(446)コンクリートエフェクトペイントでテーブル天板を塗る
前回、テーブルの高さとサイズを検討し、余ったイケアの天板と市販の鉄脚を組み合わせてテーブルをDIYしようと決めました。
その際、目に留まったのがこちらの作例(画像にはYahoo!ショッピングのリンクが張ってあります)。
モルタルっぽい天板に黒の脚の組み合わせ、うちのリビングにも合いそうです。
僕の手元にあるのはいわゆるカラーボックス的なシートが貼ってあるイケアの天板なので、これをモルタル風にアレンジしてやりたいと思います。
「モルタル風にアレンジ」といえば、これまでも何度もご紹介してきた「コンクリートエフェクトペイント」(タカラ塗料)の出番です。
ライトグレーをベースに色味の異なるグレーを何度も塗り重ねることで、まるでコンクリートのような質感を生み出すことのできる一風変わった塗料です。
僕は以前、壁などを塗るときに余った大容量(4kg+200g+200g)の残りを使いましたが、もっと少量のタイプもありますので必要に応じてどうぞ。
■まずは下地の準備から:やすりがけとミッチャクロン
天板は擦れや汚れがつきやすいので、きちんと下地を作ってから塗装してやらないとすぐに塗膜がはげてしまいます。くれぐれも、いきなりペンキで塗装したりしないようにしましょうね。
とくに、このツルツルのシート(カラーボックス的なやつ)にはそう簡単に塗料がのりません。
まずはやすりがけから始めようと思います。
粗目の80番でゴシゴシと表面を削ります。
ツルツルだったシートの表面に徐々に細かい傷がついてきます。この傷が全体に広がってツヤがなくなるまでやすりがけします……というのが理想ですが、削った粉は飛ぶし地味で面倒な作業だし、くじけそうな作業ですから、僕自身も完璧にできたわけではありません。
しかし、以前、タイルを塗装するときにハンズの店員さんに言われましたが、塗装の仕上がりは下準備が命。長持ちする天板を作るためにも、なるべく手を抜かずがんばりたいところです。
光沢がなくなってきたら、今度は150番でもう一度ざっくりやすりがけして表面を整えてみました。
削りカスをふき取ったら、やすりがけは終了。
続いてはミッチャクロンによる下地塗装です。
名前のとおり、塗装の前に塗ると塗料がしっかりと密着してくれます。スプレータイプもありますが、今回は液体のミッチャクロンを使いました。
以前、ドアを塗ったときに薄めに塗りすぎていまひとつ塗料ののりが悪くて苦戦したので、今回はややたっぷりめに二度塗りしてやりました。
これにて下地処理が完了。
表面をよく見ると、さまざまな角度からやすりがけした跡が見えます。
■まずはベースカラーのセメントグレーを二度塗りする
ようやくペンキによる塗装に突入です。しっかりとした下地準備を施しているのでどんな水性塗料でもしっかりと塗れるはず。
コンクリートエフェクトペイントの場合、まずはベースカラーとなるライトグレー(セメントグレー)を塗るところから始めます。
下地処理をしっかりしたかいあって、一度目でも色のりがいいです。
壁などとちがい、テーブル天板は面積が狭いのであっという間。ライトグレーなので写真だと塗装した感じがしませんが、全体を塗り終えています。
さすがに一度塗りだけでは、ところどころ下地が透けます。やはりマニュアルどおり二度塗りは必須です。
二度目の塗装で完璧に色がのりました。
塗った直後はムラが目立つように感じますが、
乾けばこのとおり。ムラは消えます。まあ、このあとアクセント塗装を施すのでムラがあろうがなかろうが大した問題ではないのですが。
■アクセント塗装を繰り返してコンクリートの質感を出す
ここからがコンクリートエフェクトペイントの本領発揮。
ベースカラーも含めた3種類のグレーを水で薄めて重ね塗りしていくことで、コンクリートのような質感を出していきます。
まずは「セメントダークグレー」から。
水で5倍に薄めてくしゃくしゃにしたビニール袋でポンポンと塗りつけます。
水分が多すぎるとこんな感じにダマになってしまうので要注意。これがそのまま模様として残ると「モルタル感」が出ません。取説ではアクセント塗装前に霧吹きをするように書いていますが、個人的な実感では水で薄めて塗るだけでも十分だと感じるようになり、最近は霧吹きなしで塗装しています。
ビニール袋でダマを散らすようにポンポンと塗料を広げます。水分が多すぎるようなら、ときどきビニールについた塗料をペーパーなどでふき取りながら作業するといいと思います。
「セメントダークグレー」を塗り終えました。
このムラのような模様が重なっていくとモルタルのような独自の味を出してくれるのです。
二番手は「セメントサンド」。やや黄色味がかったグレーです。
同じように薄めて塗りつけていきます。
重ね塗りした部分(奥)と、そうでない部分(手前)をくらべると、模様のニュアンスが複雑になってきたのがわかります。
とはいえ、近寄って見るとまだまだ「塗った感」がありますね。
通常だと、ここで最初に天板全体を塗ったベースカラーの「セメントグレー」を薄めて塗り重ねるのですが、ちょうど手元に以前(洗面の床を塗ったとき)に調色したダークグレーがあったので、こちらも塗ります。
色味の異なるグレーが重なって、色に深みが出てくると作業も楽しくなってきます。
ふつうの塗装とちがって、均一には塗らず、ところどころムラが出るように塗るほうが表情豊かに仕上がります。
さらに最初に天板全体を塗った「セメントグレー」を薄めて塗装。
ここまでくるとコンクリートのような雰囲気がしっかり感じられます。
寄りで見ても、複雑な質感が見て取れます。
好み次第では、ここで完成とするのもありでしょう。
僕は作業が楽しくなってしまい、このあともう一周しました。
合計で8回アクセント塗装したことになります。塗り重ねることで表情は少しずつ変化していきます。
完成。4回塗りとくらべてみましょう。
表面の模様が滑らかになって落ち着いた質感になりました。個人的には8回塗りで深みが増したと感じていますが、人によっては4回塗りのラフな雰囲気のほうが好みかもしれません。塗り重ね方に作り手の個性や好みが出る塗料だと思います。
■水性ウレタンニスで表面を保護したら完成
まだ終わりではありません。
最後は「つや消し水性ウレタンニス」(ワシン)で仕上げです。
つや消しとはいえ、若干の光沢は出てしまうのですが、テーブル天板は傷や汚れ、染みなどがつきやすい場所なので、ニスによる塗膜の保護は必須だと思います。
塗ったときは白っぽくて驚くかと思いますが、乾くとちゃんと透明になります。
強度を高めるために二度塗りしました。ハケによるムラが目立ちにくくなるように、一度目はタテ方向、二度目はヨコ方向に塗ってみました。
ようやくすべての塗装が完了しました。
表面の質感はこんな感じ。以前ご紹介した応用編では、わざと汚れをつけてみたりもしましたが、今回は天板ということでおとなしめの仕上がりをめざしてみました。
よく見るとニスを塗った際のハケの跡が気になります。手間を惜しまずローラーで塗るほうがよかったかもしれませんね。
次回は、この天板を鉄の脚と組み合わせてテーブルを完成させます。