(653)ボロボロの部屋を前にどうリフォームプランを立てる?

前回、うちのマンションで唯一和室テイストに仕上げた部屋をごらんいただきました。
(652)マンションで唯一の和室テイストのインテリアを紹介する
この部屋、実に23年ぶりの退去となったこともあり、室内はすさまじく汚れていました。詳しくは以前の記事をどうぞ。
今回は、このボロボロの部屋に対してどんなリフォームプランを立てたかや、それを具体化するまでのプロセスなどについて書きたいと思います。
■障子を残そうと思ったきっかけは入居者さんの言葉
最初に、僕が書いたプランからごらんください。

リフォームのたびにこんなふうに間取り図に書き込みをして自分の要望を伝えています。細々といろいろ書き込まれていますが、今回のリフォームの中心となったのは障子でした。

退去時には紙はビリビリに破れ、見事に一枚も残っていませんでした。

これは他のお部屋で退去時に撮影した写真ですが、汚れたり破れたりしても多少の障子紙は残っているものなんですけどね。よく木枠が壊れずに残ったものです。
当初、僕は障子そのものを処分するつもりだったのですが、親しいマンションの入居者さんが「障子を残してリフォームしたら素敵ですよね」とおっしゃったのを聞いて気が変わり、障子を中心としたリフォームプランを立てることにしました。すべてのきっかけは入居者さんのひとことだったというわけです。

正直、こんな状態の障子を再利用できるのか、内心心配もあったのですが、

建具屋さんが木枠をきれいにクリーニングして新しい障子紙を貼ってくれたおかげで、まるで新品のように生まれ変わりました。あのビリビリに破れた障子と同じものとはとても思えません。これを見たとき「やってよかった」と思いました。
■寝室を小上がりにしてココフロアを市松張りに
リフォームを考えるときは最初の第一歩が決まるまでに悩むことも多いのですが、逆に一歩踏み出せばあとはトントン拍子に進んでいきます。この部屋の場合、障子を残して和室テイストにしようという方向性が決まると、あとは連鎖的にアイデアが湧いてきました。

ここはリビングに隣接する三畳の寝室。いつもならば下がり壁を撤去して、リビングと続きで使えるような空間にリフォームするのですが、和室ならば小上がりにしてみようと思いつきました。

冒頭に挙げたアイデアメモに赤字で追記して伝えたところ、

こちらがイメージしたとおりの小上がりを造作してもらえました。大工さん、すごい。
さて、小上がりといえば畳が定番ですが、予算やメンテナンスを考えると難しいのが現実です。代わりに選んだのがココフロアでした。

ココフロアは山小屋のリフォームでも使用したビニール製の繊維を編んで作った素材。ビニールなので耐久性もあり防汚性能にも優れています。詳しくは過去の記事をごらんください。
山小屋では編み目の向きをそろえて流し張りにしましたが、今回のように市松張りにすると琉球畳のような雰囲気が出て、和室感を演出するのにももってこいです。
■木目調の壁紙でリビングに和室感をプラス

退去直後のリビングは天井の壁紙が剝がれ落ちそうになっている状態でした。

和室感どころか、いい意味での古さみたいなものもなく、ただの汚い部屋です。
ここに和室感を出すために木目調の壁紙を張ることにしました。

リビングの天井と壁の一部に壁紙を張ってもらったのですが、職人さん曰く「天井や壁が経年劣化で凹凸が多く、平坦に整えるのに苦労した」とのこと。

しかし、幸いなことに腕の立つ職人さんで、そういう苦労を微塵も感じさせない素晴らしい仕上がり。現場監督さんも仕上がりのクオリティを絶賛していました。これ以後、壁紙の工事があるときはこの職人さんを指名するようになりました。
ちなみに、うちのようなマンションで完全な和室をめざすのは構造的・予算的に無理があります。そこで、壁紙についても壁全面には貼らずに、アクセントていどに用いるようにしました。

白い壁をベースにすることで、和室テイストがありながらもモダンな印象を受けるインテリアができれば、と思った次第です。
■とにかく汚れがひどい水回り
一方、水回りはどうかといえば、工事前はリビング以上に汚れていました。

洗面、

トイレ、

お風呂など、すべてが最近まで人が住んでいたとは思えないくらいの惨状でした。

キッチンは遠目にはまだマシかと思いきや、

近づいてみるとビッシリと汚れがたまっています。ここで料理してたなんて、ちょっと信じられません。
というわけで、水回りはすべての設備を交換することになりました。

なお、洗面のミラーキャビネットだけは取り外して保管し、自宅の洗面に取り付けたのは先日書いたとおりです。
■配管の位置はそのままで設備を一新
さて、この水回りをどうリフォームするかですが、和室感にこだわらずオーソドックスなプランを立てたのは前回ご説明したとおりです。

浴室、洗面、トイレは、位置こそそのままですが、壁も解体して大幅にリニューアル。

おかげで以前の浴室には入らなかったユニットバスを設置したり、トイレのドアの位置を前にしてトイレ内の空間を広く取ることができました。
洗面やトイレには目を引くようなアクセントカラーは入れず、和室テイストのインテリアの中で悪目立ちすることのないようダークグレーやオリーブグリーンなどの渋めの色合いでまとめました。

キッチンもここまで解体。築古マンションではトラブルの元になりがちな床下の古い配管も撤去し、可能なかぎり新しい配管に取り替えてもらいました。

コンパクトですが、新しいキッチンが設置されて見違えました。
かくして、リフォームが完了したのでした。冒頭にも挙げましたが、完成後の室内については前回の記事をお読みください。
(652)マンションで唯一の和室テイストのインテリアを紹介する
次回は、木目調のフロアタイルと壁紙の組み合わせについて考えます。