(494)一体型洗面台をタイル張りにリフォームした一部始終
先日、空室となった部屋のニッチにタイルを張ったお話をいたしました。
こちらの洗面、8年前にリノベーションする前はいわゆる一体型洗面台でした。
ビフォーアフターをくらべるとこんな感じ。
一体型洗面台は照明やら収納やらいろいろ付いているけれど、いざ使ってみるとそんなに使いやすくもなく、何より野暮ったいデザインが気に入りません。
それよりもシンプルな洗面ボウルとミラーキャビネットの組み合わせのほうがずっといいと共感してくれる人も多く、昨年も知人の洗面のリフォームをお手伝いしました。
【ESSE online】約21万円で激変。リノベずみ物件の洗面だけをリフォームしてみた
こちらはすでにリフォーム済みの物件だったのですが、一体型洗面が好みではないので交換したいということでご相談いただいたのでした。
自分好みの鏡やタイルを組み合わせて洗面を造るのはとても楽しい作業です。
先のESSEの記事では紙幅の都合もあり、ダイジェスト的に流れをご紹介しただけなのですが、今回は同じく一体型の洗面台をタイル張りの洗面にリフォームした一部始終をもう少し詳しくご紹介してみようと思います。
洗面台は一時的に使えない状態になってもキッチンなどで代用が効くので住みながらのリフォームもできますが、撤去後の壁や床の処理も含めて細々と考えることはあったりします。そのへんにも触れながらまとめます。
■スケジューリングと業者さんとのすり合わせがとにかく大事
まずは交換前の洗面台からどうぞ。
マンションの一室にある事務所の洗面台です。
ふだんは仕事に使っている部屋だったため一体型洗面台のままでガマンするかと思っていたのですが、水栓下の配管が故障してちょろちょろ水が漏れるようになってしまい、修理したら意外にお金がかかると判明。それならいっそ洗面全体をリフォームしようという話になったのでした。
当時はタイルDIYを始めて間もなく、とにかくいろいろな場所にタイルを張ってみたいと思っていました。壁一面にタイルを張るのもこのときが初めてのチャレンジでした。
工事の流れは大きく分けて三段階です。
【STEP1】業者さんによる洗面台の撤去とカウンターの造作
【STEP2】DIYでタイル張り
【STEP3】業者さんによる洗面の設置工事
DIYによる作業を含むのでスケジュールは事前に決めすぎないように気をつけました。
具体的には、とりあえずSTEP1の工事日程だけを決定し、STEP2の作業が終わったところであらためてSTEP3の工事日程を調整する、といった感じです。
この流れだと工事が完了するまで多少時間を要しますが、施工場所が事務所ということもあり、洗面台が一定期間使えなくても困らないので、余裕を持って丁寧に作業できるようにゆったりしたスケジューリングをこころがけました。
もうひとつ大事なのは、事前にしっかりと業者さんと打ち合わせをして自分の要望をきちんと伝えておくことです。
今回のケースでいえば、洗面ボウルをヤフオクで安く入手したので、それに合わせて水道工事やカウンターの造作をしてもらう必要がありました。
採用するボウルによってカウンターに開ける穴などの位置も異なりますから、事前にボウルの型番などを伝えてまちがいのないように注意しました。
また、タイルをカットしないで済むようにカウンターのサイズにもリクエストを出しておきました。
洗面ボウルの手配もタイルの施工も本来ならば業者さんがおこなう仕事。そこに素人が割り込むようなかたちになるので、伝達ミスや誤解を招かないように事前の打ち合わせは綿密におこない、多少くどくても繰り返し確認するくらいの慎重さを持つべきです。DIYというと実際に手を動かす部分ばかりが強調されがちですが、むしろ工事前の準備こそが大事だと思います。
■STEP1「解体からカウンターの造作まで」
では、STEP1から詳しくご説明していきましょう。
洗面撤去が済んだところです。昔の洗面台に張ってあったタイルが姿を現しました。
一体型洗面台は床を張る前に設置されていたので、撤去後に空いたスペースにフロアタイルを張る必要がありました。このために新しいフロアタイルを注文するのももったいないので余っていたものを張ってもらいました。余りものなのでちょっと色合いがずれてしまったのですが、そこは仕方ありません。ゆくゆくは洗面まわりの床だけタイルを張るのもありかもしれません。
困ったのは壁の一部のタイルが欠けていたりしてすぐにはタイルが張れない状態だったこと。
そこで、大工さんによるカウンター造作まで時間があったので、この穴埋めをDIYでおこないました。余ったベニヤやパテでざっくりと埋めたのでみっともない見た目ですが、上からタイルを張るので平らになってさえいればOK。
ここに大工さんがカウンターを造ってくれました。
カウンターもタイルで仕上げるので、お願いしたのはベニヤの下地造りまで。
次はタイル張りの作業かと思ったのですが、
タイルが張られていない壁の上部にある段差も埋めねばならないことに気づきました。
再びベニヤやパテで作業です。
今度こそタイルを張る準備が完了しました。
こうして振り返るとタイルDIYにたどりつくまで意外に手間取りました。カウンターの造作と一緒に業者さんに頼めばあっさり終わったことでしょう。こういう予想外の回り道はDIYにつきもの。やはりスケジュールは余裕を持ちたいですね。
■STEP2「カウンターと壁にタイルを張る」
というわけで、ようやくタイル張りに突入です。
背面の壁とカウンターで異なるタイルを張り分けたのですが、タイルDIYのやり方については何度も書いてきましたので割愛するとして、今回は大まかな流れをごらんください。
初日はカウンターにタイルを張りました。選んだのはtoolboxの「水彩タイル(25ミリ角・グリーンティー)」です。
シート状になったタイルを切り離しながら仮置きするのですが、
側面の収まりをごらんください。ちょうど3列ぴったりで収まったのは偶然ではなく、タイルのサイズから逆算して大工さんにリクエストを出しておいたおかげです。事前の準備は本当に大事です。
しっかりと収まりが確認できたらそのまま接着作業に入りました。
カウンターの接着が完了して初日は終了。
翌日。今度は背面の壁への接着をおこないます。
背面に選んだのはランタンのような形が印象的な名古屋モザイクの「コラベル」。モロッカンタイルなんて呼ばれたりする人気のタイルです。壁のサイズに合わせてレイアウトを考えて必要な数を注文したりするのはなかなかの手間でした。詳しくはまた後日。
これをボンドでせっせと張り付けます。施工面積が広いのでとにかく大変。
全面に張り付け完了。
翌日、表の紙をはがして、
白の目地材を入れました。
タイルを張り終えた壁とカウンター。壁一面を張り終えると達成感もちがいます。ひさしぶりに見返しても白タイルに白目地の組み合わせ、なかなかいいですね。
■STEP3「水道屋さんに洗面ボウルを設置してもらう」
ここで再び職人さんにバトンタッチ。施主支給した洗面ボウルを水道屋さんに取り付けてもらいます。
選んだのはおなじみサンワカンパニーの「ハトリアニド」(現在は廃番)。ヤフオクで1万円で落札しました。水栓や排水トラップなどは適合するものを業者さんに用意してもらいました。
どんなふうになるか不安もありましたが、きれいに収まりました。
正面から見たところ。
カウンター下にはtoolboxで見つけた真鍮のタオルハンガーを取り付けてもらいました。
最後に、壁に鏡を追加して完成です。
「オルネ(ORNER)」の「ハンギング ラウンドミラー Sサイズ」です。
いつもならもっと収納力のあるミラーキャビネットを設置するのですが、今回は事務所ということもあり、シンプルで小ぶりな鏡を選んだ次第です。
■タイル張りの洗面台にかかった費用は15万円弱
そんなこんなで野暮ったい一体型洗面台がタイル張りの洗面台に生まれ変わりました。
ビフォーアフターをくらべると印象が激変したのがはっきりわかります。
最後にかかった費用をまとめてみましょう。
まず、業者さんに支払った金額が「110,400円」。
内訳はというと、
- 既存の洗面の解体と処分「15,000円」
- 床フロアタイルタイル補修「5,000円」
- カウンター造作「32,400円」
さらに、支給した洗面ボウルに適合する器具の代金が、
- 混合水栓「12,300円」
- 排水トラップ「12,400円」
これらの設置工事にかかった費用が
- 上記取り付け工事「25,000円」
になります。これに現場管理や税金が加わって「110,400円」でした。
支給した洗面ボウルはヤフオクで落札して「10,000円」(税込・送料込)でした。
ここにタイルをDIYした材料費が加わります。
- カウンターの水彩タイル「4,008円」(税込・送料込)
- 背面のランタン型タイル「10,700円」(税込・送料込)
- タイル用ボンド「2,713円」(税込・送料込)
- タイル用目地材「2,996円」(税込・送料込)
合計で「20,417円」となりました。
小物類としては、
- タオルハンガー「4,388円」(税込・送料込)
- ミラー「3,120円」(税込・送料込)
以上をすべて合算すると「148,325円」でした。
壁一面とカウンターにタイルを張ったことを考えると15万円弱という価格はだいぶリーズナブルだと思います。
冒頭にご紹介した21万円の事例との価格差を考えると、物価の高騰を別にして、主な要因は電気工事の有無でしょう。
今回は壁にコンセントがあったので電球を直付けできる照明器具を設置して済ませました。しかし、まわりがきれいになるとこの安っぽさが気になるもので、結局、電気屋さんにお願いして照明を交換することになりました。次回はその話を。