(730)僕がDIYリフォームで壁紙よりも塗装を選ぶ理由
前回、壁紙を張り替えるよりも、その上から塗装したほうがいいのでは?という提案をしました。
(729)古い壁紙のリフォームは張り替えずに上から塗装する
この記事は業者さん(塗装屋さん)に依頼した場合を想定して書きましたが、今回はDIYリフォームにおける壁紙と塗装をくらべてみようと思います。
表題のとおり、個人的には塗装を選択することが圧倒的に多いのですが、その理由は「壁紙は要求される作業精度が高く、失敗したときにガクンとクオリティが落ちて粗が目立ちやすい」のに対し、「塗装の場合は、手を抜いたぶんに比例して質が下がるので、そこそこの作業でそこそこの仕上がりが得られる」ところにあります。
■壁紙を張るには丁寧な下地処理が必須
壁紙の作業で大変なのが下地処理です。
壁紙DIYというと、壁紙本体をいかに上手に張るかに注目が集まりがちですが、いかに技術があろうと、壁の下地がきちんと処理されていなければ、壁紙をきれいに張ることはできません。

これは熱海の部屋の壁紙を剥がしたときの様子ですが、手で雑に剥がしただけだと、ぜんぶきれいにはがれた部分と裏紙が残った部分が混在する状態になってしまいます。この段差をそのままにして上から壁紙を張ってしまうと、きれいに仕上がらないのです。

また、古い壁だとビスの穴の跡があったり、ひび割れがあったりしますが、これも処理して平らにしなければなりません。

どうするかというと、段差を埋めるためにパテを打ち、乾くのを待ってやすりがけするのです。

削った粉も飛散し、とにかく面倒な作業です。

厄介なのは、本当に平らな面に仕上げるには一度の作業では不十分なことが多いということ。同じ作業を少なくともあともう一回はおこなわねばならず、下地の状態次第ではこの下地調整をさらに重ねなければならない場合もあります。

うちのマンションの工事にきてくれる壁紙職人さんは素人目に見ても凄腕で、僕は毎回彼を指名して工事してもらうくらいですが、話を聞いていると「古い物件はとにかく壁の下地処理が大変で手間がかかる」ということでした。

地味な準備作業あってこそ、ビシッと決まった平坦な仕上がりが手に入れられるということを考えると、手を抜きがちな素人にはハードルが高すぎる作業だと感じられてしまいます。
■スキマやズレが見た目のクオリティをグンと下げる
「いやいや、DIYにそんな精度求めてないから。張れればいいのよ、張れれば」。そういう方もいらっしゃるでしょう。
僕だって、これまで何度かDIYで壁紙を張ってきました。山小屋の母屋のキッチンにかれこれ20年以上前に初めて壁紙を張ったときは、精度なんて考えもしませんでしたし、下地処理なんてしませんでした。

その結果がこれです。昔のこととはいえ、この「つぎはぎ感」はキツイですね。

これは二度目の壁紙DIYの写真。一度目にくらべると最低限の下地処理もしたし、上手に張れたと思いますが、やっぱりスキマができてしまい、時間の経過とともに目立つようになってしまいました。
壁紙って、表面が滑らかで整っているぶん、このスキマだけが悪目立ちしてしまうのが難点なのです。

もちろん、壁紙ならではのメリットもあって、そのひとつが、「塗装ではできないような個性的な柄をインテリアに取り入れることができる」という点。
ただし、柄物になると難易度はさらに上がるので覚悟が必要です。
写真は山小屋の離れにDIYで張った海外製の壁紙ですが、

近づいてみると見事に柄がズレてしまっています。
柄物の壁紙を張るときは、スキマができないように注意するのはもちろん、柄がズレないように注意しながら作業する必要があり、これがなかなか難しいのです。
実は、この作業に先立って壁紙の張り方ワークショップに参加して練習していたにもかかわらず、失敗してしまいました。そのときの模様は「ESSE online」で記事になっているのでご興味ある方はどうぞ。
【ESSE online】ワークショップで失敗して分かった!輸入壁紙の貼り方のコツ
このときは、柄はなんとか合わせることができたものの、壁紙と壁紙の継ぎ目をうまく合わせるのに失敗し、張り終えた直後にスキマができてしまいました。

うっすら見えるのもイヤですが、

こんなふうに露骨にスキマが空いてしまったところも。
こうなると見た目のクオリティがグンと下がってしまう気がしませんか。
コツとしては、「壁にノリをしっかり塗ること(少なすぎると継ぎ目から剥がれやすくなる)」「継ぎ目部分を(断面がぶつかるくらいのつもりで)しっかり密着させる(ことでスキマが生じにくいようにする)こと」が挙げられるのですが、これがなかなか難しく、一度のワークショップでは体得できず、本番でもしくじってしまいました。
ということで、壁紙は「丁寧な下地処理」や「スキマやズレを生じさせない作業精度」が要求され、素人DIYには高いハードルになると感じています。
さらに、これは感じ方の問題ではありますが、壁紙作業で生じた粗(スキマや柄のズレ)は、後述する塗装で生じた粗(凹凸)よりも目立ちやすく感じられるのも難点だと思います。
■塗装はそれなりの作業でそれなりに仕上がる
では、壁をDIYで塗装する場合はどうでしょうか?
これについては以前、記事にしました。
なるべく手をかけずに作業するというのがポイント。
詳しくはこの記事をお読みいただくとして、今回はダイジェストでまとめます。

先ほども書きましたが、壁紙を剥がすと、こういうふうにムラが残ります。
壁紙を張る場合、ここにパテを打ってやすりがけをおこない、平滑な面を造る必要があります。プロの塗装屋さんなら同様の下地処理をおこないますが、素人がDIYで塗装する場合は仕上がりの凹凸などは気にせずに塗装してしまうことも可能です。

省略しないほうがいいのはアク止め剤を塗る作業。

シーラーとかプライマーとか呼びますが、塗装前にこれを塗っておかないと、古い壁から内部の汚れ(アク)が表面ににじみ出てきて、せっかく塗った壁に染み汚れが浮き出てしまうのです。

これはシーラーの塗りが甘かったときの写真。ところどころに茶色の染みが浮き出ているのがおわかりでしょうか。これがアクです。シーラーは二度塗りが推奨されていますが、一度塗りで済ませてしまったりするとこういう事態が起こりがちです。

塗装の場合、壁紙とはちがって養生が必須なのもデメリットでしょう。まわりに塗料が飛び散るのは確実なので、この養生作業は省略できません。面倒でもしっかり室内を養生しましょう(ただし、熱海のときは、あとあと床を張り替える作業する予定があったので、養生なしで済みました)。
シーラーが乾いたら、上からペンキで塗っていきます。

塗装のラクなところは、準備が済んでいったん塗り始めてしまえば、壁紙とくらべて精度を気にせず、ラフに作業できるところ。
壁紙なら難所になる出隅や入隅も、塗装ならば難易度は平面部分と変わりませんし、多少雑に塗ったところで大きくムラが出ることもありません。気楽にDIYできますから、初心者や子どもと一緒に楽しみながら作業することもできそうです。
もちろん、下地処理を省略したぶん、塗装後も壁紙を剥がした跡の凹凸は目で見てわかるかたちで残ります。

手を抜いた結果ではありますが、こういう塗りつぶされた凹凸は、個人的にはあまり気になりません。

むしろ、ラフな仕上がりにも味を感じるとでもいいましょうか。
ここが壁紙との大きな違い。
高い作業精度を求められ、失敗したり劣化したりしたときの粗(=スキマや柄のズレ)が目立ちやすい壁紙に対し、塗装は手を抜いてもガクンと質が落ちることもなく、それなりに見れる仕上がりになるのです。

以上のような経験から壁のDIYには壁紙よりも塗装のほうが向いていると感じています。
ただ、このあたりの感じ方は個人差も大きく、僕が味と評した部分を欠点としか感じられない方もいるはずです。それに、インテリア的には塗装ではなく壁紙でなければ得られない模様や質感があるのも事実です。
自分の感性にあった素材と方法を選んでDIYするのが大事なことは言うまでもありません。


















