(310)失敗リフォームのせいで暮らしにくくなった部屋を紹介する
あけましておめでとうございます。
今回からしばらくの間、昨年リノベーションした世田谷のマンションの一室について書いていこうと思います。
昨年末にご紹介したのは23年間まったく手を加えられていない部屋でした。
これにくらべれば、今回の部屋はだいぶマシに見えます。
今から15年前くらいに先代の大家だった叔父がなじみの業者に頼んで一度リフォームした部屋です。
世田谷という立地の良さもあって昭和の時代から空室知らずだったうちのマンションも、平成に入って徐々に入居者が見つかりにくくなっていたそうです。2000年を過ぎた頃には空室が目立つようになりました。
そこで不動産屋さんに相談したところ、提案されたのが以下の3点だったと言います。
- トイレにウォシュレットの便座を付ける
- 在来のお風呂をユニットバスに交換する
- ベランダの洗濯機を室内置きにする
どれも入居が決まらない築古賃貸にありがちな問題点で、これらを改善しろという意見には僕も異論はありません。
ただ、うちのマンションの場合、リフォームが大した考えもなしに場当たり的におこなわれてしまったのが問題でした。たとえば、洗濯機置場の設置場所。
パッと見、問題なさそうに見えますが、間取り図を見ると……
ガスコンロのすぐ前に洗濯機置場が設けられているのです。これはヤバイです。
実は以前、僕も同じリフォームが施された別の部屋に暮らしたことがありますが、とにかく使いにくい。斜め前に立たないと使えないガスコンロは自炊のモチベーションを確実に下げてきます。
一方、こちらはトイレ。
便座をウォシュレットに交換し、床にはクッションフロアを敷いて見た目こそこぎれいになっていますが、しかし。
便座から壁までの距離がとにかく狭い。
もともと狭いトイレがウォシュレットのゴツイ便座でさらに狭くなりました。腰かけると背の低い僕でも膝が壁に当たるくらい。立ち上がれば顔面を壁に擦りそうになります。
ユニットバスは清潔感もあっていいのですが、最小サイズでも在来のお風呂よりも大きいので壁を壊して設置せねばなりませんでした。脱衣所を兼ねた洗面スペースも狭くなってしまい、洗面台も交換する羽目になったようです。
一体型の洗面台、どうしようもないくらいダサいな……。
しかも、向かいのトイレのドアを開けるとお風呂の外の壁にぶつかって開ききらないという厄介な問題も。
リフォームしたのに欠陥住宅の雰囲気すら漂う残念な部屋が出来上がってしまいました。
この結果、新しい入居者が決まっても、せいぜい一回更新するていどで、ほどなく退去してしまうという事態が続くようになりました。先ほど列挙した問題点はどれも実際に住んでみないと実感できないですから、内見時には気にならなくても、暮らしてみると不便さのあまり引っ越したくなったのでしょう。
短期で入居者が入れ替わると、そのたびにジリジリ家賃が下がっていくという悪循環に陥り、僕がマンションを引き継いだときはかなり下がっていました。しばらくして空室となった際にリノベーションしようとしたのですが、当時、たまたま別の部屋で漏水トラブルがあり、その入居者さんにこちらの部屋に住み替えてもらうことになったのでそのままでした。
幸い、それから5年余りもお住まいいただき、空室となりました。こうして今度こそ手を加えようということになったのが昨年の春のことでした。
工事をおこなううえでのポイントは先ほど列挙した点の改善が中心となります。図面だとこんな感じ。
ガスコンロの前にあった洗濯機置場を移転し、冷蔵庫置場を挟むことでキッチンから離します。洗濯機と冷蔵庫の置き場をならべると、既存のキッチンは大きすぎるので撤去せねばなりません。
本体もかなりくたびれていますし、塩ビ管が露出で配管されているのも見苦しいので交換も仕方ないでしょう。
新しいキッチンは2つに分けて窓側まで広げることで広さを確保します(柱があるせいでL字型のキッチンは置けないのですが、そのへんの対応についてはまた後日)。
狭かったトイレは、ドアを前方に移すことで広々とした空間にします。一体型のダサい洗面は見た目的に許せないので交換。
こんな感じで考えていくと、結局、ユニットバスを除いてほぼフルリノベーションすることになりました。
工夫したいのがインテリアのテイスト。
僕は生来飽きっぽい性格で同じような部屋を作っていると飽きてしまうので、毎回リノベーションのたびに部屋の雰囲気を変えるのが楽しみです。
4部屋ともリノベーション済みで間取りも同じ部屋ですが、見た目の印象はけっこう異なります(比較しやすいようにするために一部の写真は左右を反転しています)。
今回もこれまでとはちがった部屋を作ろうと思います。「次の部屋のインテリアはどんな雰囲気にしよう」と思いをめぐらせているときが、大家としてはいちばん楽しい時間だと言ってもいいくらい。
次回は、インテリアのヒントをくれた本をご紹介します。