(625)賃貸マンションに置く消火器の業者を乗り替えた話

お金のこと

前回、消火器詐欺の電話がかかってきたのをきっかけに、マンションに置く消火器の契約についてちゃんと検討しなければいけないと思い立ちました。

(624)【日刊Sumai再録】消火器詐欺に遭いそうになった

今回は、これまで契約していた業者を切ろうと思った出来事や、新たに相談した2つの業者から提示された見積もりなどを紹介しながら、消火器の切り替えをおこなうまでの顛末をまとめます。


■リース契約の業者への疑念がはっきりとした不信感に

前回も触れましたが、これまでリース契約していた業者には「この業者さんで大丈夫?」と思わされることが何度かあったのですが、その疑念がはっきりとした不信感に変わった出来事がありました。

ある日、マンションの入居者さんからこんな連絡がありました。

火災報知器
※画像はイメージです

さっき室内の火災報知器の点検をする業者さんが来て室内を見てもらったのですが、大家さんには連絡がいっていますか?

最初はあせりました。うちのマンションでは火災報知器はすべて警備システムを契約している業者にお願いしていて、そこが僕に無断で入居者さんのお部屋を訪問することは絶対にないからです。

あせる気持ちをおさえつつ入居者さんに話を聞くと、中を見て確認しただけで何かを売りつけるとかいうこともなく帰っていったとのことでしたが、詳しく聞いてみると、どうやら消火器のリース契約をおこなっている会社による訪問のようでした。

すぐにリース会社に問い合わせると「以前、消火器のリースとあわせて火災報知器の契約もしていた。そのデータが残っていたので点検に行った」という説明でした。しかし、その火災報知器の契約は今から10年以上も昔の話で到底納得できません。なぜ急に訪問してきたのかも疑問が残りますし、そもそも入居者さんの部屋を訪問するのに管理人である僕のところに事前に何の連絡をしてこないのも問題です。

そのあたりをいろいろ詰めたのですが、相手から帰ってくるのはありきたりな言い訳と口先だけの謝罪ばかり。このやりとりで「ああ、消火器は別の会社に頼むべきだ」と決意したのでした。

ちなみに、最近、発覚したのですが、この会社はうちの親戚の物件にも消火器をリースしていて、管理している人間が詳しくないのをいいことに必要以上に多くの探知機を設置したこともわかりました。どうにも信用のおけない会社であるのはまちがいなさそうです。


■警備会社に見積もりをお願いするも高額で驚く

消火器の切り替えを検討するにあたって最初に相談したのが警備会社でした。前回でも触れましたが、うちで警備システムの更新などをおこなった際に、営業さんが「うちでも消火器を扱っています」的な話をしていたので、真っ先に連絡を取ったのです。

ほどなく営業さんがパンフなどを持参してやってきて丁寧に説明をしてくれました。聞けば、そこの会社では消火器のリース契約はおこなっておらず、購入になるとのこと。どうやら消火器はリースよりも購入が一般的だということがわかりました。

こちらはリースだろうが購入だろうが、ちゃんとした会社に頼めればいいのですが、「借りる」のではなく「買う」となると心配なのがお値段です。ひとまず見積もりを出してもらうことになりました。

消火器購入代金の見積もり

消火器の購入と、

消火器点検代金の見積もり書

点検料金です。

困ったことに、提示された金額はこれまでリース契約していた会社の見積もりよりもずっと高額でした。「うわあ、ちゃんとした会社で(リースではなく)購入すると、やっぱり料金もお高いんだ…」とくじけてしまいました。のちほど触れますが、今思えば、書類上の表記に誤りがある気もしますし、もっと突っ込んでいろいろ聞くべきだったのですが、金額の大きさに圧倒されてしまい、聞いてもムダだなと思うほどだったのです。


■リース業者との見積もり金額の比較は?

これまでリース契約していた会社の料金はというと、こちら。

10年間のリース+初年の点検料金

10年のリース料金と初回の点検料金を合わせて「209,280円」

3年に一度の点検費用

点検については「結果報告書の作成費用」という名目で3年に一度の「15,000円」(税別)がかかる契約でした。

10年でかかる費用をまとめると、

【10年間でリース会社に支払った金額】合計258,780円
(209,280円(10年間のリース+初年の点検)+16,500円×3回(3年に一度の点検書類作成費用))

となります。先ほどの警備会社による見積もりは、たった一年で「77,000円+44,000円」でしたから、その差は歴然。ああ、これまでの業者さんはヤバかったけど安かったんだなあ、と感じました。

ただ、振り返って冷静に考えると、おそらく勘違いがあって、警備会社の見積もり書に記載の「77,000円/年間」は誤りで、初年のみの費用だと思うですよね。だって、リースじゃなくて購入なわけですから。

だとすると、

【10年間で警備会社に支払う金額】合計510,000円
(77,000円(消火器購入費用)+44,000円×10回(10年間の点検費用))

となりますが、それでも両者を比較すると、

【リース会社】258,780円
【警備会社】510,000円

依然、約2倍の価格差があります。

安いけどいいかげんな業者と契約するか、安心感はあるが料金が倍の業者を選ぶか……どっちもイヤだなあ、というのが正直な気持ちでした。


■不動産屋さんの紹介で新しい業者さんに出会う

そんな矢先、不動産仲介をお願いしている会社の担当さんと話をしていたら、「うちの会社も最近、消火器を交換しましたよ。よかったら、うちで使っている業者さんを紹介します」と言ってくれたので、食い気味で飛びついたのは言うまでもありません。

そちらの業者さんから提示されたのが、この価格でした。

消火器の購入:51,000円(税別)
保守点検:20,000円(税別)

パッと見で警備会社の提示金額より安いのは明らかですから、ひとまずホッとしました。

ここの業者さんの場合、保守点検料金は毎年支払う必要があるそうなので、10年間の金額を算出してみると…

【紹介された業者】276,100円
(56,100円(消火器購入費用)+22,000円×10回(10年間の点検費用))

これまで契約していたリース業者が10年で「258,780円」でしたから、紹介された業者さんのほうが約2万円ほど高いことになりますが、大きい差ではないのかな、と。

リースと購入の価格差うんぬんについては僕もよくわかりませんが、6本の消火器を設置して10年間管理すると、だいたい25~28万円くらいかかるというのが相場感なのではないか、と感じた次第です。

ただ、リース業者には不信感を抱くことも多くてストレスもかなりあったので、価格がほんの少しだけ高いだけでふつうに仕事をしてくれるなら大満足という気持ちで乗り替えを決めました。

カラになった消火器ケース

最後に心配なのが、リース業者に既存の消火器を撤去してもらわなければならないことだったのですが、新しい業者さんからは「ひょっとしたら、リース契約をやめるというと消火器の処分についてゴネてくる可能性もありますから、そのときはケンカせずにうちに相談してください。サービスで既存の消火器を処分しますから」と言ってもらえたので安心でした。

撤去する消火器

まあ、その心配も杞憂に終わり、既存の消火器は無事に前の業者によって撤去されたのでよかったです。

新しい消火器

かくして新しい消火器が無事に設置されました。結果的には信用できそうな業者さんに適正な価格(だと思いたい)でお願いできてホッとしました。

これまでの10年間に起こったつまらないトラブルの数々を思うと、もっと前に消火器業者に切り替えをしておけばという気持ちもあるのですが、過去は変えられません。いい勉強になったと思って今後のマンション管理に活かしていきたいと思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

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