(398)【洗面台リメイク②】キャビネットの天板にタイルを張る
不要になった洗面台のキャビネット部分の改造をおこなっています。
前回は建具に木のシートを貼ってリニューアルしました。
今回は、本体の天板にタイルを張ります。お持ちの家具の天板にタイルを張ってみたいという方の参考になれば幸いです。
■まずは天板のDIYからスタート
洗面キャビネットは解体の際に洗面ボウルとカウンターをはずして処分してもらったので、天板がありません。
これではタイルの張りようがないので、天板を造るところから始めたいと思います。
といっても、難しいことはありません。
そこそこ厚みのある板を用意します。今回は現場に12ミリの合板の切れ端が余っていて、やや大きいくらいのサイズだったので大工さんに譲ってもらいました。
はみ出る分はのこぎりでカットします。あとでやすりがけするので精度はそこそこでOK。面倒ならホームセンターなどでカットしてもらってもいいかも。
あとは木枠の下地があるところを狙ってネジで固定します。上からタイルを張るので、ネジ頭が見えても問題なし。
■断面を見せる張り方は避けておいたほうが無難
さて、この天板にどんなふうにタイルを張るか、考えましょう。
この天板の全体、端から端までタイルを張ることもできますが、正直、(僕も含めて)素人には難易度が高いと思います。というのも、端部の処理が難しいからです。
これは昨年、マンションのキッチンに造作してもらった作業台にモザイクタイルを張ったときの写真。
台の端ギリギリまで張ると、このようにタイルの側面が見えることになります。プロはこれをきれいに見せるだけの施工技術がありますが、僕のような素人がやると接着剤や目地材がはみ出た部分などが目立ち、少々みっともない仕上がりになってしまいます。
写真のケースでは後々キッチン本体が設置されて隠れるところなので問題ありませんでしたが、家具の天板の場合、いちばん目につく部分なので失敗したときのダメージは大きいです。
そもそも、家具の天板のようにサイズが決まっている場合、自分の選んだタイルが天板の四方にぴったりと収まることはまずありません。大抵の場合、タイルがはみ出る部分ができてしまいます。
となると、端に合わせてタイルをきれいにカットしなければならなくなります。のちほどご説明しますが、僕もグラインダーでタイルをカットすることはできますが、断面が見える施工に耐えうるクオリティのカット加工はとてもできません。
これも以前カットした例。素人にしては悪くない出来かもしれませんが、わざわざ見せるほどかというと微妙。これがもっと小粒のモザイクタイルとなると、断面はさらにガタガタになりがちで、手が直接触れる天板の端には使えません。
そんなわけで、断面を見せる張り方は避けておいたほうが無難です。
■天板に枠をつければタイル張りもラクになる
そこで、天板の上に枠を付け足してその中にタイルを張るという手法を取ることになります。以前、山小屋の食器棚の天板をDIYしたときも、このやり方をしました。
これなら、タイルが枠の中にちゃんと収まりさえすれば、残ったスキマは目地材で埋めてしまうことができるのです。
思えば、僕が初めてタイルDIYを試したのも自宅の収納棚の天板でしたが、このときも木枠を作ってからタイルを張りました。安いカラーボックスなので失敗したら処分してもいいやと臨んだのですが、存外きれいにできました。施工してから6年くらい経ちますが、とくに汚れも目立ちません。やっぱりタイルはいいですね。
枠のDIYは木工としては難しくないので初心者でもできるはず。
角材を買ってきて、カットして木枠を作ってみます。ポイントは枠の厚みをタイルの厚みとそろえること。
今回のタイルは8ミリ厚なので、同じサイズの角材を探してきました。
カットしてボンドで接着します。
反ってきたりしないように養生テープで仮留めしておきました。
ちなみに、木の枠を作る場合、左図のように一辺一辺を45°にカットして組み合わせるのが正式なやり方なのでしょうが、これは素人にはやや難度の高い作業です。今回は枠部分をあとでパテ塗りして塗装するので、右図のようなやり方で枠を作りました。
乾いたら木工用のパテでスキマを埋めます。
先ほどの枠が組み合わさる部分も埋めておきましょう。
乾くのを待ってやすりがけ。手間ですが、仕方ない。
ひとまず枠ができました。
■枠に収まるタイルを選ぶのがベストだが……
続いて、タイルを仮置きして収まりを見てみたいと思います。
先ほどチラ見せしましたが、タイルは平田タイルの「フレッチャ(freccia)」を選びました。
ツヤのあるベージュとダークブラウンの陶製タイルと、石のタイルの組み合わせが印象的なタイル。前々からいつかは使ってみたいと思っていたのですが、平米単価も高額で広い面積には使うことができずにいました。今回の天板は4シートもあれば十分なサイズなので採用できました。
なお、色ちがいのホワイトバージョンもあり、こちらもいい感じ。
価格は1シート「1,654円(税込み)」で、4シートで「6,616円(税込み)」でした。自分史上、いちばん高いタイルかも。なお、トイレのタイル(「ルンタ」)と合わせて注文したので送料は含まれていません。
仮置きしてみましょう。
端から1シートずつ置いていきます。反対側もすっぽり収まれば素敵なのですが…
続いて隣り合うシートを置いていくと、見事にはみ出てしまいました。
う~ん、いちばんイヤな余り方。
ぜんぶならべて調整した結果、左右のバランスを考慮して、両サイドに少しずつはみ出るところ(赤で囲った部分)をカットするのがいいという結論になりました。
で、タイルグラインダーによるカット作業。以前も書いたとおり、それなりに危険な作業ですから、入念に準備したうえでおこなってください。
というか、初心者であればタイルカットがいらない形のタイルを選ぶのをすすめます。
これはトレイにボーダータイルを張った例ですが、細いタイルや小粒なタイルだと、枠に収まらない部分が少なくて済むので、カットが必要でもタイル用のペンチ(喰い切り)で済むのでハードルがぐっと下がります。
喰い切りでのカットについてはこちらをどうぞ。
さて、今回カットしたタイルはというとこんな感じ。
よく見るとガタガタしてますが、まあ、僕の技術ではこんなものです。
このタイルを仮置きすると…
今度はきれいに収まりました(なお、枠は事前に塗装してあります。詳しくは次回)。
問題ないことが確認できたので、いったんタイルを取り除きます。
■いつもどおり接着&目地入れしたら完成
枠を養生したら、いよいよタイルの施工です。
天板に接着剤を塗り、
タイルを接着します。このへんのやり方については何度も書いてきたので、気になる方は過去の記事をどうぞ。
接着が完了したら、一晩待って、翌日目地入れをおこないます。
今回はダークグレーとブラウンの目地を半々で混ぜて、タイルに合わせた渋めの色合いを狙います。
水を入れて練る前に、ムラがなくなるまでしっかりと目地を混ぜておきましょう。
目地入れ作業についても過去の記事をどうぞ。
ゴムベラで全体に目地材を行き渡るようにして、
余分な目地材を取り除いていきます。
スポンジ→布巾の順で表面に残った目地をふき取ります。
徐々にタイルの表面がきれいになっていくのが快感。
目地入れ完了。天板にタイルを張っただけで重厚な雰囲気が出てきました。
乾く前に養生をはがすのを忘れずに。
ダークブラウンの目地で期待通りの渋い仕上がりになりました。
ちなみに、目地の色が変わると印象もかなり変わります。
これはとある店舗で撮影した外壁。ベージュの目地を入れていますが、これもまた素敵です。タイル選びは目地色の選択も悩ましいですね。
そんなこんなで天板のタイルDIYが完了。
形は気に入っているけど質感がイマイチ……そんな家具をお持ちの方はトライしてみてください。それなりに手間はかかるのですが、想像以上に「化ける」かもしれませんし、愛着も湧くと思います。
次回は洗面台リメイクの最終回。仕上げ作業をおこないます。