(493)空室期間中に使ったお金と8年間の家賃収入などのまとめ

お金のこと

空室に伴う室内のアップデートやあれこれをいろいろと書いてきましたが、今回は最終回。空室期間中に使ったお金をまとめます。

加えてこの部屋の8年間の収支も計算し、高額リノベーションの是非についても考えてみたいと思います。


■業者さんにお願いした工事:18万円

8年ぶりの空室となったこともあり、いくつか設備の更新や器具の設置など、いつもお世話になっている業者さんに工事をお願いしました。

新しく設置したエアコン

設置から10年を過ぎたエアコンの交換や、

鏡とフックを設置したリビング

支給した鏡やフックなどの設置をおこなってもらったことは先日書いたとおりです。

さらに、

新しい浴槽のフタ

汚れが目立つ浴槽のフタを新しいものと交換してもらったり、

壊れかかったドアの金具

危うく壊れかかったドアの金具を修理してもらったりしました。

これらの工事をぜんぶひっくるめて「180,000円(税込)」かかりました。なお、ルームクリーニングの費用「38,500円」については、退去時に同額を敷金からお支払いいただいているので今回の費用には含んでいません。


■施主支給品やタイルDIYなどに費やしたお金:38,794円

さらに、支給品をはじめとする室内のアップデートにかけた費用もあります。

無印のシーリングライト

無印で購入した照明器具、鏡、フックなどに「19,264円」(良品週間のためややリーズナブルに入手)、

リニューアルしたユニットバス

ユニットバスのリニューアルに「8,804円」(一部手持ちの備品も活用)、

ニッチに張ったモザイクタイル

洗面のニッチにDIYでモザイクタイルを張って「9,159円」(多めに購入した副資材も含む)、

取っ手の交換

そのほか、ドアの取っ手などの小物に「1,567円」かかりました。

これらを合計すると「38,794円」でした。


■空室期間中の出費は合計22万円(+空室損失12万円)

業者さんにお願いしたぶんとDIYで手配したぶんとを合わせると空室時の出費は「約22万円」となります。

このほかに賃貸の世界には「空室損失」とか「損失家賃」とかいう考え方もあります。「空室期間中に入るはずだった家賃」を指す言葉で、「基本、家賃が入って当然」という考え方が透けて見えるので個人的にあまり好きな表現ではありませんが、賃貸大家としてはこの「空室損失」が少なければ少ないほどありがたいのはまちがいありません。

今回は、退去前に次の入居者さんからの申し込みをいただいたという幸運なめぐりあわせがあったので空室期間はぴったり一か月で済みました

リノベーション後の室内

こちらの部屋は「12万円」のお家賃をいただいていたので、これがそのまま空室損失となりました。もし、この額も含めるとすると今回の空室に伴う出費は「約34万円」ということになりますね。


■8年間で「約767万円」の利益が出たが……

せっかくの機会なのでリノベーション工事をおこなってから今回の空室までの約8年間の収入と支出もまとめてみました

お住まいいただいた期間は7年と11か月。その間3回の更新がありました。ということは、12万円×95か月で1,140万円。ここに更新料89,250円×3回で267,750円が加わり「11,667,750円」ものお家賃をいただきました。

一方、出費のほうはどうでしょうか。先日書いたとおり、この部屋にはこれまででもっとも高額なリノベーションを施しました。

8年前に使った工事費はおよそ「400万円」。30平米の賃貸マンションとしてはかなりの大枚をはたきましたが、幸運なことにその後の8年間はノートラブル&ノーメンテナンスで手もかからず、一銭の出費もありませんでした。

ということで、8年間の出費はリノベーション工事費用の「400万円」のみとなり、8年分の家賃合計「11,667,750円」からリノベーション費用を差し引くと、「7,667,750円」の利益が出た計算になります。


■高額リノベーションの是非を考える

さて、これだけ利益が出ると「これもリノベーションをしたおかげだ」と胸を張りたくもなりますが、一方で「そんなお金を使わないで、そのまま貸したほうがよかったのでは?」という声も聞かれそうです。

リノベーション前の室内

そこで、8年前にリノベーションしない状態のまま9万円で部屋を貸し出したと仮定して比較してみることにしました。もし同じ期間だけ部屋を貸したとすると更新料も含めて「約875万円」の家賃収入が入った計算になります。

先ほど算出したリノベーションした場合の利益は「約767万円」ですから「108万円」ほど儲けが大きくなった可能性があります。

しかし、この種の安易なシミュレーションどおりにいかないのが賃貸経営の難しいところでもあります。

こちらの記事でも書きましたが、リノベーション前はとにかく住みづらい「失敗リフォーム」とも呼べる部屋でした。

リノベーション前の洗面

この部屋のままで募集をおこなったとして9万円で8年間も借り手がつくでしょうか?先代の大家が「リフォームしたのになかなか人が入らない」と嘆いたいたのを思い出すと、さらに家賃を下げなければ次の借り手は見つからなかったかもしれません。たとえ見つかったとしても一度も更新せずにすぐに退去してしまうことだってありえそうです。短期の入居と退去がくりかえされれば、さらなる家賃の低下を招いた可能性もあったでしょう。募集に関する手間や空室損失もバカになりません。

8年前の自分がそこまで考えをめぐらせたうえでリノベーションを決めたとは言いませんが、しっかりとテコ入れして物件の価値を上げることが大事だと思ったのは事実です。


■投資したお金を測る物差しを持とう

リノベーションであれリフォームであれ、投じた金額が妥当であったかを自分なりに測る物差しを持っておいたほうがいいと思います。

以前も書いたとおり、僕の場合は工事前の家賃と工事後の家賃の差額=アップした家賃の額だけで工事費用が無事に回収できたならば、その投資はまちがいではなかったと言えるのだと思っています。

ビフォーアフターの比較

今回の部屋でいえば、リノベーション前の家賃「9万円」とリノベーション後の家賃「12万円」の差額=3万円だけで約400万円のリノベーション費用を取り返すにはどれだけの時間がかかるかを考えます。

400万円を3万円で割ると133か月、だいたい11年となります。すでに8年が経過しましたから、次の入居者さんに少なくとも3年ほどお住まいいただければ帳尻がつく計算。もしそれ以上お住まいいただければ、リノベーション分の上乗せ家賃が利益に反映されてくることになり、工事しなかった場合よりも多い収益が出ることが確定します。「リノベーションしたかいがあった」と胸を張れるのはそのときでしょう。

入居前の室内

幸い、今回はわずか一か月の空室で次の借り手が見つかったので、これから3年先の未来もおぼろげに見えてきた感があります。今後も家賃に見合った物件を維持できるようにしっかりと経営していきたいと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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