(414)露出配管は白く塗りつぶすと粗が目立たなくなる
先日、2回にわたって熱海のマンションの電気工事で設置した金属製の露出配管について書きました。
今回は、同じように露出配管を採用しながら、異なる仕上げ方をした世田谷のマンションの施工例をご紹介したいと思います。
こちらの部屋を工事したのは今から4年ほど前のこと。このときは壁などの構造には基本的に手をつけず、間取りはそのままで雰囲気を一新してみました。
その際、露出配管を設置したのはこちらの壁。
工事前は奥行の浅い棚が造り付けられ、「ザ・昭和」といった感じの木目調の化粧板が張られていました。この壁の向こうにはトイレがあって、うちのオーソドックスなリフォームプランだと、
こんなふうにブロック壁を壊してトイレのドアを正面に移設するのが通例となっています。
しかし、今回の部屋ではブロックを積み重ねた壁をあらわしにしてみようと考えました。
ところが、解体してみると配管やスキマを埋めたモルタルの跡が生々しく残っていました。
さすがにこれをそのままにするのには不安を感じたので、現場で監督さんに相談したところ「いっそぜんぶ白で塗りつぶしてみたらどうですか」と提案されました。
たしかに、モルタルで埋めた跡もブロックと一緒に塗れば目立たなくなるし、塗装ありきであれば配管に用いる部材の素材感にはこだわらないで済むのでコストダウンにもなります。完成したときのイメージはまったく想像できませんでしたが、トライしてみることにしました。
現場で打ち合わせながら「ここにあったら便利だな」と思うものを挙げ、レイアウトを考えていきます。電話線=インターネット回線、テレビインターホンの親機、コンセントなど必須のものに加え、照明なども追加で設置してみることに。
このプランを元に電気屋さんが来て配管作業をおこなってくれました。
傷だらけのブロックの上に、金属製の配管やプラスチック製のボックスなどが混在していて、お世辞にもきれいとは言えない雰囲気。大丈夫だろうか……。
しかし。
後日、塗装屋さんの作業が終わったら雰囲気は一変していました。
おお!なんかきれいになってる!
「色の白いは七難隠す」と言いますが、全体が白くなるとこんなに印象が変わるものかと驚きました。
気になっていたモルタルの補修後も塗装されたことでちょうどいい塩梅のアクセントに変身しました。
電気屋さんがスイッチプレートなどを設置したら電気関連の工事は完了。
照明が灯るとブロックの継ぎ目やモルタルの跡がうっすら浮かび上がって、ラフな(でも、ラフすぎない)雰囲気が漂います。いいじゃん!
正方形のボックスにスイッチプレートがついたのでちょっと不格好なのは気になります。以前も書きましたが、このあたりは電気屋さんの露出配管の経験値次第なので、慣れた人ならサイズぴったりのボックスを付けてくれるかもしれません。ブランクプレートを入れて左横にコンセントボックスを増設するのもありかな。
後日、大工さんが棚やフックなどを追加してくれました。
棚は折りたたみ式で、ルーターや充電器などを置いたり飾り棚としても使えます。
最後に、完成後の様子をプロが撮影した写真でごらんください。
やはりこういう壁にはアメリカンスイッチが合いますが、以前、アメリカンコンセントで痛い目を見たのでコンセントはパナソニック製を選びました。アメリカンスイッチとならぶと、同じホワイトでも色味やツヤに差があるのは気になるといえば気になります。
先日ご紹介した躯体あらわしの壁と金属配管を組み合わせた事例とくらべると、すっきりきれいめにまとまった感じで、冒頭に紹介したようなブロックの質感のインパクトは薄れたともいえます。
この種の工事で「どこまでラフな仕上がりを許容できるか」は見る人の美的なセンス次第なので、賃貸の場合はどこに落としどころを置くかいつも悩みます。次の機会があればもう少し攻めてもいいかも、と思ったりしています。