(637)失敗だらけの玄関タイルDIYを振り返る

タイルDIYを始めて今年で8年目になります。今でこそだいぶコツがつかめて慣れてきましたが、最初の頃は手探りの作業でたくさん失敗しました。
今回はそんな失敗だらけのタイルDIYの実例をご紹介したいと思います。

8年前、世田谷の自室の玄関に張ったモザイクタイルです。この前に家具の天板にタイルを張ったことはありましたが、室内にタイルを張ったのは初めて。通算二度目のタイルDIYでした。

タイルはtoolboxで見つけた六角形のタイル。見た目こそ大きな失敗はないように見えますが、DIYのプロセスを振り返ってみると失敗ばかりなのです。以下、3つの失敗ポイントにフォーカスを当ててご説明しましょう。
■【失敗①】道具を養生しなかったので後片付けが大変だった

タイルを張る前の玄関です。

もともと床に張られていたのは「長尺シート」と呼ばれる弾力性のある床材でした。本当ならばこれをはがしたうえで、下地を露出させてそこにタイルを張るのが正しいやり方。ですが、防水性能の高い長尺シートをはがしてDIYでタイルを張るのは漏水のリスクが増すのではないかという不安もあり、シートの上からモザイクタイルを重ね張りすることにしました。

タイル専用の接着剤を使えば長尺シートの上からタイルを張ることは十分可能です。
このときに使ったのは「ネオピタ」という接着剤でしたが、ウレタン樹脂の接着剤ならば他のメーカーのものでもOKです。

これを直接、床材の上に絞り出しながらタイルシートを接着したのですが、ごらんのとおり、道具の養生をおこなわないで作業したため、後片付けに苦労しました。

タイル用のボンドは水で洗ってもまったく落ちないので、ペイント用のうすめ液などを使わないと汚れをふき取ることができません。当時はそれを知らなかったせいで、ベタベタの道具をきれいにするのに四苦八苦しました

ということで、これ以後はタイル用ボンドを扱う際には事前に道具を入念に養生するようになりました。

こうしておけば、作業のあと汚れた養生テープをはがして捨てるだけで済みます。
■【失敗②】ボンドを塗り過ぎてタイルのスキマからはみ出る
ボンドの塗り方にも失敗しました。

今見ると、あきらかにボンドを塗り過ぎています。ボンドが足りずにタイルがはがれてくるのが怖くてしっかり塗ったつもりでしたが、これがかえって失敗。

張り終えたタイルのスキマからボンドがはみ出てしまいました。

全体的に見ても、いたるところではみ出ています。

タイルの表面にシートが貼ってあるタイプ(表紙張り)のタイルだと、接着した直後の見た目ではボンドがはみ出ていることがほとんどわからないんですよね。

乾いてから上のシートをはがしてみて、はみ出たボンドに気づくというわけです。すでに固まってしまったボンドはちょっとやそっとでは取り除けません。

こんなふうにカッターで削り取ったり、

キリのような道具で少しずつほじくり出すしかありません。

なんとか目地が入れられる状態にまで持っていきましたが、屈みながらの長時間の作業はめちゃくちゃ大変でした。
壁のタイルはともかく、床のタイルはそうそう簡単にはがれないので、ボンドは下地がうっすら透けるくらいに薄く塗るように気をつけましょう。もしボンドが少し足りないくらいでも、目地入れをしたときにタイルの周囲がしっかり固められれば、そうそうタイルがはがれることはありませんからね。
■【失敗③】目地の色が思ったよりも薄く仕上がってしまった
このあと目地入れ作業をおこないました。

目地の色がクリーム色なのがおわかりでしょうか?

このときは黄色い目地を入れたいと思い、白い目地材にイエローの着色剤を混ぜました。

ムラがなくなるまでよく混ぜて、

水を加えて練りました。僕が望む色よりもちょっと薄いかななんて思いましたが、やり直すわけにもいかずそのまま作業しました。

家具の天板とくらべると広いスペースの目地入れで苦労はしましたが、大きな失敗はしないでなんとか作業を終えることができました。

入れ終えたときに眺めると「あ、ちょうどいいイエローに仕上がったなあ」なんて感じたものです。

あのときの僕はセメントは乾くと色が浅くなるなんて基本的なことも知らなかったのでした。

翌日、乾いた目地を見て、かなり色が薄まったのを見て驚いた記憶があります。先日も書きましたが、目地を着色するのは素人にはなかなか難しいので失敗したのは仕方ないといえば仕方なかったのかもしれません。
目地に濃い色を付けたいならば、着色剤はあるていどの分量をしっかり入れることをおすすめします。
■いろいろ失敗したけれど、8年経った今でも気に入っている
最後に完成したときの写真をごらんいただきましょう。

長尺シートが張ってあった工事前の殺風景な状態とくらべると、ガラリと印象が変わったのがおわかりかと思います。

ドアを開けるとモザイクタイルの表面に光が反射するのも素敵。

「タイルを張るだけで物件の印象ってこんなに変わるんだ」と実感できたおかげで、この後タイルDIYに弾みがつきました。

そして、これが現在の姿。新しく張ったオレンジの床とブラウンの土間との組み合わせは気に入っています。

8年経って、ところどころ目地に汚れが溜まってきましたが、土足で行き来することを考えれば仕方ありませんし、目地自体に割れやヒビが生じていないのは上出来といえそうです。
ずぶの素人が長尺シートの上から重ね張りしても、そこそこの強度が出ることがわかったのもよかったです。

周囲の壁やドア枠と接する部分は本来ならば弾力のあるコーキングで仕上げるのが正しいやり方なのですが、当時はそんなことも知らず目地材で埋めてしまいました。でも、特に劣化した部分もありません。頻繁に触れたり水がかかったりする場所でなければ、目地材で仕上げてしまってもそこそこの耐久力が出るのではないかと思っています。
タイルなんて素人に張れるの?と不安な気持ちを抱えながらもトライしてよかったと思っています。