(72)暑い夏を別荘で快適に過ごすための換気と空調を考えてみた
別荘を持つメリットはさまざまだと思いますが、僕が即答できるのは「真夏の夜に快適にぐっすり眠れる」こと。
今回は、山小屋と世田谷の気温を比較しながら、暑い夏に別荘で快適に過ごすための換気と空調について考えてみたいと思います。
【暖かい空気は上に昇るので2階はちょっと暑い】
以前も書きましたが、この山小屋はかつて設置されていた換気口をなくし、ルームドライヤーを設置しています。
換気口を通って虫が室内に入ってきたり、寒い日には冷気が入ってきたりと、不自由が多いことからの決断でした。
しかし、換気口には外の涼しい空気を取り込む役割もあります。
換気口をなくしたことで室内の気密性が増した分、夏場は暖気がたまりやすく、室内の気温は上がりやすくなりました。
しかも、うちの山小屋は2階建てなので、暖かい空気は上に昇って2階にたまることになります。
これをどうにか解消しなければ、せっかく避暑に来たのに夏バテしてしまいます。
【窓を開けて網戸から涼しい空気を取り入れる】
暑さが強烈でなければ、窓を開けて網戸にすることで換気し、涼しい空気を室内に取り入れるのがいいでしょう。
うちの2階の場合、部屋の両側の窓を開ければ室内を風が通り抜けて暑さがだいぶ和らぎます。
ちなみに1階は窓を大きなフィックス窓に変更してしまったため、窓だけでは換気がしにくい構造になってしまいました。
そこで、玄関ドアに網戸を設置することにしました。
実を言うと、うちの母屋の勝手口にも網戸が設置されていて換気できるようになっており、それを参考にしました。
心配だったのは野暮ったいデザインにならないかということでしたが、半世紀の時の流れを経てドア用の網戸も驚異的な進歩を遂げていたようで、折りたたみ式のシンプルなものが見つかりました。
ドアをぐるりと囲んでいる白い枠が網戸。
すすっーと引き出すと、
網戸でドアの開口部がカバーできます。
スマートです。
これで、無事に風が通り抜けるルートができました。
風がない日には、サーキュレーターを回すことで空気の循環を促すのもアリ。
リーズナブルなタイプでも1台あるだけでだいぶちがいます。
うちで使っているのはアイリスオーヤマのコンパクトサーキュレーター「PCF-HD15」(ブラック)。
換気を想定するなら、首振りで上下の向きも変えられるタイプがいいと思います。
春や秋に感じるちょっとした暑さならば、この換気で十分解決できます。
【真夏の日中の暑さはエアコンで乗り切るしかない】
しかし、真夏日ともなると、山小屋の室内もかなり暑くなります。
たとえば、8月のある日。
日中の最高気温は34℃で、室内は午後2時で29℃。
この日はほぼ無風で、窓を開けたくらいでは暑さが解消しません。
以前も書きましたが、僕は酷暑が続く真夏に2階でDIYを続けてヘロヘロになったこともあり、エアコンの必要性を痛感しました。
もし2018年の夏のような殺人的な暑さが再びやってくれば、山小屋に避暑に来て熱中症になるなんて可能性もないとは言えません。
余談ですが、2018年は軽井沢などの著名な避暑地でも寝苦しい夜が続いたそうで、エアコン屋さんは大忙しだったと聞きました。
昨年の暑さは例外的と言っても、年々気温が上昇していることを考えると、エアコンがいらなかったエリアも設置の必要に迫られてくるのはまちがいありません。
ということで、我が山小屋にもエアコンを設置しました。
場所はここ。
階段の開口部の上に設置することで、1階と2階のどちらにも対応できるようにしました。
風向きを下向きにすれば1階、風向きを上向きにすれば2階が冷やせるという感じですね。
この一台で小屋がまるまる冷やせるので便利です。
タイニーハウスの長所といえます。
これで真夏にも安心して泊まっていただけるようになりました。
換気とちがって湿気が室内に入ってこないのがエアコンのいいところ。
実は、換気の弱点は涼しい空気と一緒に外の湿気も室内に取り込んでしまうこと。
とくにうちの山小屋は裏に小川が流れていて日当たりも良くないため、外気の湿気はかなり高いのです。
暑い日はもちろん、梅雨の時期にもエアコンを使用すれば、サラリと過ごしやすくなります。
【山小屋の夜は気温がぐっと下がるので眠りやすい】
さて、日中の暑さはエアコンで乗り切るとして、夜はどうしましょう?
僕もそうですが、エアコンをつけたままで寝ると調子が悪いという方は多いのではないでしょうか?
せっかく避暑に来てエアコンをつけっぱなしで寝るのはガッカリですよね。
でも、そこは安心。
都市部とくらべて山奥の家は夜間に温度がぐっと下がるからです。
とある夏日の例でご説明しましょう。
その日は、世田谷も山小屋付近の市街地もともに最高気温は36℃。
日中は山小屋でもエアコンが必要になる温度です。
しかし、夜中から明け方にかけての最低気温に大きな差が出ます。
世田谷の最低気温が明け方4時でも28℃までしか下がらないのに対し、山小屋のある地域は24℃まで下がります。
体感ではっきりわかるほどの差です。
この温度は山小屋からクルマで10分ほどの市街地の気温なので、実際の山小屋付近の気温はさらに3~4℃は下がります。
仮に市街地との差を3℃と仮定すると、世田谷で28℃の熱帯夜のとき、山小屋では21℃くらいまで下がっていることになります。
これくらいだと、寝苦しさはないどころか、薄手のブランケット一枚だとちょっと足りないくらいに感じます。
うっかり窓を開けて寝ると、寒くて明け方に起きるはめになります。
先述したとおり、山小屋の2階は暖気が上がってくるので外とくらべると暑いは暑いのですが、夜までうっすらエアコンをかけておき、エアコンを切って寝ればぐっすり眠れます。
都市部だと、このやり方をしても夜中の3時か4時には暑さが戻り、寝苦しさで起きてしまいます。
山小屋ならエアコンの冷気が薄れる頃には気温が下がるので、暑くて目が覚めることはまずないと言えます。
しかも、山奥なので自然の音以外には騒音もありません。
都心では味わえない深い眠りを味わうことができます。
体調を崩しがちな真夏に、週に1日でもぐっすり眠れるだけで体調もぐっと良くなります。
このためだけに山小屋を訪れてもいいと思うくらいで、別荘(山小屋)を持つ最高のメリットです。