(117)施主が品番まで指定しても、現場に別の製品が設置されるのはなぜか

トラブルや失敗

自分でできることはなるべくDIYでやりたい。

そんな思いでこの小さな小屋をいじってきたのですが、要所要所でプロの助けを借りざるを得なくなります。

電気工事中の山小屋

電気、ガス、水道はその代表で、素人がいじれる領域ではありません。

しかし、他人にお願いすると「施主が指定したのとは異なる工事が行なわれてしまう」ことがよくあります。

山小屋でも窓のサイズが誤って施工され、ロートアイアンを加工するはめになったことは以前に書きました。

あのときの原因は、工事会社が大工さんに誤ったサイズを伝えてしまったことでした。

同様に、こちらが指定した製品とは別のものが設置されてしまうこともよくあること。

世田谷のマンションでは、小窓付きのドアをお願いしたのに設置されたのは窓なしだった、なんてこともありました。

たくさんの人間が関わり、施主から現場へ至るまでの伝言ゲームが長くなると、こういうミスが起こることは、ある意味、仕方ありません。

差し戻すか受け入れるかは、自分のこだわりの度合いと業者さんとの関係性などによるでしょう。

しかし、うっかりミスとは異なる厄介なケースもあります。

それが前回紹介したシンプルデザインの給湯器操作パネル「MC-190」(リンナイ製)のケース。

事態が発覚したのは、工事中のある日、現場を訪れたときのこと。

操作パネルが設置されるはずの壁を見ると、

操作パネルが設置される予定の壁

給湯器のパネルのコード(グレーのやつ)が変なところから顔を出しています。

これだとパネルを設置するとこうなっちゃうよね?

操作パネルが設置されるはずの壁

上の開口がスイッチ用の穴だから、ばっちりズレてる。

次の瞬間には、だいたい何が起こっていたか気づきました。

現場に納品されていた器具類の箱をあさると、あったあった。

指定したのとちがう操作パネル

これじゃねえ。

ってか、そもそもメーカーからしてちがう。

なんでこうなるの?

ちゃんとリンナイの「MC-190」って書いておいたじゃん?

とイライラしたりもしますが、一呼吸置いて気持ちが鎮まってから、工事の監督をお願いしているKさんに電話します。

実は、この「気持ちが鎮まってから」が意外に大事なわけで。

相手に非があるとしか思えないトラブルでも、カッカしているときに話したりメールしたりすると、どうしても攻撃的なニュアンスが出てしまうもの。

かく言う僕も、夜中に強めに苦言を呈するメールを送り、翌朝読み直して後悔した経験があります。

相手にも相手の事情があるのかもしれませんし、落ち着いてからの連絡が吉ということです。

電話をして事情を話してみると「ほんとですか?ちゃんと指示したはずなんですが…」という返事が。

しかし、配線があれで誤ったブツが現場に納品されてしまっている以上、現場に指示が伝わっていないことはまちがいありません。

折も悪く、数日後に壁に珪藻土を塗る日が控えておりました。

このコードの位置を直してもらわなければ、作業はできません。

修正作業も含めて、なるべく早めの対応をお願いしたところ、こちらの作業の前日までには必ず対応すると約束してもらえました。

コード位置が修正された

その言葉どおり、作業日の前日には無事にコード位置が修正されていました。

ミステイクのあとはリカバーが大事ですね。

きちんと対応してもらえてよかったです。

おかげで無事に予定どおりに珪藻土の作業ができました。

珪藻土を塗った後の壁

もちろん、設置する操作パネルもリクエストした「MC-190」に変更してもらうことができました。

それにしても、なんでちがったパネルが納品されちゃったんでしょうか?

そもそも僕が頼んだのは「リンナイ」の操作パネルなんだから、「ノーリツ」の商品が納品されるとかわけがわからんのだけど。

「実は、お願いした業者さんが「ノーリツ」が得意なとこらしくて…」とは監督さんの言葉。

あー、そういう話か……。

工事業者さんは、それぞれ、得意にしているメーカーがあるものです。

ある業者さんにキッチンのリフォームをお願いするとしますね。

何も言わないと、どこか一社のカタログを持ってくるはずです。

それが「得意にしている」ってことですね。

では、得意って何かというと、そのメーカーとのつながり(コネクション)が強くて、お安く商品を仕入れることができ、そのぶん利益も出しやすいってことです。

今回のケースでいえば、見積もりには給湯器のお値段が「38,000円」と記載されていました。

当然ですが、この価格より安いお値段で業者さんは給湯器を仕入れています。

安く仕入れれば仕入れるほど、差額は大きくなり、儲けも出ます。

当然、業者さんは「得意なメーカー」の商品をすすめたがるのです。

まあ、商売ってそういうもんだし、このこと自体が悪いとは申しません。

問題なのは、施主のリクエストをスルーしてまで、この論理を優先させてしまう体質です。

パワーポイントで作成したリクエスト書類の1ページ

これは僕がパワーポイントで作成したリクエスト書類の1ページ。

こうやって細かく指定しても、しれっと別の製品を設置するのはどうなの?と思うわけです。

さて、これは確信犯なのか否か。

ただ単に業者さんに「得意なメーカーがある」という事情以上の問題が潜んでいる気配がします。

次回は、施主のリクエストがたやすくスルーされてしまう背景について、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

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