(538)【日刊Sumai再録】携帯電話基地局はマンション最強の副収入だ!

お金のこと

今回は世田谷のマンションの話。以前、「日刊Sumai」の連載で書いた「不労所得?携帯電話基地局はマンション最強の副収入だった」(2019年10月21日公開)の再録記事をお届けします。再録にあたって写真の差し替えをおこない、記事冒頭の導入部分にのみ若干手を入れていることをお断りします。


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【不労所得?携帯電話基地局はマンション最強の副収入だった】


僕のように落ち目の築古マンションを引き継ぐと、経営を立て直すまでにはとにかく手間とお金がかかります。維持や管理にも何かと出費がかさむわけでして、世の中で思われるような「不労所得」のイメージとはだいぶかけ離れているのが実情です。

でも、マンションを経営しているなかで唯一「これって不労所得だ」と思い当たるものがあります。それが携帯電話基地局の設置に伴う賃料収入です。


■ 屋上活用法はどれも決め手に欠く印象

マンションの屋上

うちのマンションの屋上は、かつては貯水タンクが設置されていたりもしましたが、現在は地下に移設したため、何もないがらんとした空間となっています。

子どもの頃、屋上で遊んだ記憶はありますが、時代の移り変わりとともに安全管理の問題が重視されるようになり、入口は施錠されたままになっていました。

屋上スペースの活用は、マンション経営においてしばしばトピックに挙がります。太陽光発電、物置小屋、屋上菜園、入居者のレクリエーションスペース……などいろいろと事例はあるようですが、費用対効果や安全管理や騒音に伴うご近所トラブルのリスクなどを考慮すると、どれも決め手に欠く印象でした。

何かよいアイデアはないかとぼんやりと思っていたある日、一本の営業電話がかかってきたのです。


■ うちが携帯基地局の候補地に選ばれた理由

営業さん
営業さん
御社の経営するマンションの屋上に携帯基地局のアンテナを建てさせていただけないでしょうか

……そんな電話でした。

最初は「基地局?なんだそれ?」と警戒感ありありで応じていたのですが、話を聞いてみると怪しい営業ではないことが分かってきたので、担当者とお会いすることに。

話を聞いて分かったのは、通信会社は携帯電話の電波を安定して供給するため、拠点となる携帯基地局を建てる場所を探しているのだそうです。スマホに代表される携帯電話(とそれを支える電波網)は今や生活に欠くことのできない最重要インフラですから、電波の安定供給は大事な仕事なのでしょう。

マンションの屋上
話は納得できましたが、よりによってなぜうちのマンションの屋上なんでしょうか?
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
実は、個人宅がならぶ住宅街にアンテナを建てるのはなかなか大変なんです。携帯基地局はあるていどの重量がありますし、設置する高さも必要なので、ふつうの木造の個人宅の上には建てられないんですよ
でも、うち以外にもマンションはありますよね?
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
分譲マンションはだいたいダメですね。理事会を通過しても、総会で否決されてしまうことが多いんです
え、なんでですか?
アサクラ
アサクラ

営業さん
営業さん
これだけ携帯が普及した現在でも、電磁波が出るというだけで警戒される方も多くて……
たしかに、そういうことに神経質な方はいますよね
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
その点、ワンオーナーのマンションは決断が早いですから、こうして営業させていただいてるんですよ
なるほど
アサクラ
アサクラ

■ 気になるのはやっぱりお金(賃料)のこと

うちのマンションが選ばれた理由は分かったとして、うちにはどんなメリットがあるんでしょうか?
アサクラ
アサクラ
お住まいのエリアの家賃相場を基準に、屋上にお借りする面積に比例した金額をお支払いいたします
ほう!それはいいですね。でも、メンテナンスとかで面倒があったりはしませんか?
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
メンテナンスはこちらが責任を持っていたしますし、アンテナに使用する電気代もこちらでお支払いします
ということは……
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
はい、オーナーさんにお願いすることはございません
それって、ほぼ不労所得では……
アサクラ
アサクラ

にわかに期待が高まります。ざっくり金額を教えてもらうと、うちのケースでは年間30万円ほどいただけるとのこと。何もしないでこれは、かなりありがたい副収入ですね。


■ 事前にきちんと構造検査をしてくれるので安心

夢の不労所得を前に思わず前のめりになってしまいましたが、はたと気づきました。「携帯基地局はあるていどの重量がある」んですよね。

もともと屋上に設置する予定のなかったものを、後から追加した場合、マンションの耐久性とか心配な感じがするんですけど……
アサクラ
アサクラ
営業さん
営業さん
それはおっしゃるとおりで、もし前向きにご検討いただけるなら、こちらできちんと事前に検査いたします。その結果、建物が耐えられない可能性がある場合は、こちらから辞退させていただくことになります

それなら安心かなということで、とりあえず検査をしてもらうことになりました。

構造検討書

その結果、いただいたのが「構造検討書」。

構造検討書の中身

中を開くと細かい数値や図がびっしり並んでいて、高校生で数学から脱落したアサクラでは1ミリも理解できません。いちおう問題ないという結果が出たそうですが、これで納得していいものかどうか、ちょっと心配です。

そこで、うちでお世話になっている建築業者のKさんに意見をあおぐことに。書類を見せてみると「アンテナひとつでここまでやるんですね」と感心した様子。

細かいところまで精査してもらったわけではありませんが「問題ないのではないか」ということでした。Kさん曰く「アンテナが200キロだとすると、ユニットバスに湯船を張ればそれくらいはいくので、構造的に負担になるような重さではないでしょう」とのこと。


■ 果報は寝て待て?設置は営業を待つしかない

こうして安全面での見通しも立ったので、本格的に設置に向けて動きました。

とはいえ、いつものリノベーションとちがい、工事は完全に向こうの管理。僕は要所要所で説明を受けるだけですから、すごくラクでした。工事開始から1か月ほどで設置工事は無事に完了。

屋上の携帯基地局

現在も何事もなく稼働していますが、設置前と設置後では何ひとつ変化はありません。メンテナンスも年1回なので、ほとんど手間なし。これこそ不労所得といえます。

さて、この話を聞いて「うちも設置したい」と思うオーナーさんはいるでしょう。正直、僕ももっとたくさん建てたいくらいなんですが、残念ながら携帯基地局の設置はオーナーの側から売り込むということはできないようです。あくまで通信会社が独自に検討した基準を満たす箇所に設置するということらしいです。

屋上の携帯基地局

営業担当さんが言うには、「通信会社の競争はどんどん厳しくなっていますから、少しでも電波状況を改善するためにアンテナを増やすことになると思います」とのこと。果報は寝て待てということですね。RC造(鉄筋コンクリート)マンションをお持ちの方、もし営業電話が来た際は前向きに検討することをおすすめいたします。


***


この記事を書いてから約5年が経ちましたが、あいかわらずトラブルもなく順調に賃料が振り込まれています。トラブルのたびに奔走する賃貸とはちがって、屋上を貸すだけでお金がいただけるのは本当に助かります。「携帯電話基地局はマンション最強の副収入だった」というタイトルは珍しく自分がつけたものがそのまま公開されたのですが、この気持ちは今でも変わっていません。

携帯基地局のアンテナ

しかし、この先も安泰かというとさにあらず

実は、先日、アンテナを5G回線のものに切り替えるために交換したいと連絡を受け、ほぼ二つ返事でOKしたものの、あらためて構造計算をしてみた結果、交換することができないという結論が出てしまったのです。新しいアンテナが既存のものよりも重くて建物に与える影響に不安があるという話みたいですが、詳細はよくわかりません。

今すぐに回線を切り替えるわけではないので、今後もよろしくお願いします」と言われたものの、近い将来にアンテナは撤去されて収入も途絶えてしまうということになりそうです。トホホ……。「不労所得」をあてにしすぎず、本丸のマンション管理&経営をしっかりおこなっていかねばと気を引き締めた次第です。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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