(4)結局、物件は立地が9割?

インテリア

好き勝手に作った山小屋ですが、それなりのお金をかけて工事し、入居者のみなさんに使っていただく以上、「泊まってみたい/過ごしてみたい」と思わせる魅力を感じてもらえなければ意味がないのも事実です。

山小屋の外観

実は、この点についてはけっこう楽観視していたところがあって、なぜかと言えば、東京のはずれの山奥という立地がすでにしてかなり個性的だからです。

賃貸マンションの大家をやっていて実感したのは「結局、物件は立地が9割」という不動産の現実。

設備とかインテリアとかも大事ではありますが、それらもやはり立地ありきなわけで、ロケーションを無視してデザイナーズとかIOTとか言ってもしょうがない。

じゃあ、ギリギリ東京都とはいえ、こんな山奥のクソ狭い物件にやってくる意味ってなんでしょう?って話です。

山小屋の裏の竹林

月並みな答えですが「緑が豊かで静かな自然環境を愉しむ」ということに尽きると思います。

小屋の裏には小川が流れ、その向こうには竹林。

静かな環境といっても実は虫やら鳥やら意外にうるさかったりもしますが、そういう自然の音は都市の「騒音」とくらべると不思議とうるさく感じないものです。

しかも、ギリギリ東京都というのが大事。

遊びに来る人の99%が「東京とくらべると涼しいよね」とか「東京だとコンビニは24時間やってるのに…」とか言いますが(というか、地元の人も「ああ、東京から来たのね」とか言ってる)、この山小屋だって行政区分的には立派な東京都下なわけで、世田谷区から電車で1時間半弱で最寄り駅までたどりつけます。

遠いっちゃ遠いんですが、この環境を考えるとこのアクセシビリティはけっこうな魅力だと思うんですよ。

以前、友人と一緒に山梨の北杜市に別荘を見に行ったことがあります。(詳しくは日刊Sumaiをどうぞ)

山梨の別荘

いわゆる別荘地の「雰囲気」や「たたずまい」は魅力的なのですが、世田谷からだと軽く3時間くらいかかってしまい、「これじゃ軽い気持ちで遊びに来れないよな」と思いました。

蓼科に相続した別荘を持つ知人に「今年、何回行った?」と聞いたら「1回」という衝撃の答えが返ってきたのが思い出されます。

その点、東京の西部の山間部は日帰り旅行の定番ルートのひとつ。

気軽に遊びに行けます。

別荘地の半分ほどの時間でアクセスでき、都会にはない自然が満喫できる。

その気軽さこそうちの山小屋の最大の売りなわけですから、インテリアにおいて何がいちばん大事かもおのずとわかってきます。

山小屋の窓から竹林を臨む

そう、室内にいるときも、外の環境が感じられることですね。

だから、前回お話しした「床のタイルがうんぬん」とか「壁紙の柄がうんぬん」とかいう話は、実は全然たいしたポイントではなく(というか、自己満足)、いちばんのポイントはこの大きい窓なのです。

家をリフォームした経験のある方ならごぞんじでしょうが、窓をいじると予算に響きますし、それがこういう大きな一枚ガラスとなると、ブツ本体に加えて輸送費がかさむので、けっこうな金額になってしまうのですが、ここだけは妥協したくありませんし迷いもしませんでした。

「引き違いにすると、値段が下がりますよ」とかも言われたけど、それも即却下でした。

山小屋の窓を外から見る

後悔は全然ないです。

この物件の「顔」とも言える部分になりましたし、遊びに来てくれた人の反応がいちばんいいのもやはりこの窓です。

山小屋の室内

1階は水回りを新規に設置したこともあり、くつろげるスペースはわずか畳二畳ほどしかないのですが、目の前にこの大きな窓があるおかげで、狭さを感じない空間になったのはうれしい効果でした。

ここには小さなロッキングチェアを置き、ボーっと外を眺められるようにします。

狭小なわりに、ぜいたくな空間だと思いませんか。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

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