(705)キッチンが2つ?極私的な理想のキッチンを妄想する
前回、「キッチンはリビングダイニングと同じ空間にあるべきか」という問題について考えてみました。
過去の事例について整理しながら考えるうちに「こんなキッチンがあったらいいなあ」と妄想がふくらんできたので、今回はそのアイデアをまとめてみます。なお、実行に移す予定はありませんので、あくまでアイデアスケッチとしてお読みいただければ幸いです。
■リビングとキッチンが一体になった「HIROMA」
昨年、マンションの元入居者さんが物件を購入されたので、ご縁もあってリフォームをお手伝いしました。一緒にショールームを回ったりもして、ふだんなら検討しないようなグレードのキッチンもじっくり見ることができました。

そんななかで目に留まったのが「HIROMA」というキッチンです。
【クリナップ】HIROMA
住設メーカーのクリナップが老舗家具メーカーの飛騨産業と共同開発したキッチンなんだとか。

こちらが展示してあったモデル。手前のダイニングテーブルと奥のキッチントップが共通の規格で設計されており、シンプルなシンクとコンロが組み込まれています。家具メーカーとコラボしただけあって、テーブル部分の造りもしっかりとしていると感じました。
クリナップのホームページによれば、一般的なLDK(=リビング/ダイニング/キッチン)を分解・再構築したと説明されていますが、簡単にいえば、気負わずに料理をしたり、ホームパーティーで話しながら料理したり、夫婦でコーヒーを楽しんだりと、これまで別々の空間でおこなっていた行為をひとつの場所に結び付けることで、「暮らしをもっと自由に」することをめざしているようです。
前回も触れましたが、今は間取りも部屋を細かく区切らず、大きくワンルームのように使うのが流行りですから、そういうトレンドにぴったりマッチしたキッチンだと言えましょう。
ですが、よくよく考えてみると、シンプルでかっこいいけど、どう考えてもこれだけじゃ足りないよね、と思ったのも事実。調理器具はどこに置くの?洗った食器の水切りは?とか。それに、個人的にはIHって使いづらいよね、という思いもありますし。いろいろ考えると、ほとんど料理をしないおしゃれピープル向けの製品なのかなあ、なんて気持ちも。
■「ウェットキッチン」と「ドライキッチン」があるマレーシア
さて、話はいったん逸れます。
BS-TBSで「憧れの地に家を買おう」という番組が放送されているのをごぞんじでしょうか?
【BS-TBS】憧れの地に家を買おう
MCを務めるタレントの武井壮さんが理想の別荘を探すという体で毎回さまざまな国の邸宅が紹介されるのですが、あるときマレーシアのお宅が紹介されていたのを見て興味深い事実を知りました。
マレーシアでは、揚げ物を中心とした汚れが生じやすい料理をするための「ウェットキッチン」と、ちょっとした料理やお茶を淹れたりする「ドライキッチン」のふたつを設置することが多いんだそうです。
面白いと思ってネットを漁ってみたところ、とても分かりやすく説明してくれている投稿を見つけましたので引用させていただきます。
マレーシアの家にはキッチンが2つあることが多い。写真(物件サイトから借りました)手前側がドライキッチン、電子レンジで物を温めたりケトルでお湯を沸かしてお茶を入れたり。ガラス戸奥がウェットキッチン、ガチの料理はここでやる。スパイシーだったり油の多い炒め物などの料理→ pic.twitter.com/snFric6AyV
— ばふ🇬🇧 (@baffle_uk) April 25, 2024
なるほど、「ウェットキッチン」をガラス戸でしっかり区切ることで、煙や臭いをシャットアウトして、手前の「ドライキッチン」は清潔に保てるというわけ。
さらに、このへんの事情について詳しく書いた記事を見つけましたので、こちらもリンクを貼っておきます。
【kitchenhouse セレクターブログ】ドライキッチン+ウェットキッチン(2014.09.05 Friday)
この記事から引用させていただきますと、
「マレーシアの住宅のキッチンはウェットキッチンとドライキッチンがあり
ウェットキッチンは主にステンレスの天板に火力はガスが多いです、
しっかり調理をするキッチン、その隣に硝子の窓を隔ててドライキッチンがあり
ここでは主にお皿を選んで盛りつけたり、家族が自由に出入りしてキッチンを使えます」
とのこと。
前回、キッチンとリビングダイニングを同じ空間に設けるデメリットとして、キッチンで生じた料理の臭いがリビングに付着することを挙げました。
そうです、マレーシアのキッチンはこの問題に対するひとつの回答になるわけです。
■リビングにドライキッチンとして「HIROMA」を置きたい
ここで、話は冒頭の「HIROMA」に戻ります。

この「HIROMA」、マレーシアでいうところのドライキッチンとして使うのにうってつけではないのか、と思ったのです。

思えば、自分の部屋のキッチンの使い心地に大きな不満はないのです。このキッチンをウェットキッチンとして捉え、これまでどおり厚切り肉を煙モクモク上げながら焼きます。

そのほか、本格的な料理はすべてここでおこないます。
一方、リビングにはダイニングテーブルの代わりに「HIROMA」を設置し、お鍋を温めたりお茶やコーヒーを淹れたりすることができます。せいろで点心なんか蒸すのも楽しそう。
僕が調べたかぎりでは、マレーシアのドライキッチンは必ずしもリビングと一体になっているわけでもありませんし、「HIROMA」をセカンドキッチンとして使うのもコンセプトからはズレているかもしれません。
ただ、本格的な料理をするヘビーなキッチン/簡単クッキングのライトなキッチンの二段構えというのは、個人的にはなかなか便利そうだと思います。
もちろん、前掲の【kitchenhouse】の記事で「日本ではスペースの関係で2種類のキッチンを設置するのが少ない」と書かれているとおり、本丸のキッチンとは別にもうひとつキッチンを設置するなどということは、日本の住宅事情に置いては実現が難しいアイデアではあります。

我が家のような30平米の狭小マンションにおいてキッチンを2つ設けるなんてほぼ不可能でしょう。
スペースの問題だけではありません。費用面から考えても、キッチン本体の費用が倍になるばかりか、リビングまで給排水の配管を引っ張ってくる費用もかかることを考えると、金銭的なハードルはかなり高いと言えます。工事費用だって年々高騰していますしね……。
とまあ、そんなこんなで、僕の想像する理想のキッチンスケッチはひとまずはここで終了。単なる妄想ではありますが、その一部が種になってそのうち意外なアイデアが浮かぶかもしれませんから、頭の片隅にでも置いて密かに育んでいこうと思います。

















