(542)高熱には要注意!アイアン塗装したキッチン天板の使用感
前回、熱海のマンションの古いキッチンをアイアン塗料で丸ごと塗装した話をいたしました。
今回は、塗装から2年が経った現在、使ってみて実感した弱点(=高熱に弱い)を中心に使用感をまとめます。
■撥水性は申し分ないし、油汚れもふき取れる
僕が愛用しているシュペンパンザーのアイアン塗料はもともとロートアイアンの補修などに用いられるものなので、塗装面は屋外の厳しい環境にも耐えられます。
水に濡れても弾くので色落ちしたりする心配はありませんし、
塗膜が厚くて耐久性があるので足で踏む階段に塗っても大丈夫。
初めてキッチンに塗ったのは山小屋の母屋での工事のこと。
業務用キッチンの奥、壁面タイルの下にある小さなカウンターの部分に「シルバーグレー」を塗りました。
ガスコンロのすぐうしろとあって油はねが心配でしたが、洗剤をつけた布巾でこすっても塗装がはげることはなく、4年経った今でも耐久性に文句はありません。
■塗装面はつるつるではないので若干ふきにくい
ただ、気になる点もあります。
アイアン塗料は粘り気のあるねっとりとした塗料なので、僕のような素人がハケで塗るとどうしても塗りムラで表面に凹凸ができてしまいます。
我が家では、キッチンを掃除するときにアルコールスプレーを吹きかけたあとにキッチンペーパーをたたんでふき掃除をするのですが、
ペーパーの表面が塗装面の凹凸に引っかかり、細かく削れて紙くずのようになってしまうのです。人工大理石やステンレスの天板の場合はこうならないので、アイアン塗料で塗装した天板ならではの欠点といえます。布巾でふけば問題ないですし、個人的にそこまで大きな問題ではないと感じていますが、それが理由でシンクだけは塗装しなかったのでした。
ゴシゴシと掃除したりすることのあるシンクはざらざらしていると掃除しにくそうだと思って既存の状態のまま残しました。
■アイアン塗料は高熱には弱い
いちばんの問題は「アイアン塗料の塗膜は高熱には弱い」ということです。
お湯の入ったマグカップくらいならば問題ありませんが、
調理直後の熱々のフライパンなどを置くのはアイアン塗料で塗った天板ではNG。
僕がこれに初めて気づいたのは、コーヒーを淹れたあと、熱したケトルをつい天板の上に置いてしまったときでした。
こんな感じに溶けたアイアン塗料がケトルの裏にくっついてしまったのです。
つい先日もマンションの入居者さんがオーブンから取り出した天板を置いてしまい、塗膜が溶けてしまったことがありました。
見回してみると、立てて置けるフライパンのフタを置いたときにできたと思しき小さく溶けた跡も。耐熱のガラスブタも調理中はかなり熱くなりますからね。塗膜が耐えられなかったようです。
ここがアイアン塗料をキッチンの天板に塗ったときのいちばんのデメリットだと思います。もし、僕のようにキッチンをまるごとアイアン塗料で塗装しようかなと考えている人は、できれば天板だけは元の素材のまま残せないか検討してみるといいかもしれません(僕の場合、ガスコンロ置き場だった場所に木材で天板を増設したのでまとめて塗装せざるをえませんでしたが)。
なお、同じキッチンでも、天板とはちがって熱いものを置かないシンクまわりや戸棚についてはアイアン塗料で塗ってもこれといったデメリットはないと言っていいと思います。
■たまにタッチアップする気持ちがあればOK?
とはいえ、今考えても、あのボロいブロックキッチンを残してリメイクするにはアイアン塗料しかなかったよなあと思うのでデメリット込みで塗ってよかったと思っています。
こういっちゃなんですが、塗料なんていつかははがれるものですから、はがれが気になったらまた塗ればいいのです。
先ほどのオーブン天板ではげた部分をタッチアップしてみましょう。
油性で臭いもきついアイアン塗料は扱いが面倒なので、タッチアップ用に小瓶に移したものを用意しておくと便利。
少量でも臭いものは臭い。
窓を開けて換気扇を回しての作業です。
筆は洗うのがとっても大変なので百均の5本セットを使い捨て。ちゃんとやりたい方は油性塗料用のハケを選びましょうね。
ちょちょっと塗って、
塗り進めて、
あっという間に終了。
部分的にしか塗っていないので以前のような平坦な状態には戻りません。傷の部分にやすりをかけてから全体を塗り直せばもっときれいになるでしょうが、ピカピカの新品キッチンでもないし、そこまでの手間はかけなくてもいいかなと考えています。
正規のキッチン素材とくらべると劣る点はあるものの、デメリットを理解したうえでならアイアン塗料でキッチンまわりを塗るのは十分にアリだと思います。