(249)クリーニング・設備の追加・損失家賃~賃貸の空室コストを考える

お金のこと

ここ最近ずっと書いてきた世田谷のマンションの話も最終回。今回は空室発生時にかかったお金のいろいろをまとめます。あわせて空室期間中の損失家賃をどうとらえるべきかについても考えます。


■原状回復費用(クリーニング代)は「38,500円」

まずは室内クリーニングにかかった料金から。リノベーションをお願いしている建設会社さん経由で専門のクリーニング業者さんを手配してもらいました。

退去直後の室内

今回の部屋は6年を経た割にはきれいでした。

でも、水まわりなどには汚れが目立つ部分も。

洗面のシーリングに黒カビ

洗面のシーリング部分にはびっしり黒カビが。

シーリング作業

どうやってきれいにするのかと思ったら、新たにシーリング剤を入れ直してくれました。

シーリング後の洗面

こういう細かい作業からエアコンのクリーニングなどまで含めて、部屋をまるまるきれいにしていただいて費用は「35,000円+消費税」。

クリーニング代金

この金額については退去時に請求させていただいているのでうちからの持ち出しはなし。「行って来いでチャラ」です。


■設備のグレードアップにかけた費用は「69,201円」

続いては設備のグレードアップにかけた費用。

メインとなるのは、イケア(IKEA)の収納用品にかけた「30,485円(税込)」。これについては「日刊Sumai」の連載をどうぞ。

イケアの収納用品の設置にはプロの手を借りたほうが無難です。

イケアの収納設置風景

重量のある金属製の棚などは落下すると大けがにつながる怖れもあり、大家としての責任を考えて大工さんに設置をお願いしました。

イケアの収納設置風景

この作業に支払った金額が「29,000円+消費税」でした。「収納用品と同じくらいかかるの?」と驚く方もいるかもしれませんが、一日がかりでたくさんの収納用品を設置してもらったので妥当な額だと思います。

折りたたみ棚の設置風景

ちなみに、この設置代金には先日ご紹介した折りたたみ棚の設置費用も含まれています。

なお、イケア製以外の備品にかかった費用は以下のとおり。

イケア製以外の備品にかかった金額一覧

トータルで「6,816円」。折りたたみ棚に張ったファブリックやモザイクタイルなど、手持ちの在庫を流用したぶんについては計上していません。

先に挙げた設置費やイケアでの購入費用と合計すると「69,201円」。この部屋の家賃が一か月111,000円ですから家賃の60%強ほどの金額を費やした計算です。

この金額が高いのか安いのかを判断するのは簡単ではありません。というのも「次の入居者が見つかるまでの空室期間がどれくらいかによって評価が大きく変わってくるから」です。


■リフォームの費用対効果は入居が決まってわかる?

みなさんは「損失家賃」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「空室期間中に入るはずだった家賃」のことを意味し「空室損失」とか言ったりもします。

「退去がなかったら××円入ってたのに……(泣)」なんて物言いは「捕らぬ狸の皮算用」に過ぎないので「損失」という表現が適正なのかどうかもわかりませんが、それは置いておきましょう。

言葉はともかく、空室の期間が長引けば長引くほど家賃が入らない期間も長くなり、マンション経営を圧迫してくるのは動かしがたい事実。大家さんとしては指の間からこぼれ落ちていく砂金を見せられているような喪失感を抱くものです。

ここで「お金をかけずに今の物件のまま次の入居者が決まると読むか」それとも「お金をかけて物件に手を入れて入居の可能性を高めるか」を見きわめなければならないのも難しいですね。

お金をかけたほうが成約の確率は上がるのでしょうが、賃貸はひとり(ひと組)でも気に入ってくれる人がいればOKな世界。価格(家賃)に見合わないように思える商品(物件)も、その値付けで決まってしまうこともあるにはあるんですよね。

グレードアップ後の室内

僕は物件をいじるのが楽しいこともあって「空室を機にここを改善しよう」と考えずにはいられないタイプですが、見方によっては「不要な投資を過度におこなっている」と言われても仕方ない面もあり、顧問税理士さんには「ちょっとお金を使い過ぎじゃないですか?」とたしなめられることもあります。

僕のような大家さんにとって怖いのは「大枚はたいた挙句に入居者が決まらず空室が続く」というパターンです。「決まらないならお金なんて使わなきゃよかった」と後悔し、あせって家賃を下げ、決まらずまた下げて……という負のスパイラルにはまり込むのだけは絶対に避けたいです。

幸いうちのマンションは募集から一か月以内に次の入居者さんが決まることがほとんどで最悪の事態は避けられています。


■入居が決まって~今回の空室で生じた総額は「276,401円」

さて、今回の募集の顛末について振り返ります。

まず社会情勢としては賃貸募集にはやや逆風だったと言えましょう。一年経ってもコロナ禍は収まるどころか勢いを増すばかり。賃貸募集についてもいつもどおりの読みがなかなか通用しないと感じました。

世田谷のマンションの室内

4/10から募集を始めて初日に三組の内見があったものの、その後はパタリと止まりました。次の内見があったのはゴールデンウィーク明けの5/8ですからおよそ一か月の空白です。ゴールデンウィーク中の天気のいい日にだれも来ないとジリジリ不安を感じたりしました。

しかし、5/8には一日で二組の内見があり、翌9日にも一組がいらっしゃいました。なんとも予想のしがたい動きですが、緊急事態宣言が延長されてそれまで内見を控えていた人たちが一気に動き出したのかなと推測しています。ただの偶然かもしれませんが。

入居の申し込みをいただいたのは5/13のこと。4/10から数えておよそ一か月でした。長いようで短い一か月でした。

引っ越しは6/5に決まり、退去から次の入居までの日数を計算すると「56日」。先ほども書いたとおり、一か月の家賃は「111,000円」ですから、日割りで計算すると一日あたり「3,700円」。これに「56日」をかけると「207,200円」となり、これがいわゆる「損失家賃」です。

物件をグレードアップするのに費やした「69,201円」と合算すると「276,401円」。これが今回の空室で生じた出費の総額になります。

この「276,401円」は高いのか安いのかという判断ですが、個人的には上出来だったと思っています。

約二か月の損失家賃に関しては、空室が発生してから一か月で次の人が決まるのはそれなりにスピーディーな結果です。新しい入居者さんは申し込みの時点で前の物件に解約通知を出すので入居まではさらにもう一か月前後かかるのも通常通りです。

比較的短い空室期間で次の入居が無事に決まりましたし家賃も下がっていませんから、物件のグレードアップ費用についても無駄ではなかったと言えると思います。

世田谷のマンションの室内

とまあ、いろいろと理屈をならべてはみましたが、正直な気持ちは「決まってホッとした」という以外の何ものでもありません。現在リノベーション中で秋に完成する部屋も無事に決まると良いのですが、先行きの見通せないご時世ゆえどうなることやら。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営。 『日刊Sumai』(扶桑社)で「なんでも大家日記@世田谷」を連載中。 https://s...

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