(368)モルタルの壁に貼られた壁紙をスクレイパーではがす
今回から熱海のマンションの室内をDIYでリフォームしていきます。
先日お話しましたが、この部屋は躯体あらわしの壁やスケルトン天井をインテリアの中心に据えることにしました。
そのために避けて通れない作業が「壁紙をはがす」こと。
ごらんのとおり、室内には躯体があらわになっている部分と、壁紙が貼られた壁や梁とが混在しています。
その大部分の下地はモルタルの左官仕上げなので、壁紙をはがしさえすればコンクリートの質感が現れ、躯体あらわしの部分に近い雰囲気になるはずです。
しかし。
現場で職人さんに聞いた話では、一度貼られた壁紙をきれいにはがし取るのは本当に手間のかかる作業なんだそうです。我慢強さに欠ける自分にできるのか心配だったので、まだ元気のある序盤のうちにトライしてみることにしました。
まずは試しということで、手持ちの金属ベラではがしてみることにしました。
こんなふうに継ぎ目が浮いている箇所を見つけて、
ヘラを差し込んでめくるようにはがします。
手でひっぱってビリビリとはぎ取りました。
しっかりノリがついているのか、なかなかはがれづらく、裏紙の残りも含めてきれいにはがす作業を部屋全体におこなうのは相当大変そうです。
ちゃんと道具をそろえて仕切り直すべきと判断し、用意したのがこちら。
職人さんおすすめの本格的なスクレイパーです。先ほどのような金属製のヘラと区別してスクレイパーカッターと呼ぶこともあるみたいです。アマゾンでゲットしました。
「ハイパースクレーパー200」です。カッターでおなじみのOLFA(オルファ)の商品。
替刃も忘れずに用意しましょう。
ズシッと重くてパワーがありそう。
先端のカバーをはずして刃を装着したら準備完了。
まずはこの左側の壁から始めることにします。
ちなみにこの壁、僕がこの物件を購入した時点で表面がはがされて裏紙になっている状態でした。
本来はこのように表面の紙をはがす作業から始めるのですが(写真は廊下の壁紙をはがしたときのもの)、正直、この作業はあっという間でコツもクソもありませんし、だれにでもかんたんにできます。壁紙はがしの作業=残った裏紙をいかにはぎ取るかというふうに理解するといいと思います。
まずは霧吹きで壁紙を湿らせます。
紙は水分を含ませるとふやけてくるので、スクレイパーでざっくりはがしていきます。ちなみに、写真のスクレイパーは裏表逆になっちゃってますが、ロゴが表になるように刃を当てるのが正しいやり方です。すいません。
裏紙といっても何層も重なっています。
手ではぎ取れるところははがしながら進めましょう。
ざっとはがした状態。ここからがスクレイパーの本領発揮。
かんたんにははがせない裏紙の残りを削るようにはがしていきます。
ビフォーアフターをGIFアニメで。
地味なうえにそこそこ力もいる作業ですから、これを壁一面やると考えただけでうんざりしますが、ここががんばりどころと思ってコツコツ作業します。
作業を実際にやってみて感じたいちばんのポイントは「なんかうまくはがれないな」と感じるようになったら刃を替えること。
写真は使用後のなまった刃(奥)と未使用の新しい刃(手前)。使用後の刃の角が丸くなってしまっているのがわかるはずです。夢中で作業していると気づかないうちに刃がなまってしまい、切れ味が悪くなってしまうもの。
替刃は高価なものではないので、どんどん交換しながらの作業をすすめます。僕は結局3ケース使いました。
また、広い壁をはがすときにはきれいにはがしきることにこだわりすぎず、まずは全体をおおざっぱにはがし終えるようにするのも大事だと感じました。とにかく根気のいる作業なので、最初に力を使いすぎると最後まで到達できずに挫折してしまう可能性が高いです。
端から始めておよそ3時間。なんとか第一段階が終了しました。
一部始終をGIFアニメにまとめてみました。
こうして見るとあっという間ですが、かなり大変でした。この時点ですでに腕はかなり疲労しています。
でも、近づいて見なくてもわかるくらい、まだまだ裏紙が残っています。
続いては残りが目立つ箇所に霧吹きしてスクレイパーではがしていきます。
残った部分はノリがしっかり効いているところなので簡単ではありません。自分なりに持ち方を工夫したりしながら、うまくはがせる方法を模索しての作業でした。このあたりのコツについてはまた次回。
最後にはがし終えた壁をごらんください。
だいぶきれいになりました。
離れてみるとこんな感じ。これくらいまで進んでくるとモルタルの壁らしさがしっかり感じられてきます。
隣の躯体あらわしの部分とも統一感が出てきました。
ここまででさらに1時間ほどかかり、壁一枚(幅1.6メートル、高さ2.3メートル)に合計4時間ほどかかったことになります。
どこまで完成度を求めるかは人それぞれ。よく見るとまだはがし残りも散見されるのですが、僕は写真の状態で終了することにしました。
きっかけは現場に作業に来てくれた大工さんの「(壁紙の残りが)模様みたいできれいだよね」という言葉でした。それまではとにかくきれいにはがすことだけを目標にしていたのですが、これで見方が変わりました。なるほど、言われてみると良い雰囲気かもしれないなと思えたのです。第三者がパッと見の印象できれいだって感じるならゲストハウスとしては十分です。
作業に熱中すると対象に視線が近寄りすぎるので、ついつい細かい粗に目が行ってしまいます。ですが、壁はしょせん生活の背景に過ぎないので素人が神経質に完成度を追い求めても「労多く得るものが少ない」という結果になりがちです。ほどほどのところで満足してもいいのではないでしょうか。
次回も壁紙はがしは続きます。作業で実感したコツやポイントなどをまとめます。