(373)コンクリートエフェクトペイント応用編
前回、押入れを塗装してモルタル風に仕上げました。
使ったのはタカラ塗料の「コンクリートエフェクトペイント」です。
さまざまなグレーを塗り重ねていくことで、まるでコンクリートのような質感に仕上げられる塗料です。
実際に塗ってみて面白さとクオリティが実感できたので、今回は「応用編」と題して自分なりの工夫も加えながら入念に塗装してみようと思います。
塗装する場所は洗面所の床。
配管の都合で大工さんに床を一段上げて造作してもらいました。
もともとモルタルの左官仕上げの壁にぐるりと囲まれているので、それに合わせて床に「コンクリートエフェクトペイント」を塗ります。
前回も書きましたが、天井にも「コンクリートエフェクトペイント」を塗りました。今回の洗面の床はよりモルタルに近づけた質感をめざします。
では、下地の準備から始めましょう。前々回の内容と重複するので駆け足で。
まわりの壁を養生して、パテでスキマやネジの頭も埋め、やすりをかけ、二度目のパテ&やすりがけを施しました。
そのあとシーラーを二度塗りして下地の準備は完了。「コンクリートエフェクトペイント」の出番となります。
いろいろと試してみたいのですが、まずはセオリーどおりに「セメントグレー」と呼ばれるベース塗料を下塗りします。
面積も狭いのであっという間に二度塗りもラクでした。
こうして眺めるとまわりのモルタルの壁よりも床の色が浅いというか薄い気がしたので、一工夫してみることに。
余っていた黒系の珪藻土塗料を混ぜて、少し濃い目のグレーを調色してみました。もちろんメーカー的にはほめられたやり方ではないでしょうが、水性塗料同士なので大した問題はないと思います(たぶん)。
どうせあとからアクセントをつけるので、ザクザクと塗っていきます。
だいぶいい感じの色合いに塗れたと思ったのですが……
翌朝、日の光の下で見ると、ちょっとグレーが濃すぎると感じました。太陽光と夜の照明で見え方が異なるということに考えが及びませんでした。難しい。
それじゃあ、もう少し浅めの色を加えてみるかということで「セメントグレー」を5倍に薄めてアクセントとして塗り重ねてみることに。
前回も説明したように、ビニール袋に塗料をつけてポンポンとたたきながら塗料を広げていきます。床なので塗料が流れて染みになることもなく塗りやすいです。
ちょっと大胆に模様をつけてみました。
続いては「セメントサンド」。こちらも5倍に薄めて塗ります。
「セメントグレー」をあまり塗っていない場所を中心に塗っていきます。二度目の作業なので、模様のつけ方もだいぶコツがつかめてきました。
まだまだ「模様を付けた感」がありますね。
この上に今度は「セメントダークグレー」を重ねると……
こんな感じになりました。徐々にモルタルっぽさが出てきました。施工面積が狭いと作業がすぐに済むので楽しんでやる余裕が出てきますね。
もう一周、3種のグレーで上塗りしてみることに。
最後のダメ押しに、最初に調色した濃い目のグレーも薄めて塗りました。
寄りで見ても、かなりモルタルに近いニュアンスが感じられるようになってきました。
昼間にまわりの壁とくらべるとややグレーが濃すぎる印象を受けますが、そこは仕方ありません。
一方、夜の照明の下で見ると、グレーはやや薄いくらいで、どちらかに寄せるとどちらかでアンバランスに見えてしまうのです。難しい。
さて、ふつうであればこれで完成となるのですが、今回はここにもう少しアクセントを追加したいと思います。
参考にしたのは室内にある躯体あらわしの壁やモルタルの壁に付着した汚れ。
塗装した床にもこういう「汚し」を加えてやることで、より本物っぽく見えるのでは?と考えたわけです。
まずは余っていたセメントを用意。
水に溶いて、床に塗りつけてみます。
乾くとけっこう白くなりました。セメントなので、付けすぎたら雑巾でふき取ることもできます。
もっと濃い色を加えてみるためにモノタロウの「万能用補修パテ」も使います。
以前もご紹介しましたが、使い方が簡単なのでよく使っています。
使うぶんだけ切って練るだけで使えるスグレモノですが、今回は黒い色がポイント。
指先で押し付けると、いい感じに汚れが付きました。
先ほどのセメントと合わさって、だいぶそれっぽい雰囲気が出たかな、と。
最後に、前回の押入れにも塗ったつや消しの水性ウレタンニス(ワシン)で仕上げます。
ウレタン樹脂で表面をコートすることで塗装面に傷がつきにくいようにしてあげるのです。
手前が塗装済みの部分。うっすら濡れ色がついたおかげで思ったよりも色に深みが出ました。
ニスを二度塗りしたら、ようやく完成。
手間をかけただけあって、前回の押入れよりもさらに本物っぽい質感が出せたと思います。
個人的には、セメントがニスで溶けてできた模様や、
パテで埋めきれなかった継ぎ目部分なども雰囲気があって気に入っています。
自分なりに完成度の高い床ができたと自負していますが、やればやるほど作為的なものづくりになってくるのも事実で、こういう方向性ばかりを追求するとテーマパーク的というか、ハリボテ感のある家になってしまうので注意が必要だな、と感じました。
たとえば、山の家のような木造の家をまるまる「コンクリートエフェクトペイント」で塗装して「打ちっぱなし風」の内装を作ることはできそうですが、そういうのはなんかちがうな、と。個人的にはまわりの壁や天井と質感を合わせるために使うのがベストだなと思った次第です。
この空間にどんな洗面をつけるかを考えるのも楽しみですが、それはもう少し先の話。
次回からは、古ぼけたキッチンのリフォームに取りかかります。