(392)お風呂の壁からはがれたタイルを張り直すのに苦戦した
さて、ひさびさに熱海の工事の続き。
今回は浴室の壁タイルの補修についてお話します。
熱海の海が一望できるお風呂は、予算の関係もあって窓とシャワーの交換以外はおこなう予定ではありませんでした。壁の黒いスクエアタイルも渋い雰囲気ですし、手を入れる必要もないと思っていたのです。
ところが、お風呂あがりに壁に手をついたとき、ミシッというイヤな音がしたのです。
恐る恐る押してみると、やはりメキメキと音がします。
横から見て見るとタイルがはがれかかって「く」の字に浮き上がっているではありませんか。
浮いたタイルを引っ張ってみると、あっさりはがれました。
うそっ。
もう後戻りできないので、ブルーシートを敷いてやばそうなところをはがしていくことに。
割れてしまったものもありますが、一部は救出できたので再利用します。
計38枚をはがしました。
さて、こいつをどう補修するかです。
見るからに下地がデコボコしてるので、手元にある余ったセメントでざっくり穴埋めするところから始めてみました。
雑な仕事ですが、やらないよりもまし、ということで。
10センチ角のサイズはオーソドックスなタイルらしく、東急ハンズで同じものが見つかったので、ひとまず1枚買ってみました。INAX(Lixil)の「ミスティパレット」の黒(ツヤあり)です。
現場ではがしたタイルとくらべましたが、まったく同じでした。ところが、後日あらためて買い足しに行くと、まさかの取り扱い終了。
まあ、最近はネットで買えちゃうもんね……。
接着にはセメント系の接着剤を用意しました。
タイル張りというと、いつもは粘り気のあるアクリルエマルジョン系の接着剤を使っているのですが、下地もざらざらとしたセメントなので、今回は同じセメント系を使ってみようと考えたのです。結論からいうと、この慣れない選択で苦戦することになったのですが。
指定通りの水を混ぜて練り上げます。見た目も質感もいつも使ってる目地材と区別がつきません。
商品裏の説明によれば、「よく練り合わせた本品をハガレ落ちたタイルや、また新しく張り替えるタイルの裏面に十分にすり込んで」、「元の施工箇所に強く押し付ける様にして10秒程しっかりとおさえ」る「圧着工法」で施工するんだそうです。
こんな感じ?なんかトーストにクリーム塗ってるみたい。
ぎゅぎゅーっと押し付けます。
セメントは後でふけば取れるので、多少はみ出たり汚れたりしても大丈夫。圧着することに集中しましょう。
もたもたしているとセメントの水分が飛んで乾いて接着剤の役割を果たしてくれずにはがれてしまうこともしばしば。こうなってしまうと、もう一度新しくセメントを塗って張り直さねばなりません。
20枚ほど張って、4,5枚くらい失敗。ムダを出したせいか、一袋使って半分も張れませんでした。これ一袋で足りると思ってたのに……。
もう接着剤もないので、急遽、同じメーカーの目地材で代用することに。
どっちもセメントですし、目地材にも接着剤が入っているようなのでなんとかなるかな、と。
いちおう無事に接着できて作業を続けることができました。耐久性については……わかりません。
なんとか接着完了。必死に作業していたので写真が残っていないのですが、後半は気持ち水分多めにセメントを練り上げることで、乾きにくいようにして粘り気を出して張り付けるよう工夫しました。
苦戦の跡がまざまざと感じられます。あたふたしながらの作業で手がセメントだらけになり、タイル表面もひどく汚れてしまいました。
目地入れ後。セメント系の接着剤は、ふけばきちんときれいになるのはいいところ。
でも、ごらんのとおり仕上がりのクオリティは微妙。目地がガタガタしてますし、太さもまちまち。
本来、これくらいの目地幅に均一に仕上げたいのですが、
こんなに太くなってしまったところも。
張り付けることだけでいっぱいいっぱいで、目地幅をそろえるところまで意識が及びませんでした。
慣れないセメントでの接着はなかなか難しく、いつもどおりアクリルエマルジョン系の接着剤を使うべきだったのかもしれませんが、こういうザラザラしたセメントの面にしっかり効くのかはわからず……ひょっとしたら、セメント下地をもっと平滑に整える作業を入念にするべきだったのかも。
とはいえ、浴室の主役は窓からの景色。みんな海に目を奪われて、壁のタイルなんてほぼ目に入らないはず。実際、この補修から数日経ってなんとなしにお風呂を見たのですが、施工直後よりも粗が気にならない感じがしました。
次回は、窓交換工事の話です。