(604)業務用キッチンを自宅で10年使った感想をまとめる
何度も書いてきましたが、うちのマンションではたびたび業務用キッチンを導入してきました。
「業務用キッチンを一般家庭で使えるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ふつうに家庭用として使っても安全上の問題はありませんし、不自由もありません。
うちのマンションで初めて業務用キッチンを採用したのが2015年のこと。
導入からもうすぐ10年が経とうとしています。今回は、自宅で業務用キッチンを使い続けてみて感じた「メリット/デメリット」をまとめてみたいと思います。
■レイアウトの自由度が高い(メリット)/スキマに汚れがつく(デメリット)
キッチンのリフォームを考えると、自宅のスペースにぴったり収まるサイズが見つからない、なんてことがよくあるかと思います。うちのマンションの場合、キッチンの隅に構造上取り除くことのできない柱があるおかげで、レイアウトに制限があって困っていました。
そんなときに見つけたのが業務用キッチンでした。「シンク」「コンロ台」など、用途ごとに分かれているユニットを組み合わせることで、スペースにぴったりのキッチンを構成することができます。
我が家のキッチンのレイアウトをごらんください。
ふつうのL字型キッチンなら写真左奥の柱が邪魔で設置できないのですが、業務用キッチンを組み合わせたところ、きれいにL型に配置することができました(柱は一部ふかしていますが)。
しかし、作業台を組み合わせるため、
天板に継ぎ目ができてしまうのがデメリット。
この部分の汚れはふき掃除ではなかなか取り除くことができず、時間が経つとサビが発生したりします。気になる場合は設置時にコーキングを施すといいかもしれませんが、個人的にはそこまで気にならず、いつでも動かせるような状態が好みなこともあり、そのままで使っています。
なお、ノーマルなキッチンとは異なり、業務用キッチンは床や壁に固定されていないため、多少のガタつきが生じる場合もあることにもご注意ください。
■価格がリーズナブル(メリット)/近年の値上がりはエグい(デメリット)
僕が業務用キッチンを選んだ理由のひとつが価格です。
10年前、業者さん経由で購入した際の価格がこちら(税抜き)。
4台の合計金額が「149,200円」というのは、キッチンの中でも最安値の部類に入る価格だったと思います。
施主支給すれば、さらなるコストダウンも見込めます。
山小屋の母屋でも業務用キッチンを採用しましたが、その際は同じタイプのシンク(TX-1S-645)とコンロ台(TX-GT-645)をネット通販で直接購入して施主支給してみました。入手経路ごとの価格差をごらんください。
業者さんの手配する価格よりも3割近く安い価格で手に入れることができました。価格について詳しくは過去の記事をどうぞ。
さらにコストダウンをめざしたければ、組み合わせをよりシンプルにするという手もあります。
メーカーによってはシンクのわきに作業台が付属しているものもあり、シンクとコンロ台の2個だけで構成すればよりリーズナブルにL字型キッチンを作ることもできます。
うちでは主に「タニコー」のものを使ってきましたが、写真のキッチンは「マルゼン」というメーカーのもので、2つ組み合わせても「67,620円」という低価格(設置費やコンロ、水栓などは別)でした。
しかし。
近年の物価高騰は特に金属製品に色濃く、業務用キッチンも驚くほど値上がりしています。先ほど紹介したコンロ台とシンクを調べてみると、
2025年の1月時点で、シンク(TX-1S-645)は最安値で約4万円、コンロ台(TX-GT-645)は約2万7千円。およそ1.5倍にまで値上がりしてしまいました。
この値上がり幅は大手メーカーの普及用のキッチンと比較しても大きく、以前ほどの圧倒的なお手頃感はないのが現状で、この点はデメリットといえばデメリットでしょうか。
■シンプルな見た目とオープン収納(メリット)/棚内の掃除が面倒(デメリット)
業務用キッチンの無骨とも言える見た目も決め手のひとつでした。
必要最小限のパーツで構成されたシンプルな構造からは機能美といってもいい魅力を感じます。写真のような白ベースのプレーンなインテリアはもちろん、
躯体あらわしのグレイッシュなインテリアや、
木材をベースにした落ち着いたトーンのインテリア、
我が家のようなポップな雰囲気のインテリアにもマッチします。
業務用という名前からは想像できないほどの懐の広さが魅力なのです。
ステンレスの壁面収納棚などと組み合わせれば、デザイン的にも統一感が出ることまちがいなしです。
トビラのないシンプルなオープン収納はカスタマイズもきき、物も取り出しやすく、何をどこにしまったか一目でわかるところも気に入っています。
でも、ガランとした収納部分をどう活用するか、自分なりに工夫できないとスペースがムダになってしまう怖れもあります。このあたりについては次回に詳しくお話します。
それに、ちょっと油断すれば棚には埃や油汚れがたまってしまうのもデメリットでしょう。
気がついたらマメに掃除するようにしないといけません。
また、これは業務用キッチンにかぎった話ではありませんが、オープン収納は地震の際に物がダイレクトに落下してくる不安があるので、そのリスクは覚悟の上で導入しましょう。
業務用キッチンには小物をしまう場所が少ないのもデメリット。
引き出し付きの作業台を選んでも、奥行きが狭い(30センチ)ので奥に向かって調理器具などをしまうことができない点も要注意です。
■深いシンク(メリット)/幅は狭いので窮屈(デメリット)
最後にもう一点、シンクのメリット&デメリットについてもお話しておきます。
業務用キッチンのシンクはわりと深めで、我が家のものは22センチほどあります。これくらいあると水はねを気にせず鍋やフライパンをガシガシ洗えます。
一方、我が家の業務用キッチンのシンクは本体の幅が60センチで、シンク内の幅が54センチ。このサイズ、家庭用としてはやや小さめであることは否めません。もし家族の人数が多くて洗う食器が多いならば、幅75センチ以上の大きめのタイプを選ぶといいかもしれません。
以上がこれまで10年間にわたってさまざまな物件に業務用キッチンを採用し、自宅で使い続けてきた僕の率直な感想です。業務用ならではのメリット&デメリットはいろいろありますが、家庭用としても問題なく使えることはまちがいありませんし、相性が合えば家庭用よりもはるかに使いやすいと感じるはずです。
ご家庭に業務用キッチン、いかがですか。