(661)ガス給湯器の寿命は何年か?~実例から考えてみる

お金のこと

前回、エアコンがいつまで持つか?について考えました。

(660)エアコンがいつまで持つか、故障まで見守って感じた寿命

今回考えるのはガス給湯器の寿命についてです。

給湯器はエアコンと同じくらい大事な設備で、これが故障するとお風呂にも入れず、冬にはキッチンでの洗い物もままならなくなってしまいます。まさに生活必需品であり、大家的にも常に気にかけておきたい住宅設備です。


■給湯器の寿命は10年以上、20年未満が目安?

僕がガス給湯器の寿命について意識するようになったのは、入居者さんから給湯器の操作パネルに「88」のメッセージが表示されていると相談を受けたのがきっかけでした。

操作パネルの「88」の表示

東京ガスに問い合わせたところ、給湯器の使用を開始してから10年が経過すると表示される仕組みになっているとのことでした。

あんしん点検

その際に利用できるのが「あんしん点検」サービスで、東京ガスの方が来てくれて排気口の一酸化炭素の濃度に異常はないかなどを確認してくれます。ちなみに、このときの点検にかかった料金は「9,020円」でした(2020年当時の価格)。

立ち会ったとき、点検員の方が「二度目の点検はあるかどうかわからないですね」と話していたのを覚えています。

ということは、給湯器の寿命は10年以上、20年未満がひとつの目安になってくるのかな、と感じました。


■マンション最古参の給湯器は25年間故障なし

この一件以来、マンション内のガス給湯器の製造年をチェックしてリスト化するように心がけるようになりました。

すると、マンション内にかなり昔に設置され点検も受けないまま長い時間が過ぎてしまった古い給湯器が見つかりました。

1995年製の給湯器

最古参はなんと1995年製。2020年当時ですでに25年目を迎えていました。

古いガス給湯器

現在、主流となっているタイプとくらべて細長い形の給湯器で、

温度調整ダイヤル

温度設定も、摂氏表記ではなく1~7の段階設定。僕自身、使っていたことがありますが、細かい温度がわからないので本当に使いにくいです。

しかし、こんな古い給湯器を25年間も交換なしでよく使い続けられたものです。入居者さんに問題はなかったか聞いてみましたが、「特に困ったことはありませんでした」とのこと。

思えば、先日ご紹介したお部屋でも1995年製の給湯器を24年間使用していた事例がありました。ガス給湯器はエアコンよりも寿命が長いのだな、と実感しました。

とはいえ、いつ壊れるかもわかりませんし、25年も使えば十分に元は取れたので、最新の給湯器に交換することにしました。


■19年目に故障したケースもある

25年を経てもなお壊れなかったガス給湯器がある一方で、寿命を迎えて故障した給湯器もあります。

事務所の給湯器

それがうちの事務所の給湯器です。

2004年製の給湯器

こちらは2004年製。事務所は仕事でしか使用しないため、お湯が出なくなっても困らないこともあり、故障するまで使い続けようと思っていたところ、2023年の冬に謎のエラーメッセージが表示されてしまいました。

エラーメッセージ「LL」

「LL」なんて初めて見ました。ウェブ上に公開されている「ノーリツ製品故障表示一覧」を当たってみると、

ノーリツ製品故障表示一覧
ノーリツ製品故障表示一覧より引用しました

オイルタンクに灯油を補給してください」というメッセージでした。ガスなのに給油を知らせるメッセージが表示されるという謎の事態でしたが、このあと一度電源を落としてプラグを抜いたら挿し直しても電源が入らなくなってついに故障と相成りました。なお、事務所でガスは使用しないため、現在もそのまま放置しています。

かくして、設置から19年目に故障したという実例が得られたのでした。


■寒波の影響か、11年で故障した山小屋の給湯器

これだけ見ていると、たいていの給湯器が20年近く持つような錯覚に陥りそうになりますが、そうとも限らないのが難しいところ。

山小屋の給湯器

僕が管理している物件の中でもっとも寿命が短かったのは、前回のエアコンと同様、山小屋の給湯器でした。

2007年製の給湯器

こちらは「2007年製」ですが、2018年に故障しました。

「610」のエラーメッセージ

給湯器の操作パネルに「610」のエラーメッセージが表示されました。

リンナイ公式ページによれば「エラー610は、燃焼ファン異常や、燃焼ファンが回転をしているのに 回転を検知しない症状が発生した場合に表示します」とのこと。

お客様での対処方法は、運転スイッチを一旦切っていただき、再操作をお願い致します」と記載されていたので、そのとおり試してみましたが、改善しません。その場合は「給湯用燃焼ファンモーターや、電装ユニット等の故障の可能性がございますので、修理が必要となります」ということで故障が判明しました。

設置から11年目に故障したことになり、やはり自然の厳しい山小屋の環境では設備の寿命が短くなるなあ、と痛感した次第です。

ふりかえってみると、この2018年の年始は強烈な寒波による水道管破裂が起きた年。

直後には給湯器は無事に動きましたが、同年の末には故障したわけで、おそらく寒波の影響で給湯器がダメージを受けていたのではないでしょうか。


■熱海の給湯器は設置から15年を過ぎて動作が不安定に

もう一例、挙げましょう。

2007年製の給湯器

熱海のリゾートマンションのガス給湯器は「2007年製」でした。

僕が物件を購入したのが2022年でしたから、購入時点ですでに15年が経過していたことになります。お客さんも宿泊する部屋なので、すぐにでも交換したかったのですが、当時はあいにくのコロナ禍でガス給湯器が非常に入手しづらい時世だったので、しばらくだましだまし使っていました。

蛇口から出るお湯

今思えば、蛇口から出るお湯の温度が安定していなかった気がします。熱かったかと思うと、急にぬるくなったりするのです。当時は、給湯器と浴室がかなり離れているというマンションの構造上の問題だと思っていましたが、

新しい給湯器

2023年の末に新しい給湯器に交換してからはお湯の温度は安定するようになり、やはり15年を過ぎてくると徐々に動作が不安定になってくるのだなあと感じたのでした。


■ガス給湯器の寿命は設置から12年から15年くらい?

さて、最後に東京ガスのホームページを見てみると、「安全上支障なく使用できる標準期間」は「製造から10年」と設定しているメーカーが多いという記載を見つけました。

ですが、今回ご紹介した事例や、マンション内の他の部屋の給湯器を見てみても、最低でも12年は持つのではないかと感じています。前回ご紹介したエアコンの寿命が10年から15年ほどだったのとくらべると、ガス給湯器の寿命はもう少し長いのではないでしょうか。

ガス給湯器

うちのマンションの工事の際に業者さんに「給湯器ってどれくらい持つものなんでしょうね?」と聞いてみたところ、一概には言えないがと前置きされた上で「12年から15年くらいはいけるんじゃないでしょうか」と話してくれました。

これは今回まとめてみた感想とほぼ一致しています。12年を過ぎたあたりからは注意深く動作を見守り、不安定な兆候が感じられたらすぐ交換するというスタンスが現実的にベストではないかという結論に達しました。

しかし、エアコンもそうですが、故障してしまったときに日常生活に致命的なダメージを与えるのが給湯器の怖いところ。壊れるまで使おうとするなら万一の際に自宅のお風呂はあきらめて銭湯通いするくらいの覚悟がいるわけで、賃貸マンションを営む身としては設置から12年を過ぎたら空室などのタイミングをうかがって予防的に交換するのがよいのでしょうね。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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