が変わる時間だったなんてこともありました。

仲の良い入居者さんとは一緒に行って泊まることもあります。

熱海の寝室

うちのマンションはゲストと共有する基本スペースに加え、スタッフルームとして使っている小さな部屋もあるので、別々の部屋でお互い気兼ねなく就寝できます。

熱海の間取り

我ながら、この間取りを選んだ自分をほめてあげたいです。

入居者さん以外にもマンションの仕事で知り合ったお客さんを招くこともあり、いろいろな話を聞くことができるのはとても勉強になります。いまや僕の交友関係はこのマンションに支えられて広がっていると言ってもいいくらいです。


■【よかったこと③】とにかく魚が美味しい

購入当初は「海の近くなら魚が美味しいかも」くらいの感覚だったのですが、いざ熱海に通ってみると町の鮮魚店で買うお魚が美味しくてすっかりハマってしまいました。別荘にゲストを招いたときも必ず新鮮なお魚でもてなします。

お刺身

パックに入ったお刺身を買ってきて、友人の陶芸家いざきあつしくんのお皿に盛り付けるだけで、豪華な刺身盛り合わせの出来上がり。

もともと肉より魚派だった妻は喜んでいますし、断然肉派だった僕も熱海に来たら魚を食べたいと思うようになりました。

熱海のキッチン

リゾートマンションにはちゃんとしたキッチンがあるので料理も楽しめます

最近は、1日目にお刺身を楽しんだあと、2日目にはちょっと変わった魚料理にトライしてみるようになりました。

カジキマグロのスパイスソテー

写真はカジキマグロにスパイスで味付けしてバターソテーにしたもの。作り置きの副菜を持参してプレートにしてみました。

こういうふうに料理を楽しむことができるのは別荘ならではです。


■【困ったこと①】維持管理の手間がかかる

ここからはデメリットを挙げていきます。

別荘といえば、皆が口をそろえていう維持管理の手間。筆頭は洗濯です。

洗濯機でシーツを洗濯

部屋には密閉容器が置いてあり、使用済みのシーツなどはここにしまっておいてもらい、僕が訪れた際に回収して洗濯しています。

洗濯の手間を省くために、ゲストのみなさんには簡易的な寝具で寝泊まりしてもらっているのですが、それでも宿泊のたびに人数分のシーツと枕カバーを洗濯する手間はかかります。

ペットボトルのケース

消耗品の補充も大事な仕事。けっこうな頻度でゲストが宿泊すると、トイレットペーパーやティッシュペーパー、ペットボトル入りのミネラルウォーターやお米、ボディソープや洗剤などがそれなりのスピードで消費されていきます。僕は月に1~2回くらいの頻度で熱海を訪れますが、毎回足りないものをチェックしては補充します。その他、定期的な室内の清掃もあれば、室内の補修工事にも立ち会わねばなりません。

こんな具合に維持管理の手間を挙げればキリがありません。僕の場合は物件を管理するのが仕事なのであきらめもつきますが、ふつうの個人所有だと負担に感じる人も多いでしょう。別荘を持つということは、物件をひとつ管理することにほかならず、これが面倒で行く気がしないという人はホテルに泊まるほうがいいかもしれません。


■【困ったこと②】駅や街から離れていて買い物が面倒

駅から歩ける距離ではない立地もデメリットです。

熱海駅周辺

一般的に言って、熱海駅から徒歩圏内のリゾートマンションは高額で、クルマやバスを利用しないとアクセスできない物件はリーズナブルです。

僕の場合、「眺望重視かつ格安」という条件で選んだので駅からの距離についてはハナからあきらめていたのですが、うちの物件の周辺は驚くほどお店がなく自販機すらありません

冷蔵庫

リフォームが終わった今でこそ冷蔵庫にいろいろ備蓄しておけますが、DIYの最中はクルマで出かけなければ冷たい飲み物は買えませんでした。このときばかりはちょっと歩けばコンビニや自販機がある環境を心底うらやましく思ったのです。

都心とちがって熱海のはずれともなるとウーバー的なサービスもあまり充実していないので、もし宅配サービスを利用するとなると選択肢がピザやファミレスのデリバリーなどに限定されることになります。せっかく熱海に来てまでファーストフードもなあという気持ちがあり、僕はほとんど利用していません。

熱海の室内

ゲストのみなさんも到着時に駅の周辺で買い物してタクシーで移動し、基本的には室内で自炊しつつのんびり過ごすというのが定番になっているようです。気が向いたらちょっと散歩がてら買い物、なんて過ごし方がしたい人は立地にこだわるべきでしょうね。


■【困ったこと③】古いお風呂には不自由も多い

先ほど窓からの眺望について書きましたが、うちのマンションは浴室からも海が一望できます。

熱海の浴室

海を眺めながらお湯に浸かれるのは贅沢ではありますが、なにぶん設備が古いせいもあり不自由な点が多いのはデメリット。

換気扇がないのでお風呂上がりは窓を開けなければなりませんし、追い炊きがないので二人での来訪時は別々に沸かすか、続けて入るかしかありません。

水栓から出るお湯

地味に面倒なのが給湯器から浴室までの距離が遠いせいでお湯が出るまでけっこうな時間がかかること。自分でも最初は「故障してるの?」と思うくらい待たないとお湯が出なかった記憶がありますから、ゲストのみなさんも不自由していると思います。

温泉イメージ
※画像はイメージです

熱海のマンションには大浴場があって温泉が楽しめる物件も多いのですが、うちには温泉もなければ大浴場もありません。そのぶん維持費がかからなくていいという思いもありますし、クルマで日帰り温泉に行けばいいと割り切っていますが、お客さんのことを考えると「温泉や大浴場があったほうが喜ばれただろうな」と思う気持ちはあります。


■結局、月5万の維持費を払う価値ってあるの?

以上が熱海で中古のリゾートマンションを購入してから3年経った時点でのリアルな感想です。

熱海の室内

デメリットも挙げましたが、予算が限られているなかでの物件取得&リフォームなのでいいことばかりでないことは覚悟していましたし、大きな不満はありません。

現時点でメリットとデメリットを天秤にかけてみると、メリットのほうが勝つという思いにまちがいはないと断言できます。

熱海の海

ただし、個人だけでの所有だったら話は変わってきそうです。前回ご説明したようにこの物件の維持には毎月5万円弱かかるので、月に一度か二度の宿泊だけでは「旅行行ってホテルでも泊まったほうがよくない?」と感じてしまってもおかしくないのです。

僕の場合、自分が楽しむことはもちろん、マンションの人に保養所サービスが提供でき、たまにゲストのみなさんと楽しい時間を過ごすことができるというメリットも含めると月5万円の価値はあると感じています。このあたりは個人での別荘所有をお考えの方とは前提が異なるのでご注意ください。

逆に言えば、個人で別荘を所有して元を取るのはなかなか難しいのが現実です。ただ、物件自体の価格は非常にリーズナブルなので、僕のように何らかの付加価値を見出せる人なら検討する価値はあると思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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