(766)自宅に無垢のフローリングを張ってもらって10年が経った

お金のこと

先日、山小屋の母屋の床に「ユカハリヘリンボーン」を敷いた話を書きました。

ヘリンボーンの床

置くだけで施工できる「西粟倉 森の学校」の「ユカハリタイル」シリーズですが、簡単施工でも厚み10ミリの本格的な無垢の床材です。

記事を書いていて思い出したのが、世田谷のマンションで唯一無垢の床材を採用した自宅のリビングのことでした。

無垢のフローリングを張ったリビング

リフォームをおこなったのは2015年のこと。リビングの広さは六畳にも満たないわずか「9.3平米」でした。今から10年以上前の話ですが、今回はその工事について振り返ってみたいと思います。


■10年前はなんとなく経年変化を怖れてウレタン塗装を選んだ

うちのマンションのリフォームでは床にはフロアタイルを選ぶことがほとんどです。ただ、せっかくの自宅リフォームということもあり、

妻
床は本物の木がいい

という妻の一声で無垢のフローリングを採用することになりました。費用のことは心配でしたが、六畳ていどのスペースならばいいだろう、と。

無垢のフローリング

採用したのが、チェスナット(栗の木)のフローリングに「なぐり」と呼ばれるアンティーク加工を施した床材でした。

無垢フローリングドットコムのカタログ

渋谷にある「無垢フローリングドットコム」のショールームで実物を拝見し、カタログやサンプルもいただいて検討しました。

無垢フローリングドットコム

当時、無垢のフローリングについてほとんど何も知らなかった僕は「オイル仕上げの床は経年変化する」などの基礎的な知識などを教わったと記憶しています。

当時、もうひとつの候補として検討したのが、「アカシア」のオイル仕上げのフローリングでした。

オイル塗装のフローリング

ツヤのないマットな仕上がりは気に入ったのですが、オイル塗装なので「(比較的)防汚性能が低く、定期的なメンテナンスが必要である」と説かれて尻込みしたのを思い出します。

今でこそ自然な木の色味が変化していくのを楽しむようになりましたが、あのときは経年変化がどんなものかもよくわからないまま怖いような面倒なような気持ちを抱いたのです。

ウレタン塗装のフローリング

それでウレタン塗装の施された、メンテナンスのラクなほうを選んだのでした。濃い目の色味を選んだ理由も、傷や汚れが目立ちにくい印象を抱いたからでした。


■無垢の床材の経年変化を楽しめるか

自宅の無垢のフローリング

ウレタン塗装の施された床を選んだことを後悔しているわけではありませんが、木材が経変変化で大きく表情を変えるのを知った今となっては、それを楽しむという選択肢もありえたとは思います。

たとえば、真っ先に思い出すのが、以前宿泊した「9坪ハウス」パイン材の床

経年変化した床

築古の日本家屋も真っ青な、なかなかの貫禄です。

変化する前の床

建てられた当時はこんな感じだったそうですから、かなり劇的な変化です。パインは経年変化を受けやすい木種ですし、日当たりのいいリビングということもあり、変化が大きく現れたのだと思います。

これを「汚れた」と取るか「風格が出てきた」と取るか――どちらが正解ということはありません。10年前の自分なら「汚れた」と感じたかもしれませんし、「手入れが面倒だ」と思ったことでしょう。でも、今はこういう変化を「手に入れがたい価値」と感じる気持ちが出てきました。

ちなみに、ウレタン塗装でも変化と無縁というわけではありません

床とサンプルの変化の比較

日当たりのいい窓際の床の上に、ずっと倉庫に保管していたサンプルを置いてみると(写真右)、日光にさらされてきた床(写真左)のほうが色が退色しているのがおわかりかと思います。ウレタンで保護されていてもこれですから、オイル仕上げの床の変化については推して知るべし、といったところでしょう。


■「約9.3平米」の広さでかかった材料費は「66,331円」

フロアタイルのように均質な工業製品ならばメーカー名と品番を施工会社に伝えれば施主は何もしないで済むのですが、無垢の床材だとそうはいきません。それぞれのショップで個性豊かな製品を扱っているため、自分の目で選んだ床材を採用したい場合、施主支給になることも多いです。

フローリング発注書

これは当時の発注書の抜粋。ひょっとしたら建材を初めて自分で手配したのがこのときだったかもしれません。

注目したいのは「ケース数」です。この商品は「1ケースあたり1.64平米」分のフローリングが入っていて、「7ケース・11.48平米」を発注しています。我が家のリビングの広さは六畳弱で施工面積は「約9.3平米」ほどですから、2平米分ほど余計に注文していることになります。

ムダのでにくいフロアタイルなどとちがって、無垢の床材はどうしても端材が出やすく、事前に余裕を持って注文することが大事になります。こういう「数拾い」についても当時初めて知りました。

フローリングの代金

結局、1ケース「8,774円」を7ケース注文して「61,418円」。ここに消費税(当時は8%でした)を加えて「66,331円」がフローリングの本体にかかった材料費になります。


■大工さんによる施工費用も加えて合計「121,573円」

さて、このときは大工さんによる施工でしたので施工費用もかかります。

フローリング施工費の見積もり

これは当時の見積もりからの抜粋を見やすく編集した画像ですが、平米単価は「5,500円」

施工面積は「9.3平米」(六畳弱)でしたので、「51,150円」となり、ここに消費税を加算して「55,242円」が施工費用になります。床材の施工、特にリフォームは、工事する物件の床の構造や状態次第で大きく変わるので、この価格はあくまで一例とお考えください。

先ほどの材料費と合計してみましょう。

66,331円(フローリング代)+55,242円(施工費用)=合計「121,573円」

当時は次から次へと決めることが山積みで、この金額の意味をじっくり考える時間はありませんでしたから、こうしてまとめると「へえ、それくらいかかったんだ」と新鮮な気持ちです。

この価格をどうとらえるか目安になりそうなのがフロアタイルとの比較

フロアタイルの施工

実は、無垢のフローリングを施工する際の平米単価「5,500円」というのは、いつもマンションでフロアタイルを施工してもらったときの材料費込みの価格とほぼ同じなのです。

つまり、フロアタイルを採用したときとくらべて無垢のフローリングを購入した代金の分だけ費用が上乗せされるとイメージすると差額が理解しやすそうだと思いました。先ほどの合計金額などを見てみても、2倍強の予算が必要といった感じですね。

無垢のフローリングを張った室内

フロアタイルの床に、フローリング代を上乗せすると無垢の床が手に入ると考えたときに、それだけの価値を認められるかはひとつの判断基準になるかもしれません。


■もし今同じ工事したら費用は「15~16万円」くらい?

しかし、ご注意いただきたいのは、以上がすべて10年前の話だということ。

最後に、今=2026年だったらどれくらいの費用がかかるのか、推測してみたいと思います。

「無垢フローリングドットコム」で調べたところ、まだ同一商品の取り扱いがありました。

【無垢フローリングドットコム】KR1UD 栗(チェスナット)ユニアンティーク(なぐり)フローリング

これによれば、現在の平米単価は「7,380円(税別)」で、1ケースあたり「12,104円(税別)」だそうです。僕が購入した10年前の価格とくらべると、約1.38倍に値上がりしました。この10年の世界情勢の変化を考えると妥当な上がり幅と言えそうです。

一方、施工費用=人件費が10年でどれくらい上がったかについては残念ながら、うちのマンションではあれ以来、無垢の床材を施工してもらったことがないので、人件費がどれだけ上昇したかは推測するしかありません。

ただ、他の人件費の値上がりから類推すると少なくとも1.2倍くらいになっているのはまちがいなさそうです。

そう仮定して計算してみました。

フローリング代「91,537円」(66,331円(2015年)×1.38倍)
 +
施工費用「66,290円」(55,242円(2015年)×1.2倍)
 =
合計「157,827円」

およそ「15~16万円」といったところでしょうか。六畳にも満たない広さにかかる費用と考えると、なかなか重たいですね。

自宅のフローリング

でも、無垢の床ならではの質感や表情にはそれだけの価値があると思います。予算の都合で広い面積に施工するのがムリでも、ここぞという場所に無垢のフローリングを導入してみると、空間のクオリティがぐっと上がると思います。

アサクラ

大家業。世田谷のマンションと東京西部の山奥にある小屋を管理&経営しています。最近は熱海に購入したマンションの一室をDIYで修繕中。ESSE online(エ...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧