(325)タイルDIYにかかる費用とミニマムコストの意味を考える
ここ数回、玄関土間にモザイクタイルを張った話を延々としてきました。
今回はタイルDIYにかかる費用についてまとめたいと思います。また、最安値を追求したらいくらくらいで施工できるかを計算し、DIYにおけるミニマムコストの意味についても考えます。
■ピクセルタイルのDIY費用は「約1万7千円」
まずは前回の事例から振り返りましょう。
施工スペースの面積は約0.69平米。うちのマンションの土間はどの部屋も同じサイズなので、以下の考察はすべてこの広さを基準にしていることをお断りしておきます。
toolboxの取り扱うピクセルタイルという小粒のタイルを張りました。
1シートが30センチ×30センチ(目地共寸法)で、ホワイトのアクセント用も含めて10シート使いました。あわせて「10,440円(うち送料650円)」でした。
一方、接着剤は「タイルメント」(グレー)で「2,280円(うち送料630円)」。
タイルメント タイル張り用弾力性接着剤 フレックスマルチ 出荷単位:本 価格:1,650円 |
目地材はLIXIL(リクシル)の「スーパークリーン バス・トイレ」の「ダークグレー」の4キログラム入りで「1,730円(うち送料630円)」でした。
内装用防汚目地材 スーパークリーン バス・トイレ4kg MJS/SS-23K 価格:1,100円 |
以上、タイル・接着剤・目地材の合計で「14,450円」。
そのほかの施工道具や消耗品などは含まれていませんが、ほとんどが安物ですからぜんぶそろえても2、3千円くらい上乗せされるていどだと思います。
ということは、この土間を作るのに必要な費用総額は「約1万7千円」ほどということになります。ひとまずはこの金額を目安にして考えていきましょう。
■業者さんによるタイル施工だとおよそ3.5倍の「約6万円」
では、業者さんに施工をお願いしたら、いくらになるのでしょうか?
まだ大家さんになりたての頃はタイルDIYなんて眼中にもなく、一度だけ土間タイルの施工をお願いしたことがありました。そのときの金額がこちら。
税別で「55,000円」ですから税込み(当時は8%)で考えると「およそ6万円」くらい。プロに頼んだのでしかたないのですが、1平米にも満たない面積の施工代金としてはやはり高額です。正直、賃貸マンションだと割に合わない投資だと感じました。この体験がタイルDIYを始めるきっかけとなりました。
なお、先ほど挙げた「約1万7千円」というDIYの費用とくらべると業者さんに頼んだ場合は約3.5倍の金額がかかったことになります。タイルの種類も異なりますし一概に比較できませんが、参考ていどに考えていただければ幸いです。
■プロにお願いするのもラクじゃない?
業者さんに工事をお願いする際のハードルはお金だけではありません。自分の思い描くイメージを伝えて形にしてもらうというのは意外に難しいものです。
プロにだっていろいろな人がいてさまざまな考え方があります。DIYとちがって施工上の責任がありますから、少しでもリスクがある工事には及び腰になりがちですし、人によってはなるべく手間のかからないほうに誘導したがる人もいるでしょう。
中にはタチの悪い業者もいます。僕の知人から聞いた話ですが、浴室にタイルを張ってくれと頼んだら希望したのとはぜんぜんちがうタイルを張られてしまい、問い詰めたところ「余っているタイルを使いまわした」ことが発覚し、ぜんぶ壊してもらうのもさすがに忍びなかったので価格交渉して済ませたんだとか。「いくら総タイル張りのお風呂でも、そんな経緯でできたのでは納得感は薄いよな」と思います。
職人さんにお願いする場合は話し合いの中でイメージをしっかり共有して自分のほしいものを作ってもらう努力が必要であることも忘れないでください。
■ミニマムコストをめざして接着剤&目地材を選んだら?
閑話休題。
続いて「とにかく安くタイルを張る」ことを追求したケースを考えます。
僕がピクセルタイルのDIYに用いたのはプロも使う容量多めの副資材でした。頻繁にDIYをやらない人は、もっと少量で安価なものでもいいと思うかもしれません。目地材や接着剤を余らせても保管に困るという方もいるはずです。
以下では同じ面積に対して使い切れる量の副資材を選ぶとどれくらいコストダウンできるのかを具体的に検討するのですが、ジャストサイズを狙って小さめサイズを選んだ場合、万一足りないときには買い直しが必要だというリスクもあることを覚えておいてください。
まず、接着剤から。僕も小サイズのものを使ったことがあります。写真のものは400グラム入りで、業務用の2キログラムの約5分の1の容量。家のリフォームというよりは小規模な修繕や小さなタイルクラフトのための商品です。もし我が家の土間の施工に使うならば最低でも2個は必要でしょう。
この商品、だいぶ前にアマゾンで756円(送料込み)で買いましたが、現在は取り扱いがないようですので同等の商品を探してみたところ、グレー色がありました。
送料込みで「719円」で、2パック買って「1,438円」。業務用とくらべると割高感は否めません。差額は小さいですし、足りない場合のことを考えると業務用を買うのもありかもしれませんね。ちなみに、以前もご紹介したモルタル系の接着剤ならもっと安価に済ませられるのですが、下地によってはうまく接着できないので注意が必要です。
では、目地材のほうはどうでしょうか?
こちらは1キログラム入りの目地材。たしかホームセンターで購入したのですが、価格は失念してしまいました。アマゾンで探してみると、こちらもグレー色がありました。
この記事を書いている当時は送料込みで「266円」というびっくりな安さでした。2袋買っても「532円」。業務用よりも安いとは……。これなら接着剤と目地材をあわせても「約2千円」に収まります。
■安さを追求した場合の費用総額は「約9千円」
タイル本体についてもコストダウンを検討してみましょう。
今回採用したピクセルタイルは、グレーが1シート990円、ホワイトが880円。
決して高価なタイルではありませんが、もっと安価なものを探すという選択もありえます。
タイルの種類によっては1シートで500円を切るものも見つかります。
ちなみに僕が今まで使ったなかでもっとも安価だったのは2.5センチ角の白タイル。よく見かけるオーソドックスなタイルで、「タイルオンライン」というショップで購入しました。目地共寸法 300mm×300mmで1シート440円とかなり安価。
価格:440円 |
こちらのショップ、僕もよく利用しますが、とにかくラインナップが豊富で、安い価格帯のタイルも充実しています。
ちなみにこのタイルは初めてのタイル張りをする際に選んだもの。
小さい棚の天板に張りました(ポットが2つならぶ変な写真ですが、Tfalの比較記事のために撮影したものなので悪しからず)。
初めてにしてはなかなか上手にできたと思います。
土間に張るとしても1シート440円なら9シートで「約4千円」で済みますね。
先ほどの接着剤と目地材とタイル、ぜんぶ合計しても約6千円です。コテやヘラなどを安くそろえて3千円と仮定して、ゼロからぜんぶ道具を購入しても「約9千円」。これが0.69平米の土間に張る場合のミニマムコストです。
■アクセントにカラーを入れても「1万円以下」
ちなみに、前回の作例のように異なるカラーでアクセントを入れたらどうでしょうか?先ほどの2.5センチ角のタイルですが、価格は多少上がりますがカラーバリエーションもあります。
価格:560円 |
1シート560円ですから、白ベースでカラーアクセントを入れても5千円以内に収まります。副資材などを合計しても「1万円以下」です。
以前「日刊Sumai」の連載でもご紹介した「名古屋モザイク」の「モザイクタイルシミュレーション」に2.5センチ角のタイルがあったので試しにシミュレーション画像を作ってみました。
白地に黒でラインを入れただけで雰囲気が変わります。「モザイクタイルシミュレーション」は本当に便利で楽しいソフトですのでぜひ試してみてください。「ESSE online」に転載された記事が残っていますので、詳しく知りたい方はそちらをどうぞ。
【ESSE online】モザイクタイルの仕上がりをPCで事前に確認!無料で使えるサイトを紹介
■DIYは自分の欲しいものを自分で作る楽しさが大事
こんな具合にコストを下げる工夫はいろいろありますが、せっかくDIYするのであればコストカットにとらわれ過ぎないほうがいいと思います。
タイルの施工はDIYとしてはそれなりに難度も高めですし、時間もかかります。壁紙やフロアタイルなんかとくらべて失敗したときに気軽にはがすこともできません。お金を節約するためだけにやるのはかなりツラいと思います。
楽しんで作業するには「こんなタイルを張りたい」という気持ちが大事で、そのためには多少の出費をすることをおすすめします。
先ほどミニマムコストをめざして安いタイルを探してみましたが、個人的には少々出費がかさんでもピクセルタイルを選びたいという気持ちが強かったです。
思えばこれまでいろいろなタイルを土間に張ってきましたが、予算と相談しながらもなるべく自分が張りたいものを選んできました。
DIYのメリットというとコストカットばかりが語られがちですが、個人的には自分の選んだタイルを好きなように張れる自由さこそが最大のメリットだと思います。
先ほども書いたとおりプロに施工をお願いしても自分の望むものが簡単に手に入るわけではありません。場合によってはDIYで自分が欲しいものを作るほうがより良いものが手に入ることだって十分にありえます。業者さんがリスクを嫌ってやりたがらない工事も自己責任でトライできます。
これは僕の部屋の玄関土間のビフォーアフター。たしか二回目のタイルDIYで作ったものです。
今思えば「別の色でアクセントをつけても面白かったかも」とか「目地の黄色はもっと濃くすればよかったな」とか思うところはいろいろありますが、自分が欲しいタイルを自分なりに考えてDIYしましたから愛着もあります。
タイルDIYにチャレンジする方には、コストダウンよりもDIYの楽しさを大事にしてほしいなあ、なんて思うのです。