(589)【日刊Sumai再録】迷惑ゴミ対策でマンションの共用ゴミ箱を新しくした
今回は「日刊Sumai」の再録記事「マンション共用部のゴミ箱を新しくしたら、迷惑ゴミが劇的に減った」(2020年9月12日公開)をお届けします。
うちのマンションの前には周辺の住民と共有しているゴミ捨て場があり、入居者さんにもそこにゴミ出しをしてもらっています。
でも、旅行や出張などで決められた日にゴミを出せないなんてこともありますよね。
そんなときのために共用部にゴミ箱を置いています。
記事では、このゴミ箱を設置するまでの経緯を紹介しています。なお、再録にあたってフリーの写真素材を追加し、冒頭のイントロダクションの文章に少しだけ手を入れました。
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【マンション共用部のゴミ箱を新しくしたら、迷惑ゴミが劇的に減った】
マンション共用部の管理は大家にとって大事な仕事です。なかでも悩ましい仕事のひとつがゴミ捨て場の管理。古いゴミ箱を新調して移転したら迷惑ゴミが劇的に減ったという体験談を詳しくレポートしました。
■迷惑ゴミを頻繁に捨てられて困っていた
うちのマンションには、ゴミの収集日以外にゴミを出さなければならない事情のある人に使ってもらうためのゴミ捨て場があり、ポリバケツが並んでいます。
収集日の当日に管理人がゴミをまとめ、路上の集積所に出しています。多少の手間はかかりますが、朝の出勤が遅い方や出張や旅行などで収集日に捨てられない方に活用していただいています。
困るのは、このマンション内のゴミ捨て場にさまざまな迷惑ゴミが捨てられてしまうこと。ポリバケツに入れていいのは「可燃ごみ」のみですが、缶ゴミや不燃ゴミが捨てられていることもあり、いちいち分別して処分しなければなりません。
ひどいときには、大型の粗大ゴミが夜中のうちにポリバケツの脇に放置されていたこともありました。僕や家族が掃除や処分をして対応していたのですが、さすがにうんざりしてきました。
■道路脇にゴミ箱を置いていたのが原因?
そこで、なぜこんなふうに迷惑ゴミが捨てられてしまうのか考えてみました。ちょっとわかりにくい写真で申し訳ありませんがごらんください。
道路沿いにポリバケツが並んでいるのがわかりますか?ポリバケツを撤去した後の様子がこちら。
すぐ脇に道路があるのがおわかりかと思います。
こんな場所では、通行人みんなの目に入ってしまいますよね。通りすがりの人がサッとフタを開けてポイッとゴミを捨てるのも簡単です。
思えば、バケツの中に捨てられていた迷惑ゴミは、飲みさしのペットボトルや缶などが1本だけということがよくありました。すべてが通行人が捨てたゴミだとは言いませんが、誰でも気軽に罪悪感なく捨てられてしまう現状をなんとか改善しなければ、迷惑ゴミは減らないでしょう。
■スチール製のゴミ収集ボックスはコストと手間がかかるので断念
そこで対策として考えたのが、ゴミ箱の刷新です。スチール製のゴミ収集ボックスを設置し、業者さんに直接ゴミを回収してもらうという計画でした。
ガッシリとした収集ボックスなら通りすがりにゴミを捨てづらいのではないかという思いもありましたし、ゴミをとりまとめて捨てる手間も省けますから一石二鳥です。しかし、直接ゴミを収集してもらうためには、自治体に申請する必要があります。
地域の清掃局に電話をしてみると、新設する収集ボックスについては設置位置やサイズなどを事前に伝えて、清掃局のチェックを受けなければならないことがわかりました。
整理すると、「工事業者さんにゴミ箱や設置位置の計画書を出してもらう→それを元に清掃局のチェックを受ける→OKが出たらようやく設置工事」という手順です。
ゴミ収集の都合上、ボックスは道路に面した場所にしか設置できないこともわかりました。わが家のゴミ捨て場は駐車場の入口にあるので、ここに大きなボックスがデンと置かれてしまうと、クルマの出し入れの邪魔になります。
しかも、スチール製の大きなゴミ箱はそれなりに高価で費用もかさみます。共用部は直接的にはお金を生まない場所ですし、高額な出費は避けたいところです。総合的に考えて収集ボックスの新設は見送ることにしました。
■ゴミ箱をおしゃれなものに新調してゴミ捨て場を移転
代案として浮かんだのがゴミ箱を新調して、ゴミ捨て場の場所を移転すること。先ほども書いたとおり、ゴミ捨て場が道路脇にあることが迷惑ゴミを捨てられてしまう要因と思われます。
ゴミ捨て場を少し奥まった場所に移転してみようと考えたのです。
道路に面していなければ、通りすがりに手を伸ばしてゴミを捨てることはできません。たいていの人は他人の敷地内に立ち入るのをためらうでしょうから、迷惑ゴミも捨てづらくなるでしょう。
ゴミ箱選びにも気を使いました。オーソドックスな水色のポリバケツは誰が見ても一目でゴミ箱とわかるものですが、逆にいえば「ここに捨ててもいいですよ」というサインと受け取られかねません。
うちのマンションの入居者さんだけが捨てるゴミ箱ならば、誰でもわかる必要はまったくありませんから、ゴミ箱らしくないものを選んでみました。
ディープグリーンのボディに赤い取っ手が印象的なデザインです。室内でストッカーとしても使えるもので、これを3つ並べて置いてみました。
ひとつあたり60ℓは入るので、使い勝手は今までの水色のポリバケツと大差ありません。
■設置して約半年後、迷惑ゴミは激減した
ゴミ箱を新調してから約半年が過ぎましたが効果はてきめん、迷惑ゴミは劇的に減りました。
やはり、ゴミ箱を道路から離して置いたことと、ゴミ箱が新品のきれいなものになったことが大きいのだと思います。
ぱっと見でゴミ箱とはわかりづらいデザインですし、わかっても敷地内まで入って捨てようとは思わないのでしょう。ディープグリーンのカラーは汚れも目立ちにくいです。取っ手でフタをしっかりと閉めるタイプのゴミ箱であることも大事です。
ロックを外して開けるというワンアクションが、通りがかりでゴミを捨てようとする人間に対し心理的なハードルになります。思い出してみると、古いゴミ箱は古びてところどころ割れも生じていて、フタも簡単に開きました。
「ここならゴミを捨ててもいいな」という印象を与えてしまっていたにちがいありません。今回購入したゴミ箱は1個あたり4000円で、3個で1万2000円強。
ゴミ箱としてはやや高めですが、ゴミ捨て場を改善できた満足感からすると安いもの。迷惑ゴミにお困りの方は、思い切ってゴミ箱を変えてみてはいかがでしょうか。
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いかがでしたか。
記事内でご紹介したのは「ペール×ペール(PALE×PAIL)」というゴミ箱です。
僕が選んだ「フォレストグリーン」に加え、ベージュ系やブルーグレーなどのおしゃれなカラーもあったのですが、現在では生産を終了してしまい、入手が難しくなっているようです。
販売中のもので形が同じタイプとしてはこちらがあります。
こちらもフタがしっかりロックできるようになっているので安心ですし、カラーバリエーションも豊富です。
さて、ゴミ箱を刷新してから4年余りが経ちました。濃い目の色を選んだせいか、経年の汚れはあまり目立ちません。古ぼけた印象を与えないおかげか、好き放題に捨てられることもなく済んでいます。
ただ、敵もさるものでときどきゴミ箱の陰に隠すように空き缶などが置かれていることはあります。そういう輩にかぎって飲み残しの中に吸い殻とか入れてやがるんだよな……。
それでも、以前の「ザ・ゴミバケツ」を道路沿いに置いていたときからくらべれば、ぐっと迷惑ゴミは減りました。共用部がきれいだと入居者さんの印象も良くなりますし、今後も小さな改善を加えていきたいものです。