(322)【ピクセルタイルDIY②】アクセントタイルをズレないように張る
引き続き玄関土間にピクセルタイルを張っていきます。
今回は接着編。
前回仮置きしたタイルを専用のボンドを使って接着します。
■タイルの接着剤、どうやって選ぶ?
最初に接着剤についてかんたんにご説明しましょう。
タイルの接着剤には2種類あるのをごぞんじでしょうか?
ひとつはセメント系の接着剤。写真は「ロックタイト(LOCTITE)」という商品で、僕が初めてタイルDIYをやったときに買ったものです。
商品説明を見ると「材質:ポルトランドセメント」と記載されています。水で溶かして使うので初心者にも使いやすいです。
ただ、下地との相性には注意が必要。
セメントは乾くとカチカチに固まるので木材やモルタルの下地にはバッチリくっつきます。
でも、素材によってはセメントでは接着できないこともあります。
たとえば、今回施工する土間にはクッションフロアが張られてしました。土足用なので固さはありますがゴムのような質感で、指で押してみると多少の弾力があります。これだとセメントの接着剤で張り付けても、衝撃などが加わればすぐにはがれてしまうでしょう。
プロならこのクッションフロアをはがして下地をあらわにして施工するのでしょうが、下地の防水処理などが心配。僕のような素人はこの上からタイルを張りたいのです。
そんなときに使うのがアクリルエマルジョン系の接着剤。
チューブ状のフィルムパックに入った接着剤で、端を破って絞り出して使います。
粘り気のある接着剤で固まったあとも弾力のあるゴムのように仕上がります。弾性接着剤と呼ばれたりしますね。
これを使えば長尺シートやクッションフロアのような弾力のある床材の上からもタイルを張ることができるのです。木材やモルタルの下地はもちろん、ボンドの種類によっては古いタイルの上に新しいタイルを重ね張りすることだってできます。
手に付いたりするとペイント用うすめ液でないとふき取れないので扱いがやや面倒なのがデメリットではありますが、下地を選ばないので迷ったらこれを使えばいいという安心感があります。
今回使用するのもアクリルエマルジョン系の接着剤になります。
「フレックスマルチ」という接着剤の「グレー」色。
タイルメント タイル張り用弾力性接着剤 フレックスマルチ 出荷単位:本 価格:1,650円 |
アクリルエマルジョン系の接着剤には何色かバリエーションがあるので、できれば仕上げで使用する目地材と近い色を選ぶことをおすすめします。
タイルDIYにありがちなのがボンドを塗り過ぎて接着時に目地からはみ出ると言う失敗。
乾いて固まったあとにこれを除去するのはかなり手間のかかる作業です。もし見落としがあると目地材のスキマから残ったボンドがちょこっと顔を出してしまうなんてこともあります。そんなときでも目地と同系色のボンドを選んでおけば失敗が目立ちにくくなるというわけです。
■接着に使う道具の準備から養生まで
接着剤選びが済んだら道具を確認しておきましょう。
ボンドを塗るためのコテ。鉄製。
ボンドに凹凸をつけるクシ目ゴテ。プラスチック製。
どちらも後片付けしやすいようにボンドがつく部分には養生テープを貼りつけておきましょう。
ふつうはボンドを手元に取るためのコテ板も必要になるのですが、
今回の施工面積は狭いので床に直接ボンドを絞り出して済ませてしまいました。
まわりが汚れないように養生も欠かせません。マスキングテープ(左)と養生テープ(右)のふたつを使います。
緑色の養生テープにくらべるとマスキングテープは接着力が弱いので、塗装済みの壁には塗膜が離れないようにまずこちらで養生します。必要に応じてこの上から養生テープやマスカーを重ね貼りします。
養生作業がすべて完了したところ。
■列がずれないように注意深くシートを接着していく
前置きが長くなりましたが、いよいよ接着作業に入ります。
しかし、細かく分かれたタイルシートをどうやってズレないようにきれいに張り付けるか?が悩ましいです。
ふだんならばいったんシートをぜんぶ取っ払って端から1シートずつ張り付けていきますが、今回はホワイトのラインが入るぶんシート数がかなり多いのです。
数えてみたらぜんぶで33シートもありました。もしアクセントの白タイルを入れなければ9シートだけで済んだのですから、遊びを入れたぶん手間もかかることになりました。
いつものように端から順に接着していくやり方だと途中でアクセントのホワイトのラインがズレてしまったりするんじゃないか不安です。
そこで、きれいに仮置きした状態をなるべくキープしながら、1シートずつ張り付けていくという方法を試すことにしました。
中央の1シートを取り出しました。このシートを基準にして、周囲を合わせながら順番に張っていけばズレにくいかなと考えたのです。
先ほどの番号はシートを張り付ける順番を兼ねています。
中央(①)からはじめ、次に上のグレーのシート(②)、その上のホワイトのライン(③)を張り、いちばん外側のグレーのライン(④)を接着する、という順番で張り付けていきます。
絞り出したボンドをコテで塗りのばし、クシ目ゴテでボンドの表面に凹凸をつけます。
難しいのがボンドの厚みです。薄すぎると接着できないのですが、厚すぎると先ほど書いたように目地まで接着剤がはみ出てしまいます。床に張るのではがれ落ちる心配はないですし、どちらかというとやや薄めを狙うほうがいいかもしれません。僕はいつも、ギリギリ下地が透けないくらいを狙っています。ちゃんと張れなかったタイルは張り直せばいいですし。
上にならぶシートと目地の列を合わせながら張り付けます。
ズレがないことを確認したら上からゆっくり力をかけて圧着します。
次はすぐ上の3枚のシート(②~④)を取り出します。
先ほどと同様にボンドを塗り、目地の列を合わせながらグレーのシート(②)を接着します。
大事なのがシートとシートの間の目地幅。この目地だけ狭すぎたり広すぎたりすると離れてみたときに「あー、ここがシートの境目だったのね」とわかってしまうガッカリな仕上がりになってしまいます。
表紙貼りのタイルの場合、ほかの部分の目地が見えにくいので難しいんですが、ここは仕上がりのクオリティを分ける大事な場面。シート端にのぞいている目地幅なども参考にしつつ丁寧に張り付けましょう。
同じようにシート間の目地幅に気を付けながらホワイトのアクセント部分のシート(③)を張りつけます。細いシートなので曲がらないように一層の注意が必要。同じ要領でいちばん外側のグレーのシート(④)も張ります。
あとはこのくりかえし。真四角のシートをならべるときとくらべてだいぶ時間がかかります。集中力を切らすとシートがズレてしまいそうなので、一枚ずつ慎重に張り進めていきます。
上半分が接着できました。
このあたりで水を含ませたスポンジで表面の紙を濡らし、ゆっくりとはがします。ボンドが乾いたあとに紙をはがすというやり方もあるようですが、それだとズレに気づいたときの修正が面倒です。まだ接着剤が生乾きなうちなら、はみ出た部分をふき取ることもできます。
ズレたり傾いたりしているタイルを発見しても、指先でちょんちょんとつつくだけで位置を直すことができます。
うん、なかなかきれいに張れてるんじゃないでしょうか。この調子で残り半分も作業してしまいましょう。
くりかえしの中でズレないように集中力を維持して作業するのは本当に大変。
ぜんぶ張り終えました。
表面の紙をはがし、ズレているところなどを修正したら張り付け完了。
グレーのタイルを取り囲むホワイトがいいアクセントになりました。事前のシミュレーションどおりといえばそれまでですが、やはり実物のタイルなので質感がちがいます。
ピクセルタイルはツヤをおさえたマットな表面もいいんですよ。
道具の養生をはがして、
残った汚れをペイント用うすめ液を使ってふき取ったら本日の作業は終了。
目地入れまでに他の職人さんが出入りすることもあるかもしれないので、注意書きを貼り付けた板切れを踏み台として置いておきました。
次回は目地入れ作業。目地材の計算方法についてもお話します。