(473)停電による冷蔵庫の故障から買換え、カウンター越えまで
今年の夏は本当に暑かったですが、よりにもよって暑さのピークを迎えた8月に実家の冷蔵庫が故障してひと騒動でした。
今回は、停電に伴う冷蔵庫の故障から買換え、キッチンカウンターを乗り越えての搬出作業まで、その顛末をまとめてみたいと思います。
■世田谷では珍しい停電で冷蔵庫が故障!
8月のお盆明けのこと。その日は午前から雷のゴロゴロという音が聞こえていましたが、大気の不安定な夏の日にはよくあることですし、うちの近所では大した雨もなかったので気にもとめていませんでした。
ところが、昼過ぎに突然、クーラーと扇風機が同時に止まりました。よく見ると手元のパソコンにも給電されていません。最初は自分の部屋のブレーカーが落ちたのかと思いましたが、配電盤を確認しても異常なし。マンション全体のブレーカーかもと思い、確認に行こうとドアを開けようとしたら、ブンッという音とともに電気が戻りました。
そこでようやく停電だったと気づいたのでした。たった1分ほどの短い停電でしたが、世田谷では初めてといってもいいほど珍しい出来事でした。
しかし、本当のサプライズは復旧後に待っていました。実家の父親から電話があり「冷蔵庫を開けても電気が点かないんだけど」というのです。
あわてて駆けつけてみるとたしかにドアを開けても庫内の照明が点きません。ドアを閉めて耳を当ててみると、ふつうならするはずの「ブーン」という冷蔵庫ならではの駆動音がまったくしません。電気は復旧したのに冷蔵庫は動いていないのです。
認めたくはありませんが、どうやら停電の影響で故障してしまったようでした。あとあと近所の人に話を聞くと、今回の停電でテレビに接続していたハードディスクが故障したなんて話も聞きましたから、家電にとって突然の停電はそれなりのリスクなのでしょう。
■家電量販店の値札なんてあってないようなもん
最初から修理を依頼するつもりはありませんでした。
思えば、この冷蔵庫は死んだ母親がだいぶ前に買ったもので、それなりの年季もの。あわてて電気屋さんを呼んで修理原因を探ったところで、直るとしても2、3日では済まないでしょう。
一刻も早く新しい冷蔵庫を買うしかない――とりあえず近所の家電量販店に向かうことにしました。「amazon」や「ヨドバシ」のようなウェブ通販を使わなかったのには理由があったのですが、のちほどご説明します。
冷蔵庫コーナーで店員をつかまえて事情を話し、取り急ぎ最短の納期を確認します。その日は火曜日でしたが、配送は早くても金曜日とのこと。「意外にかかるな…」と思いながらも、聞けば金曜日もあと1枠しか残っていないそうで、ひとまず配送枠をおさえてもらって品選びをすることに。
事情が事情でしたから、冷蔵庫選びにこだわる気持ちはほとんどありませんでした。これまでと同程度かやや小さいくらいのサイズであれば、それでいいくらいの気持ち。
案内してくれたのはパナソニック(Panasonic)の販売員さんで、すすめられたパナの冷蔵庫はちょっとお高めの「213,004円(税込み)」。
メーカーさんが自社製品をすすめたい気持ちはわかるのだけれど「申し訳ないんだけど、こっちの安いやつ(約15万円)で十分なんですよね」と別のメーカーの製品を指さすと、「じゃあ、うちもがんばります」とか言ってくれて、ほとんど同じ額にまで下がりました。
「え?6万円も値下げしてくれるの!?」とびっくりでした。価格交渉するつもりなんてさらさらなかったし、本当に安いもので十分だと思ったからです。ただ、6万円も下がるなら、スペックも高くて安心感のあるパナソニック製を選ばない手はありません。というわけで、結果的にリーズナブルに冷蔵庫を手に入れることができてしまいました。
うれしいっちゃうれしいけど、いつもは「これ、お願いします」って値札どおりに買い物してた人間としては複雑な気持ちもありました。家電量販店においては値札なんてあってないもんなんだなと初めて知りました。いい人生勉強です。
■設計ミスで「カウンター越え」が必要なキッチン
さて、最近はネットで家電を購入することの多い僕が、なぜ買い慣れていない家電量販店を選んだのかをご説明しましょう。それは我が家のキッチンは冷蔵庫の搬入には「カウンター越え」の障害があるからなのです。
キッチンと冷蔵庫まわりの写真をごらんください。
左奥に見えているのが冷蔵庫です。
パッと見、冷蔵庫はカウンターの横を通れそうです。平面図で見てみると…
冷蔵庫の幅は68cm、柱とカウンターの間の幅は70cmですから問題なく通れるのかなと思いきや、
そこを通そうとすると壁にぶち当たります。
測ってみるとこの幅は67cmしかないので68センチの冷蔵庫はまっすぐは通り抜けられないのです。実家のリフォームにあたって施工業者さんには事前に冷蔵庫の幅を伝えてあったのですが設計ミスでギリギリでダメでした。
当時、実家が今の部屋に引っ越す際には引っ越し屋さんの屈強な男たちが3人がかりで冷蔵庫を運び上げ、カウンターを越えて搬入したのでした。
その場面が強烈に印象に残っていた僕は新しい冷蔵庫を購入するにあたって、必ずこの問題について事前に確認しておくべきだと考えました。
ネット通販でもオプションはあるのかもしれませんが、気になることをいろいろ聞いたり、自分の言葉で大事なポイントを確認したりするのは、実店舗のほうがやりやすいと思い、今回は家電量販店を選んだ次第です。
■「カウンター越え」は別途見積もりが必要で納期も1日のびる
店員さんに事情を話したところ、うちのような事情を抱えるお客さんは一定数いるらしく、搬入(もしくは搬出)のサービスに「カウンター越え」というオプションが用意されているとのこと。
話がスムースに通じたのはよかったのですが、「カウンター越え」は難易度によって価格にバリエーションがあり、事前に現場を確認して見積もりを取る必要があって納期も1日のびてしまうという悪い知らせもありました。
となると、納品は最短でも土曜日となり、丸4日間、冷蔵庫なしで暮らさねばならなくなります。金曜日でも厳しいのでさらにのびるなんて……と思い、いちばん難易度の高い「カウンター越え」の価格を払うので現場での見積もりなしで一発納品できないか聞いてみたものの、断られてしまいました。仕方なく金曜日に現場確認&見積もり、土曜日に納品ということで購入とあいなりました。
故障して半日ほど経つと冷蔵庫の中もかなり生ぬるい温度に。不幸中の幸いだったのは、僕の自宅や妻の事務所が同じマンション内にあったこと。
どちらにも小さいながら冷蔵庫があるので、不要なものは処分して必要なものは分けてなんとか収納できました。
真夏に冷たいものがまったく飲めないのはツラいので、去年、熱海でDIYをやる際に購入したクーラーボックスに大きい保冷剤を入れ、冷やした飲み物を置いておくことにしました。保冷剤を半日ごとに交換すれば、最低限必要なものは冷たく保てます。以前、日刊Sumaiの連載で紹介したポータブルクーラーを作るために購入した保冷剤が意外な形で役に立ちました。
■「カウンター越え」にかかった追加料金は「6,600円」
こんな感じでどうにか水曜、木曜とやり過ごし、現場確認の金曜日がやってきました。いらっしゃった業者さんは手慣れた様子で現場を確認&測量し「ああ、やっぱり通らないっすね」とひとこと。
見積もりは「カウンター越え3,300円」に、作業員を追加する費用「2名増員3,300円」が追加されることになりました。「6,600円」の追加出費ですが、しかたありません。
業者さんによると「玄関も厳しいかもしれないっすね」とのこと。
我が家の玄関は入ってすぐL字型に曲がっているので、ここをうまく抜けられるかもポイントとなるようでした。搬出可能であることは確認できたものの、けっこうギリギリの見込みらしく、搬入や搬出にあたって「壁や柱などに傷が付く可能性があることは了承ください」と言われました。これについても了解し、翌朝いちばんで作業していただけることになりました。
そして、ようやく土曜日の朝。総勢4名の作業員がやってきて故障した冷蔵庫を搬出します。
これが「カウンター越え」の様子。全員で冷蔵庫をえいやっと持ち上げ、カウンターを乗り越えました。あらためて見てもすごい光景です。
昨日聞かされたとおり、玄関も相当シビアな搬出でした。そのままの高さだとドアをくぐれないため、やや反対に傾けながらギリギリドアを抜けていきました。すごい技だ。
ちなみに、新しい冷蔵庫はちゃんとカウンターの脇を通ることのできるサイズを選んだのでスムースに搬入と設置ができたのはよかったです。
かくしてなんとか冷蔵庫の交換が完了。新しい冷蔵庫の電源を入れ、3時間ほど待って庫内が十分に冷えてから中身を戻しました。食べ物を冷やしておけるのがいかに生活において大事なことか……真夏ということもあり、冷蔵庫のありがたさが身に染みました。