(3)山小屋ディテール自慢
賃貸マンションの大家を始めて以来、それなりに自我を抑えてコマーシャルな物件を作ってきました。
かけた費用に対してどれだけの家賃がいただけるか、狭い空間をどれだけ便利にできるか、などなどを考えると、おのずと採用できる設備や建材も絞られてきます。
選択肢が狭いと選ぶ苦労は少ない反面、その分退屈さもあります。
ショールームやインテリアショップで面白いものを見つけても「まあ、うちでは使えないか…」という残念な気持ちが追いかけてくることもしばしば。
だから、山小屋のリノベーションは、賃貸であきらめたことを試すチャンスでした。
たとえば、この洗面。
祖母が愛用していた古いミシン台を再利用しました。
ミシン台はかさばる上に収納力はほぼゼロで、賃貸ではなかなか難しい選択です。
柳宗理のデザインによる秋田木工の鏡も同じく。
賃貸なら収納力を重視してミラーキャビネットを採用するところです。
壁付けの水栓はサンワカンパニーの「ラベンナ」。
この種の水栓はデザイン性に優れているものの、ワンハンドルにくらべて日常使いには若干の難があり、断念してきました。
2階に貼ったアクセントクロスも、賃貸ではまず採用しない柄です。
イギリスの壁紙メーカー「コール&サン」(Cole & Son)社の「ノーチラス」(Nautilus)。
真っ赤なチョウチンアンコウが森の中を泳ぐ不思議なデザインは非日常空間だからこそ選んだ柄でした。
ちなみに賃貸の場合だと、こんな感じの壁紙を選びます。
こちらはサンゲツの「FE-3981」。
ひとことでアクセントクロスといっても、印象はまったく異なります。
狭小物件だから実現できたこともあります。
写真は1階の床。
ウッドタイルとボックス貼りのモザイクタイルをミックスしました。
年輪の模様が印象的なウッドタイルは「西粟倉森の学校」の「コグチタイル」。
モザイクタイルは岐阜県多治見市の「作善堂」(さぜんどう)で購入した「細ボーダータイル」(ボックス貼り)。
ともに、広い面積を施工するにはけっこう値の張る建材です。
個性的で目を引く建材は、どうしても単価が高くなるものですが、施工面積が狭ければ、なんとか予算に収まることもあります。
ちょっぴり贅沢しましたが、好き勝手に物件を作るのは楽しいものです。