(522) 実寸大寸法図で割り付けして垂直な壁面にタイルを張る
引き続き、先日ご紹介したマンションの一室のお話。
洗面には壁一面にボーダータイルを張りました。
タイルDIYにハマって以来、マンションの部屋をリフォームするたびに洗面にはタイルを張ってきたのですが、
独特の形状が特徴の平田タイルの「サボン」や、
根強い人気の名古屋モザイクの「コラベル」、
昭和のマンションでおなじみの「小口平タイル」など、思いつくだけでもさまざまなタイルを採用してきました。中でも初めて壁一面へのDIYにトライしたのが冒頭に紹介したボーダータイルでした。
今回は素人にはなかなか難しい垂直面のタイルを実寸大の寸法図で割り付けるという荒業を中心にDIYの模様をリポートします。
まずはタイルを張る前の壁からどうぞ。
真ん中に窓のように空いているのはミラーキャビネットが収まる部分。ここを避けるようにタイルを張らねばなりません。また、水道管の配管の関係で足下が階段のように一段上がっているところはタイルカットが必須になります。
垂直な壁面へのタイル張りの難しさは事前に収まりを確認しづらいところ。
平面にタイルを張るなら、施工する場所に実際にタイルを仮置きして収まりを確認しながらシートをカットしたり、タイルを割ったりできますが、垂直な壁面ではそうはいきません。
そこで、「割り付け」と呼ばれるタイルレイアウトの設計書を作って事前に収まりを確認しなければならないのですが、素人が机上でこれをやろうとするとどうしてもミスしがち。
そこで、考えたのが段ボールで施工面を写した実物大の寸法図を作ってしまうというやり方。
先ほどごらんいただいた壁とまったく同じサイズの寸法図を作りました。この上にタイルをならべていけば、実物のタイルで収まりをしっかりと確認できるというわけ。
選んだのは「タイルオンライン」で販売している「ミニボーダータイル」のマットブラックです。一粒のサイズは「47ミリ×9.5ミリ」とかなり小さめで、収まりもよくておすすめです。
前回ご紹介した六角タイルと同じく、こちらもさまざまなショップで取り扱いのあるポピュラーなタイルで、山小屋の離れの洗面に張ったのはこのボーダータイルを異なる形で組んだタイプでした。
色と配置が変わるだけで印象がガラリと変わります。
では、タイルを仮置きしていきましょう。
今回のタイルは表面に紙を貼ってつなげてある「表紙貼り」しか選べませんでした。個人的には裏側をネットでつないだ「裏ネット貼り」のほうが好みなんですが、しかたありません。
ミラーキャビネットの部分はタイルを張らないので、位置を確認しながらシートのどこを切り離すか目星をつけ、
切り離したシートをならべていきます。
大雑把な仮置きが完了しました。
残念ながらいちばん下の部分が少々はみ出てしまうことがわかりました。
そこで、いちばん下の一列はタイルをカットすることになりました。
タイルシートをバラバラにしたら、
タイルニッパー(通称「喰い切り」)の出番。
モザイクタイルDIYに欠かせない道具です。
破片が飛び散らないようにビニールにかぶせて使います。えいやっと力を込めてバキッと割ります。かなり力がいる作業で、数をこなすと手が痛くなります。
このタイルはそこそこ厚みがあるのですが、ボーダーという形状は比較的割りやすく、そこそこきれいにカットできました。
カットしたタイルをずらりとならべて垂直部分の仮置きはめでたく完了。どうしてこんなに短くカットしたかというと、
このスキマに足下の平面に張るタイルが入り込むことになるから。
平面部分の割り付けをおこなった結果、壁際ギリギリまで敷き込むとカットなしで済むとわかったので、この構成に決めたのでした。
こんなふうに平面部分と垂直部分の取り合いを考えながら構成していくのがタイルDIYの難しさであり面白さでもあると思います。
やっかいなのが配管まわりで、この形に合わせてタイルをカットしなければなりません。
シートに配管の形を写し取り、
先ほどと同じようにタイルニッパーでコツコツとタイルを割って、
配管回りに収めていきます。
これで足下部分の仮置きも完了しました。
あとはこのタイルを計画どおりに張り付けていくだけ。
専用のボンドを塗って、クシ目を付けて、接着します。タイルの詳しい接着方法については過去の記事をどうぞ。
入念に準備したおかげで、ほぼ予定通りに接着できました。
唯一計算外だったのが、段になった部分の下側の収まり。
床との間に6、7ミリほどスキマが残ってしまったので、急遽、ボーダーを横にして埋めました。
このあと、水を含ませたスポンジで表面のシートを濡らしてはがし、目地入れの作業をおこなったのですが、思った以上に苦戦して写真を撮るヒマもありませんでした。
原因は気候。以前も書いたとおり、夏場は目地材がすぐに乾いてポロポロになってしまいます。
このときは夏真っ盛りで、目地を練ったそばから乾いてしまいました。しかも、壁の施工だったので、ボロボロと床に落ちてはそれを拾い……と大変な作業でした。目地入れは時間との戦いなのでいつも緊張します。なお、目地入れ作業について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
こちらが目地を入れ終えたあとの壁面。
苦戦したものの、それなりにきれいに仕上がったのでよかったです。
このあとキャビネットが取り付けられ、
洗面ボウルと水栓も設置されました。
毎度のことですが、完成した空間を見ると疲れが吹き飛びますね。この喜びがあるのでタイルDIYはやめられないのです。
足下の配管まわりもきれいにできました。計算外で横張りになってしまった部分も、アクセントっぽく見えて結果オーライ。
おかげさまで、この洗面はわりと評判がよく、おほめいただくことも多いです。
次回もタイルの話。うちのマンションの玄関土間に張ったタイルを一挙にご紹介します。